テレビでトランプ大統領の就任スピーチを聞きました。
内容については、世界中でニュースになっていると思うので、ここでは述べませんが、スピーチ後に、NBCのアナウンサーが言った表現について書いてみます。
世界各国からの出席者に対してinsulting(失礼な、無礼な)で、point-blankだった、というような感想を述べていました。
point-blankとは、「至近距離から撃つ直射、直撃」や「あからさまな、率直な」という意味です。
この表現はフランス語からの言葉で、もともとターゲット(的)のバックが黒で、真ん中の点が白(白は、フランス語ではblanc、ブラン)だったことから、的の中心部分をねらう、という意味になります。
至近距離から中心をねらう、ということは、それほど注意せずに撃てるということでもあり、blunt(ぶっきらぼうな、無遠慮な)ということになるのかもしれません。
トランプ大統領の性格について何度か耳にした表現で、What you see is what you get.(ご覧の通りです、そのままです)が、あります。 straightforward (正直な、まっすぐな)とも言えるかと思います。
このdivided States of Americaをさらにdivideしてしまったかもしれないようなスピーチでしたが、そのままのトランプ大統領という感じでした。
昨日、オバマ大統領の最後の記者会見があり、一部テレビで見ました。
オバマ大統領が、トランプ次期大統領へのアドバイスとして話した中に、下記のような文がありました。
This is the job of such magnitude that you can't do it by yourself. You are enormously reliant on a team.
(この仕事は、とても重大なもので、自分ひとりでできるものではない。 チームを信用して頼ることが非常に多い。)
magnitudeといえば、地震の大きさを表す単位ということで、なじみのある言葉ですが、他にもいろいろな意味があり、first magnitude stars(一等星)のように、星の光度も表せます。
上記の文中でのmagnitudeは、「重要性、重大さ」を意味します。
日常の生活で、重要ということを表すのには、important/importanceやsignificant/significanceという単語をよく使いますが、magnitudeという言葉は、「規模が大きいこと」という基本的な意味もあり、大統領の仕事というスケールの大きさを表現するには、適した単語だなあと思いました。
Ben Affleckの映画、Live by nightの紹介記事の中に、次のような文を見つけました。
禁酒時代のころのドラマで、Ben Affleckのスーツの着こなしについて、書かれていました。
Affleck, who is 6-foot-4, has the "perfect physique" for the tailored double-breasted suits of the era.
(アフレックは、6フット4インチで、その時代のあつらえのダブルのスーツには、完璧な体格だ。)
この記事の小見出しが、Those suits fit him to a T(それらのスーツは彼には完全にぴったりだ)となっていました。
to a Tは、「正確に、完全に、完璧に」という意味です。
T-shirtというと、T型のシャツということは、よく知られていますが、to a TのTは、何なのか気になりませんか。
以前に何かの雑誌で読んだことがあるのですが、そのときは、dress to a Tになっていて、このTは、teaのことで、イギリスでお茶会に出席するのにふさわしいように完璧な服装で、という意味だと載っていたのを記憶しているのですが、今回調べてみると、to a TのTは、はっきりした語源は分からないというのが事実のようです。
一番有力な説は、Tがtittle(小点)の略だというものです。 tittleとは、アルファベットのiやjなどに付いている小さい点のことですが、そういう小さい点まで完璧に、という意味があるとのことです。
いずれにせよ、to a Tは、perfectly、exactlyなどと同じ意味で使われます。
一月の第三月曜日は、一年のうちでthe most depressing day(最も憂鬱な日)ということになっていると、テレビのニュースで伝えられていました。
週末が終わって、また一週間がはじまる月曜日というのは、blue Mondayと言われますが、特にこの時期は、楽しいホリデーシーズンも終わり、気候も寒く、気落ちしてしまうのも分かるような気がします。
どのようにして、depressingな状態にならないようにすればよいかについては、人と会って話したり、エクササイズをしたり、映画を見たりというような案が述べられていました。
偶然、先日私たちが見てきた映画についての記事が新聞に載っていました。
The uplifting NASA drama, Hidden figures, stayed on top(of the box office) for the second straight week.
(楽しく感動的なNASAでのドラマ、Hidden figuresは、二週連続で売り上げが一位だった。)
upliftingという形容詞は、depressing(人を気落ちさせる、憂鬱な、気のめいるような)の反対で、「楽しくさせる、幸せにさせる」という意味です。 inspiring(感激させる)、 moving(感動させる)、 cheering(元気づける)、 feel-good(幸福感を与える)などと言いかえることもできるかと思います。
upliftは、raising moral, spiritual, cultural level(道徳的、精神的、知的レベルを高めること)という意味もあるようで、下記のように使われます。
Good books give us an uplift.(よい本は、私たちを知的に向上させてくれる。)
何かupliftingなものを見つけて、depressingな状態にならないようにしたいなあと思います。
新聞のオピニオン欄の同じページの別の記事に、indisciplineとundisciplinedというよく似た単語が使われていました。
どちらもトランプ次期大統領についての記事です。
It's his chronic indiscipline, his jumping randomly from one subject to another without rhyme, reason or larger strategy.
(それは、彼が、何の道理も説明も大きな戦略もなく次から次へとテーマに手当たり次第に飛びついていくという彼の慢性的な無秩序だ。)
Wednesday's undisciplined news conference was not encouraging.
(水曜日の行儀の悪い記者会見は、励みにはならなかった。)
indisciplineもundisciplinedもdiscipline(d) (訓練、規律、しつけなど)の反意語ですが、名詞として使われる場合は、indisciplineになり、形容詞として使われる場合は、undisciplinedとなります。
このような接頭辞のin、un、またdisなどは、紛らわしく、意味がかなり変わってくるものもあるので気をつけないといけませんね。
例えば、uncomfortableは精神的に心地よくない状態や、着心地、履き心地が悪いという場合に使えますが、discomfortは、食べ過ぎたりしたときの胃の不快感などを表すのに使えます。
面倒ですが、その都度覚えるよりほかありませんね。
世界史の授業で、今どんなことを習っているのかと息子に聞くと、Enlightenmentという単語が返ってきました。
一瞬何のことか分からなかったのですが、話を聞いていると、ヨーロッパの「啓蒙思想」のことだなあというのが分かりました。
日本で世界史を習ったときに、この「啓蒙思想」という言葉の意味を深く考えなかったのですが、啓蒙の蒙は、物事に暗いこと、啓は、ひらくことということで、知らなかったことをを知るというような意味です。 それまでの封建的な思想を批判して、人間性の解放をめざすというような意味で記憶したように思います。
enlightenmentという単語には、lightという言葉が入っているように、暗くて分からなかったことを、光を照らして、分かるように導いていくというようなことで、「教化、啓発」などという意味になります。
大文字で、the Enlightenmentとなると「ヨーロッパの啓蒙思想、運動」となります。 なるほど、日本語の難しい啓蒙という言葉より、理解しやすい言葉だなあと思いました。
また、enlightenmentの中には、lightenという動詞も入っていますが、こちらは、物理的に「明るくする」という意味や、もうひとつ「軽くする、元気づける」という意味になります。
先日、入ったレストランのチラシに、Our enlightened menu just got better!と書かれていました。
このレストランは、普通のアメリカ人があまり食べないような材料を使って、カロリーも少なめにいろいろなメニューを考えているようです。 例えば、日本のそばを使って、ブロッコリーやチキンをピーナツソースで食べるパスタのようなメニューがあります。
こういう食べ方を、一般のアメリカ人に教えようということで、ちょっと大げさに、enlightenという単語が使われています。
個人的には、そばは、やっぱり、ざるそばか、天ぷらそばがいいなあと思いますが、たまには、こういうメニューを食べてみて、enlightenされるのもいいかもしれないなあと思いました。
啓蒙思想から話が脱線してしまいましたが、英語では世界史用語も身近に感じることができます。
下記は、新聞のオピニオン欄の記事の見出しです。
What happened to the honeymoon period for President-elect Trump?
(トランプ次期大統領のハネムーン期間はどうなったのか。)
新婚旅行中にトランプ次期大統領が、他の女性にちょっかいでも出したのかと思ってしまうかもしれませんが、このハネムーンは、新婚旅行のことではありません。
honeymoon periodとは、次期大統領が選挙で当選してから就任するまで、ものごとが順調に進み、また就任後、大統領と議会などの関係が幸せな期間のことです。
また、新しい会社に就職した後の訓練期間中で、大目に見てもらえる時期も、honeymoon periodと言えます。
新婚カップルのように、最初はお互いに思いやりをもって接する期間が終わると、だんだんと本音が出てくるということになりますが、トランプ次期大統領は、そうではないというような記事でした。
Normally, newly elected presidents enjoy a wave of goodwill that allows them to fly high at least through their first 100 days.
Donald Trump has not yet been sworn in and the honeymoon has already come and gone.
(普通は、新しく選出された大統領というのは、たくさんの好意を経験し、せめて最初の100日ぐらいは順調にいくものだ。 ドナルドトランプは、まだ大統領としての宣誓をしていないのに、ハネムーンはもう過ぎ去ってしまった。)
Presidents-elect usually lie low during the interregnum.
(次期大統領というのは、通常、政権の移り変わるこの時期は、おとなしく引っ込んでいるものだ。)
その後の記事は、トランプ次期大統領が、もう大統領になったかのようにふるまっているというような内容でした。
昨日、オバマ大統領がバイデン副大統領に、Presidential Medal of Freedom(大統領自由勲章)という一般市民に贈られる最高位の勲章を贈られたことがニュースで伝えられていました。
バイデン副大統領は、涙を流しながら、I don't deserve this.(こんなすばらしい勲章は、私には値しない。)と謙遜しながらも、次のようなことわざを述べて気持ちを表していました。
What comes from the heart enters the heart.
(心から来るものは、心に通じる。)
オバマ大統領の心からの気持ちが分かるので、ありがたくこの勲章を受けるということですが、このことわざは、私たちの生活の中でも感じることだと思います。 心をこめてしたことは、相手の心に届くという、すてきなことわざだなあと私も心を動かされました。
この感動的な場面で、次のようにオバマ大統領が最後にジョークを言っていたのも、なごやかな感じでよかったです。
The tribute gives the internet one last chance to talk about our bromance.
(このような賞賛の機会は、最後にもう一回、インターネット上で僕たちの友情について話すチャンスを与えるだろう。)
bromanceは、bro + romanceの造語ですが、男同士の固い友情を表す言葉で、たまに見聞きします。
broは、brotherのことで、兄弟のように思っているような友情と言えるかもしれません。
broは、学校で仲の良い男の子同士で、Hey broなどと呼びかけとしても、よく使われます。
オバマ大統領とバイデン副大統領の任期が、あと一週間で終わると思うとさびしい気持ちになります。
先日、家族でHidden figuresという映画を見に行きました。
人種差別の中、数学者の黒人女性3人が、NASAで活躍した実話で、よい映画でした。
その映画の中の、ひとりの俳優について、息子が、He was the antagonist.と言いました。 antagonistという聞き慣れない単語を耳にしたのですが、その俳優のの役割から、なんとなく意味を想像しながら辞書を引いてみました。
antagonistとは、「ドラマなどの主人公の敵対者、ライバル」という意味のようです。
では、主人公の方はどう言うのかというと、protagonistだそうです。
要するに、main characterがprotagonistで、その敵対者がantagonistだということです。
そこで、ふとドラマなどのいわゆる「悪役」という意味の単語の「villain」を思い出したのですが、こちらは、悪質な役柄で、「悪人、悪党」という感じで、antagonistは、必ずしもvillainではないようです。
villainの反対語は、heroになるようで、例えば、007のジェームスボンドと戦う相手は、villainになるかと思います。
私たちが見た映画の中の、antagonistは、白人の男性で、最初は、黒人のしかも女性の数学者ということに対して、敵対心を持っていましたが、最後にはその実力を認めるという形で終わりました。
子供に人気のあるDiary of a Wimpy Kidという本のシリーズがあり、日本でも「グレッグのダメ日記」として翻訳本が出ています。
その最新版を読んだのですが、その中に次のような文がありました。
主人公のグレッグが、バンドのコンサートに出るのに、自分の担当のフレンチホルンが全然うまく吹けないので、同じフレンチホルン担当の生徒に頼ろうとしています。
I realized if I just piggybacked on him and pretended I was playing, he could do the work for both of us.
(彼に便乗して自分が吹いているようなふりをしたら、彼がぼくたち二人分の仕事をすることになるなと思った。)
piggybackは、「おんぶする」で覚えていましたが、この文のように、piggyback onで、「--に便乗する」という使い方もあります。
「おんぶに抱っこ」という言葉がありますが、「おんぶする」には、動作としてのおんぶの他に、「人に頼ること」を意味するのは、日本語も英語も同じですね。