少し前の話になりますが、7月に女子サッカーワールドカップで、アメリカが優勝しましたね。
その試合をアメリカで見ていたときに、相手チームがボールを奪うことに、dispossess という単語が使われていて、言われてみれば、possess に対して、dis + possess なので分かりやすいのですが、私は初めて気づいたように思います。
日本語でも「ポゼッション」という言葉が使われ、これはボールを持っている状態で 「支配率」 ということですね。
その反対の dispossess は、「ボールを奪う」 ということになりますね。
dispossess は、少しフォーマルな感じのする語で、アメリカ英語なら次のように、 steal と言う方が一般的かもしれません。
She stole the ball from the midfielder.
(彼女はミッドフィールダーからボールを奪った。)
また、dispossess は、「土地や財産などを取り上げる」 という意味があり、dispossess someone of ~ (誰かから~を奪う) という使い方ができ、次のように使います。
She dispossessed the nobles of their land.
(彼女は、貴族から土地を取り上げた。)
サッカーの場合は、次のように使うことができます。
The player was dispossessed (of the ball ) from behind.
(そのプレーヤーは後ろからボールを奪われた。)
なでしこジャパンは残念でしたが、オリンピックではがんばってほしいですね。
少し前に読んでいた記事の中に次のような文があり、unsettled という語の使い方が気になりました。
Kihira, the favorite to win the world title next month in Saitama, looked unsettled in victory, landing just a single triple axel in the triumph.
(来月、埼玉の世界選手権での優勝最有力候補である紀平は、トリプルアクセルを一度だけ成功させ、勝利において動揺しているように見えた。)
こんな風に unsettled が使われるのに、初めて出会いました。
settle は、「問題などに決着をつける、落ち着かせる、定住する」 などいろいろな意味がありますね。
settle down という形で、次のように使われるのをよく聞きます。
Give me a call when you settle down.
(落ち着いたら、電話してください。)
これは、引っ越しをした後や、旅行から帰ってきたばかりなど、ちょっと立て込んでいる人に対しても使えますね。
settle には、「落ち着く」という意味がありますが、語源を見ていると、Middle English (中英語)の setle = seat (いす)ということで、座らせるということから、落ち着かせるということになるようです。
辞書を見ると、settle は、「長椅子、ベンチ」 という意味も載っています。
そして、settle に un が付くと、「落ち着かない」ということになり、unsettled は、形容詞としていろいろな状況で使える語のようです。
上記の紀平さんの文の unsettled についてもどのように訳そうかと少々悩みましたが、「動揺して」としてみました。
unsettled は、uneasy (不安な、心配な)とも置き換えられますね。
例えば、夜に一人でいるときに、他の部屋から物音が聞こえたりしたら、You felt unsettled / uneasy. ということになりますね。
After many years, the matter was still unsettled.
(長年経ったが、その問題はまだ決着がついていなかった。)
このように、物事が決着していないという場合も、不安材料にもなりますね。
unsettled は、他にも、「社会や状況が不穏な」、「天気などが不安定な」 のような意味でも使えます。
いずれにしても、unsettled は、不安な落ち着かない状況を述べる言葉ですね。
私がよく知っている unqualified は、「資格のない、無資格」という意味で、次のように使われます。
You are unqualified to teach at a public school.
(あなたは、公立学校で教える資格がない。)
ところが、次のような、unqualified を、新聞記事の中で見つけました。
セリーナ ウィリアムスが、試合中に審判に暴言を吐いたことについてのもので、かなり古い記事で失礼します。
Refuse to officiate Williams' matches until she has issued an unqualified apology to Ramos.
(ウィリアムスが、ラモスへの全面的な謝罪をするまで、彼女の試合の審判を務めることを断りなさい。)
このような unqualified は、「全面的な、制限のない、まったくの」という意味で、complete と同義語です。
「資格がない」というのは、理解しやすいのですが、「制限がない、まったくの」というのは、どういうことか、少し悩んでしまいました。
調べてみると、qualify は、もともとは、「何かに particular quality = 特別な性質を持たせる」という意味で、limit = 制限するという意味へと広がるようです。
制限するという意味に、否定の un が付いて、「制限のない、まったくの」という意味になるわけですね。
そして、qualify には、「particular quality necessary = 必要な特別の性質を与える」 という意味が加わり、資格を与えるという意味へとつながるのでしょう。
スポーツでは、qualifying match は、「予選」のことで、決勝へ進むための資格を得る試合ということですね。
qualifier は、「有資格者」以外に、「予選通過者」という意味もあります。
そして、disqualify は、「失格させる」ということで、資格を奪うということです。
言葉は、広がっていくものですね。。
最近は、man bun という男性のおだんごヘアが流行していて、たまに見かけます。
man bun のようなヘアスタイルは、若い男性には似合う人もいますが、年配の男性には、ちょっと無理があるかもしれません。
先日の新聞の漫画の中で、自分の上司が man bun にしているところを想像してしまい、それが頭から離れないという場面がありました。
そこで、使われていたのが、unsee という単語です。
I can not unsee it.
(見た記憶が消せない。) のように使います。
un + see で、「恐ろしいものや、見たくないものなどを見た記憶を消す」という意味です。 見なかったことにするという感じでしょうか。
そのまま、I can not erase my memory. のようにも言えますが、unsee というのも、ちょっとしゃれた言い方だなあと思います。
以前、unsay (言わなかったことにする)についても書きましたが、unsee も一緒に覚えておくといいですね。
先週の金曜日に、息子の通うハイスクールで、とんでもないことが起こりました。
結局、いたずらだったのですが、三人の生徒が、「マスクをして銃を持った男が学校にいる。」と、先生に連絡したのです。
今の世の中、どこで何が起こっても不思議ではないので、学校側は、警察に連絡し、学校は、lockdown になりました。
lockdown とは、教室にカギをかけて、電気を消し、生徒は教室のコーナーで静かに待機するということです。
SWAT team (警察の特殊部隊)や救急車まで学校へ来て、周辺が重々しい雰囲気になり、生徒は全員、身体検査をされて、両手を上げながら、順番にグラウンドへ避難していました。
学校中を調べた結果、銃は見つからず、三人の生徒の悪ふざけだったと判明し、その生徒たちは逮捕されました。
この事件の新聞記事の見出しが、次のようになっていました。
3 students arrested after 'unfortunate prank' led to lockdown
(ロックダウンとなった悲しむべき悪ふざけで、三人の生徒は逮捕された。)
このような unfortunate は、unlucky 「不運な」では、意味が通じないですね。
unfortunate には、「適切でない、(不適当なため)遺憾な、残念な、悲しむべき」のような意味もあります。
It is unfortunate that she said such a thing.
(彼女がそんなことを言ったとは、残念なことだ。)のように言えます。
prank (いたずら)というのは、もっと気楽な笑えるようなものであるべきだと思います。 このような事件は決しておもしろいものではなく、誰も傷つくことがなかったからよかったものの、三人の生徒には深く反省してほしいものです。