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リタイアしても unretire

年配の女性が退職後にスーパーで働き始めたという話が、テレビのニュースで流れていました。

食料品からガソリン代など全て値上げになり、生活が苦しくなり働かざるをえなくなったということで、そのようなシニア世代の人も増えているようです。

そのような人たちのことを、unretire という語を使って表現していました。

unretire は、un + retire なので意味は想像できるのですが、そのような語があったのは知りませんでした。

unretire の意味は次の通りです。

to return to work after having taken retirement
(退職した後に、仕事に復帰すること)

次のように使われています。

Many older Americans who have retired from their previous jobs are returning to the workforce, a process some are calling "unretiring."

(前の仕事を退職した多くの高齢のアメリカ人が仕事に復帰しており、そのような行為は unretiring と呼ばれることもある。)

次のような見出しもあります。

Tom Brady unretires: NFL community reacts to Brady's stunning return to NFL

(トム ブレイディ復帰 : ブレイディの NFL への驚くべき復帰に NFL コミュニティが反応を示す)

トム ブレイディのように、スポーツ選手が経済的な理由ではなく現役復帰する場合もありますね。

ところで、unretire という語を眺めながら、退職せずに働き続けている場合には使えないのかなあと思い調べていると、オンライン辞書の macmillan dictionary にはそのような意味を載せていました。

to continue working after you have reached the age when you can officially retire
(正式に退職できる年齢に達した後に働き続けること)

ということは、People are unretiring. という文なら、

① 退職後に仕事復帰している ② まだ退職せずに働き続けている

①②のどちらの意味にもなるということになりますが、macmillian dictionary の定義はイギリスの2015年のものとのことで、イギリスとアメリカで unretire の使われ方が違うのか、また年代によって使われ方が変わってきたのか、よく分かりませんでした。

Retirees are unretiring (退職者たちは仕事復帰している。) というように、unretire は、現在のアメリカのニュースでは退職後の仕事復帰という意味で使われています。

でも、実際の会話では、He was retired, but is working again. のように言う方が分かりやすくていいですね。



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disservice から考えたこと

コロナワクチンについてのNBCの記事の中で、 disservice という語にひっかかってしまいました。

.... anyone hyping a medical breakthrough before 2021 was doing a grave disservice to the public given the inherent challenges of developing and administering a vaccine.

(ワクチンの開発、投与ということに内在された課題を考えると、2021年より前に医学の飛躍的進歩があると大々的な宣伝をする人は、一般の人々に深刻な危害を与えていることになるだろうと、......)

これは、薬剤会社の社長の意見ですが、世界中がワクチンを熱望している中ではありますが、ワクチンが実際に手に入るまでには、まだ時間がかかるかもしれないので、すぐにワクチンができるから、もうマスクはしなくてもよいという考えにならないようにとの警告です。

disservice という語は、dis + service なので、service を否定するものですが、分かるような分からないような感じがしました。

定義は次のように載っていました。

an action that harms something or someone
(何か、または誰かに害を与える行動)

辞書には、「危害、ひどい仕打ち」 となっています。

service に否定語が付くと、害になるとは、service からは、かけ離れた意味になってしまうものだなあと思いました。

上記の文のように ​do a disservice to someone​/​something という形で使われることが多いようです。

The fans' rude behavior has done the game a great disservice.
(ファンの失礼な態度は、試合に大きな害を及ぼした。)

disservice の次のような定義も見つけました。

an act intended to help that turns out badly
(助けとなるつもりが、結果的に悪くなってしまうような行動)

試合を見に来て応援しようと思っていたが、結局、ファンの態度が悪くて、試合に害を与えるというように考えられますね。

ワクチンができるというニュースで安心させたいが、それにより 人々に期待させ過ぎて、マスクをする、フィジカルディスタンスを保つなどの感染予防対策がおろそかになることは結局よくないこと、disservice だということなのでしょうね。

service が助けとなることなので、それを否定し、disservice = 助けにならない → 害となるということなのでしょうね。

ワクチンを待ちつつ、感染予防対策を緩めないようにしたいものですね。 


予期せぬ結果

次のような見出しの記事を読みました。

Wearing masks may have a surprise unintended consequence
(マスクをすると、驚くべき予期せぬ結果を招くかもしれない。)

unintended は、文字通り、「意図されたものではない」 + consequence は、「結果」 ですね。

結果と言えば、result もありますね。

consequence という語を分解すると、con = with と sequence = follow なので、何かの後に一緒に続いて起こるものということから、結果ということになるのでしょうね。

result は、行動に対する総合的な結果というニュアンスだそうですが、同意語として使える場合もありますね。

ただ、consequence には、否定的な含みがある場合があるようです。

前置きが長くなりましたが、上記の見出しの consequence もその一例です。

記事の中では、マスクはするべきだとしつつも、マスクをすることにより人間の行動に影響があると述べられています。

the idea that masks might be reducing our drive to social distance
(マスクが、ソーシャルディスタンスに対する私たちの意欲を弱めるかもしれないという考え) があるそうです。

そして、専門家も次のように同意しています。

I think that’s a potential unintended consequence.
(そういうことは、予期せぬ結果であるという可能性があると思う。)

マスクの intended purpose (意図された本来の目的)は、感染を予防したり、周りに広めないということですが、それにより、人間は、守られていると過信して、行動が大胆になってしまうというのです。

先日スーパーへ行く途中に、マスクをした4人の年配の女性が楽しそうに公園で話しているのを見かけ、確かに、マスクをしていると、近くで話しても大丈夫と思ったり、スーパーでも、皆マスクをしているので、安全だと思って、ソーシャルディスタンスのことはつい忘れてしまう場合があります。

記事の中には、アメリカンフットボールの例も挙げていました。

アメリカンフットボールの選手は、激しくぶつかり合うことで、脳震とうを起こすことがあり危険なので、あのような重々しいヘルメットやパッドなどをつけていますが、けががなくなるわけではなく、選手がより激しくぶつかり合ってしまうのが、ヘルメットやパッドによる unintended consequence となるそうです。

unintended consequence は、the false sense of security (間違った安心感) により起こるようです。

ふと思いましたが、ラグビーも同じように激しいスポーツですが、アメリカンフットボールのような防具がないですね。

防具を使わずに、ルールでけがを防げるなら、その方がスマートということでしょうか。

人間を守るためのマスクや、アメリカンフットボールの防具が、予期せぬ結果を招いてしまうとしたら、そうさせてしまう人間の心理について、ちょっと頭の片隅に置いておいてもいいかもしれませんね。

かつてない?

ニュースを聞いていて、Covidiot という語があることを知って笑ってしまいました。

Covid-19 + idiot (ばか) の混成語ですが、定義は次のように載っています。

an insulting term for someone who ignores health advice about Covid-19, hoards food unnecessarily, etc.
(新型コロナウイルスについての健康アドバイスを無視したり、不必要に食品を買いだめするような人を侮辱する語)

マスクもせず大声で話し合ったり、グループで会食するような人のことですね。 さすがに、もうそういう人も少ないとは思いますが。

ところで、コロナ関連のニュースで、よく聞く形容詞のひとつに、unprecedented があります。

Johns Hopkins expert says coronavirus is totally unprecedented.
(ジョンズホプキンスの専門家は、コロナウイルスは、何から何まで今までに例のないものだ。)

Unprecedented danger calls for unprecedented measures.
(かつてない危機には、かつてない方策を必要とする。)

unprecedented は、次のような定義が載っています。

never having happened or existed in the past
(これまでに起こったことや存在したことがない)

日本語では、「前例がない、空前の、今までに例のない、かつてない、前代未聞の、新奇な、未曽有の、史上初の、類を見ない」 などの訳が載っています。

ふと、スペイン風邪は前例には含まれないのかなと思ってしまいましたが、時代もウイルスも違うので、「現代の多くの人が経験したことがないような」 という意味なのでしょうね。

Dictionary.com には、unprecedented の代わりに、unparalleled、extraordinary、unheard of などとも置き換えられるのではないかと書かれています。

ついでに、「前例がある」 は、precedented となり、「前例」 は、precedent となります。

It's against all precedent.
(それは、全ての前例に背く。)

前例がないものに立ち向かうことは難しいことですが、自分にも周りの人にも優しく、この unprecedented な状況を乗り越えていきたいものです。


マッチしない

先日のトランプ大統領の一般教書演説の中で、次のような文がありました。

Our military is completely rebuilt, with its power being unmatched anywhere in the world.
(我々の軍隊は、世界中のどこにも比類ない強い力を持ち、完全に建て直されている。)

この unmatched は、ここでは「無比の、比類ない」のような意味で使われています。

match (匹敵する)ものが他にないということで、言われてみれば理解できますが、自分の口からは、なかなか出てきにくい言い方だなあと思いました。

unparalleledunequaled も unmatched と同じような意味があります。

unmatched には、上記の意味以外に、文字通りの 「釣り合わない、調和しない」 という意味もあります。

上下の柄や生地が別々のスーツは、unmatched suit です。

また、靴下の片方が見つからない時、その片方の靴下は、unmatched sock になり、unmatched には、「ペアのうちの片方の」 という意味もあるようです。

もともと対をなすもの、例えば、手袋なども、片方なくなってしまったら、unmatched glove です。

片方がなくなって、別々の異なる手袋を両手にはめると、Your gloves are unmatched. と言われるかもしれません。

match という語は、語源的に one of a pair という意味で、mate (連れ合い、対をなすものの片方) とも関連しています。

釣り合うということから、対等である、匹敵するのが match で、unmatched は、匹敵するものがないという意味でも使えるわけですね。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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