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モデル人形

NHKの朝の番組の中で、AED の使い方について、人形を使って説明していました。

そしてタイミングよく、私の住んでいるマンションでも避難訓練やAED 体験などが行われるというチラシが入り、AED の訓練を体験しておくのも悪くないかなあと考えているところです。

AED とは、Automated External Defibrillator の略で、「自動体外式除細動器」と訳されていますが、次のような定義が載っていました。

心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器

なかなか素人には難しそうな作業で訓練しないと、とっさのときに行動できませんね。

前置きが長くなりましたが、このような訓練をするときの人形は、日本語では「人形」でよいのでしょうが、英語で doll というのもちょっとおかしいですし、mannequin (マネキン)でもないような、ぴったりの言葉を考えながら、テレビを見ていると、夫が、自分もアメリカにいたころ、職場で、dummy を使って AED 訓練をしたことがあると言いました。

なるほど、dummy が、いいようですね。

よく車の安全性チェックの衝突実験などで使われるような人形も dummy ですね。

mannequin は、主に衣料品店で、洋服を着せて展示するマネキンということですが、AED の訓練で使うような人形 という意味で使うことも間違いではないようです。

mannequin は、フランス語では、マヌカンという発音になりますが、「招かん」という発音では縁起が悪いのでマネキンになったという説があるようで、おもしろいですね。

dummy は、「模造品、代用品」を意味する言葉で、いろいろな状況で使えるようです。

替え玉的に使うアメフトの練習人形や、射撃練習用の標的人形もそうです。 腹話術の人形も dummy でよいそうです。

そして dummy は、「バカな人」という意味もあります。 

dummy は、dumb + y で、「口がきけない」というのがもともとの意味です。

mannequin は、little man というのが文字通りの意味で、芸術家が人間のモデルとして使っていたものです。

dummy と mannequin は、どちらも人形で、同じように使える場合もありますが、語源はかなり違うようですね。

もうひとつ、ふと思い出しましたが、駅などでよく見かけるとてもいいにおいのするベルギーワッフルを売っているお店がありますが、あれは、Manneken という名前ですね。

Brussels にある Manneken Pis (小便小僧) からつけられた名前のようですが、この manneken と mannequin の語源は同じで、どちらも little man ということのようです。 

pis は、「おしっこをする」という意味で、英語の piss と似ていますね。 

AED のニュースのおかげで、マネキン人形とベルギーワッフルのお店の名前の共通点まで分かり、ちょっとうれしい気分です。。


足元に注意

先日、電車に乗っていて、電車のドアが開いたときに、プラットフォームの上に、ひらがなで、「あしもと、ちゅうい」と書かれているのを見つけました。

ひらがなで書かれてあるのは、子供にも分かるようにということなのでしょうね。

そして、「あしもと、ちゅうい」の下に、Watch your step. と書かれていました。

そこで、香港の地下鉄の Please mind the gap. というアナウンスを思い出しました。 
電車が止まり、ドアが開くたびに、このアナウンスが流れるので、何度も聞きました。

このアナウンスは、イギリスでも同じようで、イギリス英語ということですね。

足元に気をつけるというのは、Watch your step. という英語が合いますね。 イギリス英語の Please mind the gap. は、電車とホームの間のすき間に気をつけるということですが、そういう日本の駅のアナウンスも、聞くことがありますね。

Please mind the gap. の mind は、命令形で 「注意を払え、用心せよ」という意味ですが、アメリカでは、このような使い方はしないので、このアナウンスは、アメリカ人には新鮮な感じがするようです。

アメリカなら、Be careful with the gap. や、Watch your / the step. のようになるのでしょう。 

注意を払えよりも、足元を見ろというアメリカ英語の方が、直接的ではっきりしている感じですね。


手の甲

たまたま読んでいた資料の中に、palm (手のひら)という言葉があり、ふと、手の甲は何と言うのだろうと考えてしまいました。

近くにいた夫に聞くと、うーんとちょっと考えてから、back of the hand かなと言います。

ちょっと自信なさそうな返答だったので、調べてみましたが、それでよいようで、オンライン辞書にも載っていました。

日本語では、手の「表」が手の甲で、手の「裏」が手のひらになるかと思いますが、英語では、手の甲が、back = 手の後ろ、手の背中部分ということになるわけですね。 ちょっと不思議な感じがしました。

palm は、「手のひら」以外に、「ヤシの木」という意味もありますが、これは、ヤシの木が、手のひらを広げたときに似ているからということのようです。 

でも、考えてみると、ヤシの木の葉の部分は、手のひらではなく指の部分に似ているということですね。

palm は、動詞で使うと、「掌中に隠す、こっそり盗む」のような意味もあるようです。

A magician palms a coin in his palm.
(そのマジシャンは、コインを手の中に隠している。)のように使えます。

また、face-palm は、手のひらで自分の額から鼻のあたりを覆うしぐさですが、これは、つまらないジョークなどを聞いたときに困惑をあらわすようなジェスチャーです。 おやじギャグを聞いて、周りの人が 苦笑いしながら face-palm をする感じです。

手のひらを使ってすることはいろいろありますが、手の甲で何かをするということはあまりないようですね。

なので、それほど重要視されていない手の甲には、ちゃんとした名前がないということなのでしょうか。。



格下げ

アメリカの学校では、ミドルスクールのころから、リーディングや数学は、能力別に授業が行われます。

レベルが高い方のクラスに入っていても成績が悪くなってくると、下の方のクラスへ移動することになり、次のように言われることもあります。

He did not do well in the exam and was relegated to the lower level class.
(彼は、試験でよい成績が取れず、下のレベルのクラスへ格下げされた。)

relegate は、「より低い地位、状態に格下げする、落とす、降格させる」などの意味があり、サッカーの選手などが、下位リーグに降格する場合などにも使える言葉です。

そこで、以前に書いた「昇格と降格」についての記事を思い出しました。 

ご参考までにその記事は、こちらです。

この記事の中では、「降格」は、demote と書いていますが、demote と relegate は、どう違うのでしょうか。

どちらも下の地位への移動ということでは共通していますね。

relegate は、ラテン語 legare = send に、後退を表す re が付いて、後ろへ送るということから「格下げする、降格する」という意味になります。

また、delegate も「代表、使節」などの意味で見聞きする単語ですが、これも、同じように legare = send + de (から)ということで、「ある場所から人を送る」→「代表として派遣する」ということになります。

また、話がそれてしまいました。

demote も relegate も人を下の地位へ動かすということですが、demote は、ランクが下になるということに比べて、relegate は、より劣っているとされる地位や仕事につけるというわずかな違いもあるようです。

ほぼ同じなのかもしれませんが、なんとなく relegate の方が、ちょっと恥ずかしいイメージがあるのかなと思いますがどうでしょうか。

格下げは、気分のよいものではありませんが、人の能力には限りがあるものですね。

置かれた場所で咲いてみるのも悪くないのかもしれません。。

歯が長いということは?

アメリカの The Big Bang Theory という長年続いた人気コメディ番組が終了する理由について、主演の Jim Parsons が、次のように言っていました。

I don't know how much longer I can wear the T-shirts without looking really long in the tooth.
(〔ドラマで着ているような重ね着の〕Tシャツを、年とって見えないように着ることができるのは、あとどのぐらいなのか分からない。)

ドラマの中で、彼は、頭のいいオタクな研究者の役柄ですが、彼の着ているTシャツもオタクな柄のものが多く、そういうTシャツは、あまり年をとると似合わなくなるということを言おうとしている文です。

long in the tooth は、「年をとって、中年過ぎの」という意味ですが、歯が長いことと、年をとることとどんな関係があるのでしょう。

次のような理由が考えられると、Wikitionary に載っていました。

Possibly from the practice of examining the length of horses’ teeth when estimating their ages: an old horse has long, rectangular incisors, and their occlusion angle is steep.

(馬の年齢を推測する場合に、馬の歯の長さを調べる習慣からという可能性がある。 年とった馬は長い、長方形の切歯があり、噛み合わせの角度が急になっている。)

馬の歯ぐきが後退して、歯が長く見えるからという説明もありました。

そして、オンライン辞書には、次のような定義も載っていました。

If you describe someone as long in the tooth, you are saying unkindly or humorously that they are old or getting old.
(誰かを、long in the tooth と言うのは、その人を、不親切に、おどけて、年とっている、また年をとってきていると言うことです。)

long in the tooth は、old と同じように、人にもものにも使えるようですが、もともとは馬の年齢についての表現ということで、自分について言う場合はいいのでしょうが、人には、面と向かっては言わない方がいいでしょうね。 

気に入った服を見つけて、でももう年だから、こんな服は似合わないかなと思うようなときに、使えそうな表現ですね。

I think I am a little long in the tooth to wear this kind of shirt.
(私は、こういうシャツを着るには、ちょっと年をとっていると思う。)

馬の歯の長さなど考えたことありませんでしたが、さまざまな表現、使い方が生まれてくるものですね。


素質

日々の生活のいろいろな場面で、はっとする言葉に出会うことが誰にでもあるかと思います

私は、自分の心に響いた言葉に出会ったときは、ノートに書き留めています。

下記の言葉もそのうちのひとつですが、息子がまだミドルスクールのころの英語の教材のプリントに書いてあったものです。

Children must know that it is not their aptitude but their attitude that will determine their altitude. Jesse Jackson

(才能ではなく、態度が、彼らの高さを決めるということを子供たちは知らなければならない。 ジェシイ ジャクソン)

Zig Ziglar の Your attitude, not your aptitude, will determine your altitude. を、牧師で公民権活動家のジェシイ ジャクソンがこのように述べたようです。

才能だけではなく、努力をするというような態度がなければ、高いところへは到達しないということですね。

aptitude、attitude、altitude のように 3つの -titude で終わる単語が並んでいて語調がいいですね。

attitude は、「態度」、altitude は、「高さ、標高、高度」という意味ですが、aptitude を「才能」と訳しながら、talent とはどう違うのだろうと思いました。

ほぼ同じように使って問題ないようですが、aptitude は、その才能が、まだ十分に開花していない場合に使われることが多いという説明もありました。

例えば次のような例があります。

Although Phil had a remarkable aptitude for music, his financial situation made him give up his music career.
(フィルは、すばらしい音楽の才能があったが、経済的な事情で音楽のキャリアをあきらめた。)

aptitude は、生まれつき持っていて、能力などのもとになる「素質」に近いものかもしれませんね。

また、aptitude testは、「適正テスト」となり、aptitude には、「適正」という意味もあります。

すばらしい素質を磨くためには、努力は不可欠なものかもしれませんね。


垣根表現

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

a bit、almost 、mostly、a little 、perhaps、kind of、somewhat、sort of、maybe、suppose、 might、sometimes I wonder などは、よく見聞きする言葉ですが、これらは、hedge words と言われるものです。

hedge と言えば、「垣根」という意味ですが、言語用語としては、「語調をやわらげる言葉、ぼかし語句」ということになるようです。

英文の書き方について、ネイティブの先生にチェックしてもらうときなど、次のように言われることがあるようです。

I like the use of your hedges.
(君のぼかし語句 / 垣根表現の使い方がいいですね。)

hedge を、動詞で使うと、「生け垣で囲う」という意味がありますが、生け垣で囲ってはっきりと見えなくするようなイメージなのでしょうか。 相手との間に垣根を作って、距離を保つということなのでしょう。 hedge には、「言葉を濁す、断定的なことを言うのを避ける」という意味もあります。

話している相手の考え方が分からないときなど、自分の意見をはっきり述べずに、相手の出方を見るような場合もありますね。 そのように言葉を濁すために使うのが hedge words ということです。

はっきりと、そうだと言わずに、そうかもしれないと言うようなことです。 それで、リスクが避けられることもあります。

そして、hedge には、「大きな損失が出ないように手を打つ[投資先を分散する]」のような意味もあり、hedge fund という金融用語もありますね。

He is fat. と言うよりも、kind of (ある程度、やや、ちょっと)のような垣根表現を入れて、He is kind of fat. (彼は、ちょっと太ってるね。)と断定を避けたい場合もありますね。

相手との衝突を避けて、より平和的に話すためには、垣根表現は必要なものですね。

自分の意見をはっきりと述べることも時には必要なことですが、他の考え方や可能性もあるという認識を持って、適度な垣根表現を使って話すことも大事ですね。

ちょっとした言葉が、人をとても幸せにしたり、また傷つけたりするものです。
今年一年、みなさんのまわりで、おだやかな平和なときが流れますように。。

お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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