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crisp と crispy

私が夫の母から教えてもらった最初のデザートレシピが、apple crisp という名前でした。

アップルパイは、パイ生地を作るのが面倒ですが、apple crisp は、薄くスライスしたりんごの上に、オートミールや小麦粉、ブラウンシュガー、シナモン、バターなどを混ぜ合わせたものを置いて焼くだけです。

やわらかいりんごとさくっとしたトッピングの組み合わせがおいしいデザートです。 アメリカ人は、これにバニラアイスクリームを添えて、さらに甘くして食べることもあります。

crisp は、「ぱりぱりした、さくさくした」 という意味の形容詞で、名詞としても使われます。

アメリカでは、potato chips ですが、イギリスでは、potato crisps となるそうです。

そして、「ぱりぱりした、さくさくした」 という意味なら、crispy と言う場合もありますね。

クッキーやおせんべいなら、crispy と言う方が多いかもしれません。 でも、しゃきっとしたりんごなら、crisp の方がしっくりします。 

apple crisp → デザートの名前で、りんごはやわらかく、トッピングがさくさくということ

crisp apple → 新鮮でしゃきっとした生のりんご

辞書を見ると、crisp には、「野菜やくだものが新鮮でぱりっとした」 という意味が載っています。 辞書には、この意味で、crisp = crispy と載っているのですが、どうも釈然としないものがあり、ちょっと調べてみました。

The Linguist List というサイトに、crisp の意味の幅の方が広く、crispy は、乾燥したものにのみ使えるということが書かれていました。

なるほど、crispy apple がちょっと不自然に感じるのは、りんごが生であり、乾燥していないからなのかもしれません。 そして、クッキーなど焼いて乾燥したものは、crisp cookies でも crispy cookies でも大丈夫です。

crisp と言えば、天気や空気にも使え、「すがすがしい、さわやかな、身の引きしまるような」 という意味で、crisp autumn air (さわやかな秋の空気) のように言うのを聞くことがあります。

また、crisp には、「話などが短く明瞭な」 という意味もあり、次のようにも言えます。

His report is always crisp and clear.
(彼の報告書はいつも簡単明瞭である。)

crispy よりも crisp の方が抽象的なものにも使えて、意味の幅が広いのは確かなようです。


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ぎゅうぎゅう詰め

ラッシュアワーの時の電車の中の人の様子を、夫が次のように言ったことがあります。

They are packed like sardines.
(ぎゅうぎゅう詰めだなあ。)

電車が満員で、人と人がくっついている状態を見て、缶詰の中のくっついて並んでいるオイルサーディンを思い出すようです。

日本人の持っている 「鰯」 のイメージとは、ちょっと違うみたいで、多くのアメリカ人にとっては、「鰯」 は、長方形の缶に入ったものなのでしょうね。

be pack (in) like sardines で、「すし詰めになっている」 という意味です。 packed の代わりに、squashed と言うこともできます。

すしを折り箱に詰める場合、隙間なくびっしりと並べられることが、すし詰めで、そのように、人や物が少しの隙間もなくいっぱいに詰まっていることです。

同じ状態を見ても、日本語と英語で、喩え方が違うのがおもしろいですね。

sardine は、地中海に浮かぶイタリアの西にある島、Saldinia (サルデーニャ島) が語源のようで、その近辺で鰯がとれて輸出されていたのではないかということですが、真実かどうかは分かりません。

また、詰め込み教育の塾などのことを、cram school と言いますが、cram も 「ぎっしり詰める」 という意味で次のように使われます。

The train was crammed with people.
(電車は満員だった。)

ここでひとつ注意すべきことは、be packed like sardines の場合は、通常は、びっしり詰まっている人やものが主語になるので、主語は、we、people などの複数形となります。

cram の場合は、上記の文の train のように、詰まっている場所も主語になります。

和訳すると同じような意味の言葉でも、どのような状況でどのように使うのかを知ることは大事なことですね。 

こんな風に使うのだという状況とともに例文で覚えると頭に定着しやすいですね。


精米する

アメリカに住んでいたときには、カリフォルニア米を食べていて、それはそれでおいしかったのですが、やっぱり日本のぴかぴかした新米は、それだけでごちそうだと思ってしまいます。

近所のオーガニックの野菜を売っているお店の一角に、お米(玄米)を、その場で精米してくれるサービスがあり、試してみました。

おいしかったのですが、炊き上がりの色が、いつも食べているお米よりも、ほんのり黄色がかった感じでした。

玄米から、bran (ぬか) と germ (胚芽)を削り取ったものが白米ですが、その削る部分が少なかったのかもしれません。

玄米は、見た目の通り、brown rice です。 そして、brown rice を polish したものが、白米 = white rice ですね。

polished rice が、白米で、unpolished rice が、玄米ということにもなります。

polish と聞くと、テーブルなどの表面を 「磨く」 という意味がまず浮かびますが、「精米する」 という意味もあり、次のような定義が含まれています。

To remove the outer layers from (grains of rice) by rotation in drums
(回転ドラムにより、(米粒から)外層を取り除くこと)

また、polish には、比喩的に、「(文体や動作などを)洗練させる」 という意味もあり、次のように名詞としても使えます。

His poetry has clarity and polish.
(彼の詩は、明瞭で洗練されている。)

磨きがかかるということは、洗練したということですね。

お米に関しては、玄米の方が栄養があるのかもしれませんが、やっぱり polished rice = 白米がおいしいなあと思います。

でも、unpolished rice を少しずつ取り入れるのも健康にはよいでしょうね。


aquarium について

大阪には、観光地の一つでもある海遊館という大きな水族館があり、私も何度か行ったことがあります。

水族館は、英語で、aquarium ですね。

そして、aquarium が、「水槽」 という意味でも使われることもありますね。

家で金魚を飼う水槽も、鯨などが泳いでいる大きな水槽も aquarium で、たくさんの水槽がある水族館の建物のことも aquarium です。

「金魚鉢」 という言葉があるように、小さいものは、fish bowl という言い方もあります。 また、水槽は、fish tank とも言えますね。

ついでに、fish bowl には、その姿のように、「ガラス張りの場所、どこからでも見える状態」 ということで、プライバシーがないことを意味し、次のように使うこともできます。

That politician lives in a fish bowl.
(あの政治家は、ガラス張りの生き方をしている。) 

ところで、aquarium の複数形は、二通りあります。

そのまま s を付けた、aquariums と、 もともとのラテン語形の aquaria です。

語尾 um が、a になると複数形になるという例はよくありますね。

medium → media (情報伝達手段、媒体、メディア)
datum → data (データ、資料)
bacterium → bacteria (バクテリア、細菌)

aquaria は、あまり聞いたことはありませんが、次のように言っても、文法的には間違いではないということでしょうね。

There are a lot fo aquaria in the aquarium.
(水族館には、たくさんの水槽がある。)

aquaria という言葉を使わなければいけない状況もあまりありませんが、こういう形があることは覚えておいてもよいかもしれませんね。


ブローチ

先日テレビで 「レッドオクトーバーを追え」 という映画を見ていたのですが、その中で、潜水艦が浮上してくる場面があり、その様子を次のように言ってみました。

It is rising from the sea.
(それは、海から浮上している。)

すると、夫が次のように言いました。

It is called broaching.
(それは、broach(ing) と言う。)

夫は、私が簡単な表現をすると、私の語彙を増やそうとしてかどうか知りませんが、私の知らない表現を言ってくれるので、勉強になっています。

そして、いつも私は、それを辞書で確かめ、おもしろいなと思ったことは、このブログに書いています。

確かに、broach には、「(潜水艦や鯨などが)浮上する」 という意味があります。

そして、broach と言えば、「言いにくいことや話などを切り出す(持ち出す)」 という意味があり、次のように使えます。

He broached the subject of marriage.
(彼は、結婚話を切り出した。)

broach は、pierce (刺す、貫く、穴を開ける) という基本的な意味があり、料理で使う 「焼き串」 や、たるなどに穴を開けて中のものを出せるようにする、突き刺す道具というような意味もあるようです。

言いにくいことを伝えるときには、その相手を精神的に突き刺すような気分になるのでしょうか。。

ところで、女性が胸に刺してつけるアクセサリーのブローチを思い出したのですが、ブローチは、brooch で、broach と、スペルが少し違います。 でも発音は同じなので要注意ですね。

そして、フランス語では、broche に、焼き串とブローチの両方の意味がありますが、英語は、broach と brooch に分かれたようです。

潜水艦が、broach するというのも、海の表面を突き破るということなのでしょうね。 

洋服に穴を開けてつけるブローチと海の表面を突き破って姿を現す潜水艦ですが、意外なところでつながりがあるものだと思いました。


湯通しする

料理をするときに、野菜をさっと湯通しすることがあります。 野菜を炒める前に湯通ししておくと、素早く炒め物ができることもありますね。

blanch (湯通しする) という言葉は、よく料理番組でも耳に入ります。 同じように、parboil (半ゆでする、湯通しする) という言葉も 使われますが、文字通り、partially boil = 部分的に、ある程度ゆでるということですね。

blanch という単語は、もともとは、「白くなる、白くする」 という意味です。 

フランス語の 「白」 は、blanc / blanche で、アメリカのホワイトハウスは、フランス語では、Maison Blanche (メゾンブランシュ) です。

そこで、白くすることと湯通しすることと関係あるのだろうかと疑問に思いました。

ブロッコリーなどを湯通しすると、白くなるどころか、色が鮮やかになり、どうも納得がいきません。

また、blanch の定義の中に、「軟白する」 という言葉を見つけました。 初めて知りましたが、軟白とは、野菜の茎葉を白く軟らかく育てるために、人為的に光を遮って生長させることだそうです。

ねぎの茎やアスパラガスなどがその例のようです。

ということは、blanch asparagus という場合は、
①アスパラガスを湯通しする、
②アスパラガスを軟白栽培する、 という両方の意味があるということですね。

そして、次のような例文もありました。

His face blanched with horror.
(彼の顔は、恐怖で青白くなった。)

blanch は、ショックなどで、「顔が青白くなる」 という意味もあるようです。

無理やりこじつけるわけでもありませんが、沸騰したお湯に野菜を入れるのも、野菜にとってはショックなことなのかもしれないと思ったのです。

ショックを与えると、人間は青白くなるけれど、野菜は鮮やかな色になるのかなあと考えると、blanch という単語が少し理解できるのですが、どうなのでしょうか。


gender について

カリフォルニアの友人が、彼女の家の近所の小学校でリーディングのお手伝いのボランティアをしているのですが、彼女のクラスで、男の子なのに女の子の服装をして学校に来る生徒がいるそうです。

私の友人は、最初は、その生徒のことを、agender と表現していました。

agender は、a + gender で、a は、「否定」 を表し、gender 「性」 が無いという意味の言葉です。

以前に、否定の a について書いた記事があります→ こちらです。

agender は、no gender nongendered, genderless, genderfree, neutrois のようにも言われ、性が無い状態や中立的な性を表す言葉のようです。

その生徒は、自分が男なのか女なのか、しばらく分からない状態が続き、結局、女性として生きるということで、transgender であることを、母親が、学校に伝えたそうです。

この生徒のような transgender の場合は、代名詞を使う場合、She is.....のように、「彼女は、.....」 と言えますが、agender の場合はどのように言えばよいかと問題になるようです。

He でもなく、She でもなく、They での代用が多いようです。 また、agender の人のための特別の代名詞もできているようですが、実際どの程度使われているのかはよく分かりません。

いろいろな書類の性別の欄に、考えることなく女性の欄にマルをつけていましたが、そうできない人たちがいるのですね。

この生徒のように、小学校低学年で、transgender として生きる決断をするのがよいことなのか、もう少し様子を見てからでも遅くないのではと思ってしまいましたが、どうなのでしょう。。


ガラスの家

家族で話していた時に、夫が次のようなことわざを言いました。

People who live in glass houses shouldn't throw stones.
(ガラスの家に住む者は石を投げてはならない。)

ガラスの家に住んでいると、誰かに石を投げても、その誰かから石を投げ返されると、たちまち困ってしまいますね。

次のような解釈が載っています。

It means that one should not criticize others, because everybody has faults of one kind or another.
(皆、何らかの欠点があるのだから、他人を批判すべきではないということを意味する。)

また、日本語で、「すねに傷をもつ者は他人の批評などしないほうがよい。」 という訳も見つけました。

「すねに傷を持つ」という表現は、「他人に知られたくないことがある、やましいことがある」という意味のようで、すねは、弱点でもあるようですね。

他人に知られたくないことと言えば、skeleton in the closet という表現を思い出しますが、こちらは、「クローゼットに隠された白骨化死体」 ということで、「他人に知られたくない秘密」 ということなので、欠点や弱点とは、ちょっと意味がずれてしまいます。

もうひとつ、次のような解釈もあるそうです。

One who is vulnerable to criticism should not criticize others.
(批判に対して弱い人は、他人を批判するべきではない。)

自分が glass house のようにもろくて、批判されて傷つきやすいタイプの人は、他人に批判すべきではないということですね。

glass house のようにもろくないとしても、誰にでも触れられたくない弱みはあるかもしれませんね。 批判をするなら、心してせよと言うことなのでしょうか。 そして、自分のことを顧みて、そう簡単に人の批判をすべきではないということですね。


トレンチコート

最近は気温も上がってきて、街を歩いている人たちの服装を見ていると、少しずつ薄着になってきているように思います。

その中で、trench coat (トレンチコート)を着ている人を多く見かけます。

夫によると、trench coat は、もともとはsoldiers (兵士)が着ていたものだと言うので、少し調べてみました。

そもそも trench とは何なのでしょう。

trench に似た drench なら、「びしょぬれにする」という意味で、He was drenched by the rain. (彼は雨でびしょぬれになった。) のように使えますが、これは、関係ないようです。

trench は、次のような定義か載っています。

a deep and narrow hole, or ditch, in the ground, like the kind soldiers on frontlines might dig to give themselves shelter from the enemy

(前線の兵士たちが、敵から身を守るために土を掘ってつくるような深くて狭い穴または溝)

そのような英国の兵士たちが第一次世界大戦で着ていたレインコートが trench coat だったようで、水をはじくような、しっかりした素材だったのでしょうね。

また、お城の周りにある深い溝のことは、moat で、「堀」と訳されていますね。

そして、堀は、水で満たされていることが多く、幅も広い溝で、trench は、兵士が隠れるような場所なのでしょうね。

trench coat を着て、街をさっそうと歩いている人たちを見ながら、trench に身を隠し戦っている兵士を想像してしまいます。

同じ溝でも、trench coat と言うと、ちょっとおしゃれな響きもしますが、これが、ditch coat なら、あまり着てみたい気がしないだろうなあと思います。


腕 と 脚

新聞の折り込み広告の中に、ペルシャ絨毯の広告があり、きれいなデザインだったので見ていました。

夫に見せると、次のように言いました。

Yes, it's beautiful but costs an arm and a leg.
(そうだね、きれいだけど、相当高いだろう。)

cost an arm and a leg は、「相当なお金がかかる」という慣用句です。 

他にも、charge an arm and a leg 「相当なお金を請求する」や、pay an arm and a leg 「相当なお金を支払う」 のようにも使えるようです。

an arm and a leg は、文字通りに考えると 「腕と脚」 ですね。 それが、とても高価だという意味で使われていますが、この表現は第二次世界大戦後に使われ始めたようです。

戦争で腕や脚を失った兵士から、腕や脚のような大事なもの、そこから高価なものということになるようです。

値段がつけられるようなものではない腕や脚だからこそ、それだけ高価なものということになるのでしょうか。

ペルシャ絨毯も高くて手が出ませんが、それでもペルシャ絨毯の値段のことを言うのに、腕や脚というのはちょっと大げさな表現だなあと思いました。 通常は、very expensive で十分だと思いますが、表現の一つとしては覚えておいてもいいですね。

そして、right arm (右腕)は、日本語でも同じように、「頼りになる人、腹心」という意味ですね。

また、次のようにも言えます。

I would give my right arm for Billy Joel concert ticket.
(ビリージョエルのコンサートチケットが手に入るなら何でもする。)

give one's right arm は、「~するためには、~を手に入れるためには右腕さえも差し出す、何でもする、全力を尽くす、大きな犠牲を払う」 ということです。

心身の健康ほど大事なものはありませんが、人間の体の重要な部分を使って、ちょっと大げさに表現することがあるようですね。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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