アメリカの南部は、Bible Belt (聖書地帯)と言われますが、確かに、会話でも、文章の中でも、聖書に関連する言葉が、入っていることがあります。
the Golden Rule (黄金律)というのもその一つで、よく見かけるのですが、昨日の新聞の記事の中にも次のような文がありました。
Schools are the easiest target for what's wrong with our world, but it is in the intact, traditional family, demonstrating and teaching the Golden Rule, that children have the best chance for succeeding in the world.
(学校を世の中の悪に対しての攻撃対象にするのは簡単なことだが、実は、変わらない従来の家族というものが、黄金律を説明し、教えることにより、子供は世の中で成功する機会を見つけるのです。)
the Golden Rule とは、聖書には、次のように書かれています。
Mathew 7:12
Therefore, whatever you want men to do to you, do also to them, for this is the Law and the Prophets.
(それゆえ、あなたは、自分にしてほしいことを、他の人にもしてあげなさい。 これが、律法と預言者=旧約聖書の教えだから)
the Golden Rule は、「黄金律、行動規範」などと訳されていますが、要するに、自分がされて嫌なことは、人にもしない。自分にしてほしいことを人にもしようという、道徳の基本ですね。
日本の学校は、道徳の時間がありますが、こちらでは、聖書を通して学ぶということでしょうか。
アメリカでは、 the Golden Rule として知られていますが、日本では、孔子の「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」という言葉の方がよく知られていますね。
学生の頃、キリスト教学を一般教養として、取ったことがありますが、宗教としてではなく教養として聖書を読むのは、おもしろかったように記憶しています。
敬虔なキリスト教徒の友人からもらった聖書があるのですが、たまには読んでみるのもいいかなと思ったりしています。
息子が漢字の勉強をしていて、「陥落」という熟語は、どんな風に使うのかという質問をしてきました。
そこで、お城の陥落など、いろいろな例文を言っていたのですが、「陥落」って、英語ではどう言うんだろうと気になりました。
和英辞典を引くと、次のような語が並んでいました。
fall、surrender、sinking、subsidence など、言われてみれば、そんな感じですね。
そんな中に、次のような例文もありました。
The Giants tumbled down to the cellar.
(ジャイアンツは、最下位に陥落した。)
この、cellar という単語ですが、「ワイン貯蔵室、地下貯蔵庫」という意味では、知っていましたが、このように使われるのは知りませんでした。
cellar は、地下にあるということから、「スポーツ競技においての最下位」という意味があるそうです。
辞書で見ただけなので、本当にそういう風に使うのかと、夫に確かめたところ、Our team is in the cellar. (僕らのチームは、最下位だ。)のように、使うそうです。
余談ですが、cellar と seller は、同音異義語ということになっています。 ウェブサイトなどで、発音を聞くと、多少違いがあるようにも感じますが、微々たる差なので、同音となっているのでしょうね。
漢字の勉強が、英語の勉強になりました。
日本の本屋さんで、本を買うと、「ブックカバーをお付けしましょうか。」と聞かれることがあります。
この cover という言葉ですが、もちろん、「覆うもの、カバー」の意味もありますが、本の cover というと、本の「表紙」ということになります。
息子が小さかった時によく見ていた、機関車トーマスの中で、Don't judge a book by its cover という歌のタイトルがあったのを思い出します。
これは、本を表紙で判断するなということですが、表面だけでものごとを判断するものではないということを言っています。
本の表紙は、cover ですが、ではその上に付いているカバーは何と言うのかというと、jacket のようです。
本に付いている、ぺらっとはがれるカバーは、jacket です。
book jacket と言ったり、dust jacket という言い方もあるようです。
そう言えば、昔のレコードが入っていたカバーは、レコードジャケットと言っていましたね。
では、本屋さんがつけてくれる書店の名前が入ったカバーは、jacket なのでしょうか。 cover なのでしょうか。
これは、ゆれがあるようです。 そもそもアメリカでは、そういうカバーを付けてくれないので、その名前もはっきりしないのかもしれません。
dust jacket は、本に付いているカバーですが、dust cover は、一般的にほこりがかからないようにカバーするためのもので、ちょっとややこしいですね。
もうひとつ思い出しましたが、学校の教科書にかぶせるためのカバーで、book cover と呼ばれるものが売られているので、book cover という言葉が存在しないということではないようです。
まとめ
本の表紙........ cover
本に付いているカバー...... jacket (book jacket, dust jacket)
教科書など、本を保護するためのカバー ..... book cover
トランスジェンダーの人や性別についての記事を読んだときに、asexual (性に無関心の、無性の)という単語に出くわしました。
男性にも女性にも性的に興味がないという人は、asexual だということです。
asexual は、a + sexual で、この a は、not (否定)を表わします。
辞書で a を引くこともあまりありませんが、接頭語の a として、ギリシャ語系の単語に付いて、「非、無、欠如」を表すと載っています。
母音の前では、a は、an になります。
他にどんな単語があるのか、身の回りで見聞きする言葉を探してみると、次のようなものがありました。
apolitical (政治に無関心の) ⇔ political
abiotic (生命のない、非生物の) ⇔ biotic
ついでに、ヤクルトは、アメリカでも普通のスーパーで売っているのですが、probiotic (生菌剤、微生物の成長を刺激する)と、パッケージに書いてあります。
atheist (無神論者)
この単語は、atheist と、ひとまとまりで覚えていましたが、a + theist ということで、theist は、有神論者ということです。
有神論者は、クリスチャンやムスリムなどと個別の宗教名で使われることが多いので、theist は、会話で耳にすることはあまりありません。 反対に、atheist という単語は、神を信じていない人という意味で、よく使われています。
anarchy (無政府状態)
この単語は、an + archy で、archy は、「政治、政体」を意味します。
monarchy (君主制)などとも使われますね。
このように、単語の成り立ちを見ると、覚えやすくなるように思います。
ただ、a で始まる単語で、この部類に属さない単語もたくさんあり、さまざまな語源、組み立てられ方があるので、簡単なことではありませんが。。。
お店のレジで、ピッツピッツと、品物をレジに記録してもらいますが、その動作のことを、英語で何と言うのか、よく見る風景なのですが、あまり自分で言う必要がなかったのか、ちょっと考えてしまいました。
何かの記事で次のような文に出会いました。
By the time the clerk had already rung up my groceries, I realized I did not have money with me.
(店員が、もうすでに、私の食料品をレジで打ち終わったときになって、お金をもっていないということに気づいた。)
「売り上げをレジに記録する」という意味で、ring up が使われています。
ring は、辞書に擬音語だと載っていますが、リンリンと鳴るということで、レジに品物を打つときにも音が鳴るので、なるほど、ring up でぴったりですね。
ring up は、他にも、「電話をする」という意味もありますが、アメリカでは、call up の方が一般的によく使われます。
陸上競技のリレーについての記事を読んでいると、leg という単語が、「脚」とは違う意味で使われているのに気づきました。
例えば、次のような文がありました。
Alyson Felix, running the second leg on the winning team, earned a record 15th medal at the world championships in a career going back to 2005.
(アリソン フィリックスは、勝利チームの第二走を走り、2005年からのキャリアの中で、世界選手権で記録の15個目のメダルを獲得した。)
このような leg には、「競技などの一区切り」という意味があるようで、ここでは、リレーの一区間を意味しています。
第一走は、first leg とも言えますが、lead leg と書かれていることもあります。
第二、第三は、second leg、third leg で、第四は、アンカーなので、fourth leg でもよいのですが、anchor leg とも言います。
今回の世界陸上も、いろいろなドラマがあり、感動する場面がたくさんありました。
次のように、snake (蛇)という単語が、動詞として使われているのを新聞で見かけました。
Only a few hours into Tax-free Weekend on Friday, the line at Old Navy was already snaking around the waiting area.
(消費税を払わなくてもよい週末の金曜日には、2、3時間もすると、オールドネイビーの待合スペースでは、列がすでに蛇のように曲がりくねっていた。)
8月末に、新学期が始まりますが、この消費税がかからない期間を利用して、文房具や子供の服や靴を買う人が多いようです。
列が、へびのように長くくねって動いている様子をsnake で表しています。
そこで、思い出したのが、日本語の「長蛇の列」という表現です。
こちらは、蛇のような長く続いた列ということですが、蛇の曲がりくねったという様子は、含まれているのでしょうか。
長蛇の列は、蛇の長さに重点を置いていて、英語の snake は、長さよりも、曲がりくねった様子 (bending、twisting )を意味しているように思います。
snake には、wind in the manner of a snake (へびのように曲がる)という定義も載っていました。
ちょっとしたことですが、目の付け所が違って、おもしろいなあと思いました。
ロンドンで世界陸上が行われていましたが、テレビで女子の4x400メートルリレーを見ていると、アメリカがだんトツで一位でした。
だんトツというのは、断然トップの略ですが、こんな風に、日本語と英語を混ぜて、省略してしまうような言葉は、日本語学習者には、難しい語彙でしょうね。
だんトツで走っているアメリカ人走者のことを、テレビの解説者は、次のように言っていました。
They are in the driver's seat.
(彼らが、レースを支配している。)
driver's seat というのは、もちろん、ドライバーが座る席で、ドライバーが、行き先などを決めたり、コントロールできる立場にあるということで、be in the driver's seat は、「支配できる立場にある、責任者の立場にある」という意味です。
確かに、アメリカと他の国との差は大きく、他のチームを支配しているという感じでした。
熱いものを急いで食べて、口の中の上部をやけどしてしまうことがありました。
口の中の上部のことは、口蓋という言葉があり、これは、英語では palate となり、ラテン語系の単語です。
ただ、こういう専門的な用語は、あまり会話では使われず、簡単な言い方がありました。
palate と辞書を引くと、口蓋 (口の中の天井部分)と載っていたのですが、まさにその天井という単語、roof を使って、roof of the mouth と言えばよいそうです。
私が、口の中の上部をやけどしてしまったと言うと、そこは、roof と言うと家族にも言われました。
なるほど、簡単な言葉ですが、ぱっと出てこないもので、勉強になりました。
農業地帯を運転していると、牛の群れがあちこちで草を食べている風景によく出くわします。
そんな時に思い出すのが、until the cows come home という慣用句です。
牛は、朝、ミルクを搾った後は、のんびりとしていて、放っておくと、いつまでも小屋にもどらないようです。
そういうところから、until the cows come home は、「いつまでも、長い間」という意味になります。
You can wait for him until the cows come home.
(いつまでも、彼を待てばいいさ。)
待っても無駄だという含みがあり、You can wait for him until the cows come home, but he won't come. という意味になります。
もうひとつ例を挙げてみます。
You can discuss the issue until the cows come home (, but you won't reach agreement.).
(いつまでもその問題について討論すればいいさ。)(同意に至るのは無理だろうけど。)
牛の姿を眺めていると、確かに牛が小屋に帰るまでには、長い時間が必要だろうなあと思いました。。