fc2ブログ

retronym

retronym (レトロ二ム)という言葉を先日の新聞の記事の中で見つけました。

retro + onym から成る造語です。 retro = backward で、接頭辞としては、「遡って、後方へ、再びもとへ」 という意味です。

「レトロな、昔風の」 という形容詞 retro とは少し違います。

-onym は、ギリシア語で word、name (語、名前)を意味します。

retronym とは、以前からあるものが、技術の進歩などにより新しく生まれた同種のものの登場により、区別されるために使われる新しい表現や用語のことです。

例えば、black and white TV (白黒テレビ)のような言葉です。

白黒テレビしかなかった時代は、「テレビ」という言葉は、白黒テレビを意味していたけれど、カラーテレビが生まれたので、それと区別するために、白黒テレビと言う必要ができたということです。

このような言葉はいくつもありますね。

以前は、clock と言えば analog clock を意味していたので、わざわざ analog と言う必要がなかったところ、digital clock の誕生で、 analog clock と言うことにより区別できるということです。

conventional oven (従来のオーブン)というのも普段何気なく使われる表現ですが、これも microwave oven (電子レンジ) が出てきたためですね。

今日で平成という時代が終わりますが、これからも新しいものが生まれ、それに従い retronym も生まれることになるのかなあと思いました。


スポンサーサイト



口に出したくない問題

息子の学校のクラスに、1ヶ月以上も学校を休んでいた生徒がいたようです。 現在は登校しているので、生徒たちも安心したようです。

その生徒が学校を休んでいる間、クラスの皆は、どうしたのだろうと心配したり、気になりながら、あえてその話はしなかったようです。

そのような、皆が認識しながら、口に出したくないような重要な問題のことを、elephant in the room と言います。

We did not talk about the elephant in the room.
(僕たちは、その大きな問題のことにはあえて触れなかった。)

elephant (象)という大きな動物が部屋にいると、誰もが気づきますが、それについて話さないということですね。 

象の大きさと同じように、明らかにその問題は大きいけれど、あえて見ないようにするという感じでしょうか。

elephant in the room の elephant は、重要な問題という意味ですが、white elephant と言うと、「無用の長物」という意味です。

私の友人が、よく年末に white elephant gift exchange party をしていましたが、これは、自分の家で必要ないものを持ち寄って交換するというものです。

One man's trash is another man's treasure.
(ある人にとってのゴミは、ある人にはとっては宝である。)  ということですね。

また、elephant は、アメリカ共和党の象徴でもありますね。

そして、An elephant never forgets. と言われるように、象は記憶力がよいことでも知られているようです。

いろいろな喩えとして、elephant が使われるようですね。


目の下のクマ

寝不足や疲れで、目の下にクマができてしまうことがありますが、ある健康と睡眠についての資料を読んでいて、おもしろい表現に出会いました。

Sleeping is much more than just a means of getting rid of the bags under our eyes.
(眠ることは、ただ目の下のたるみを取り除くための手段であることをはるかに超えたことです。)

この bags が、ひっかかりました。

bag と言えば、もちろん、「袋、かばん」 が、一番に思いつきますが、辞書を見ると、「皮膚、布などのたるみ」 という意味が載っています。

なるほど、目の下の bags (複数形となるようです) は、たるみということなのですね。 

そして、have bags under one's eyes で、「目の下がたるんで、疲れているように見える」 という慣用句も辞書に載っています。

そう言えば、だぶだぶのズボンなどを、baggy という形容詞を使うこともありますね。

だぶだぶというのは、袋のようなということなのでしょうね。

でも、目の下のたるみまで、bags という単語を使うのは、ちょっと思いつきませんでした。

日本語では、たるみというよりも、目の下のクマと言う方が多いですね。

そもそもクマとは隈と書き、いろいろな定義がありますが、目の下のクマと言う場合には、「色の濃い部分」 という意味で使われているようです。

なので、英語でそれをそのまま表現すると、dark circles under one's eyes となりますが、実際には、次のように、bags の方も使われる表現のようです。

You have bags under your eyes. Did you get to sleep last night ?
(目の下がたるんで疲れて見えるよ。昨晩眠れたの?)

たるんだりむくんだりした結果、クマができる場合もあるかもしれませんね。

無理をすると身体は正直に反応しますね。 睡眠不足で bags ができないようにしたいものです。


女たらし と 博愛主義者

前回、womanizer という言葉について書いているときに、もう一つ、女たらしという意味の philanderer という単語を思い出しました。

今、手元にないので、本の名前は分からないのですが、ネイティブ用のマスターすべき単語集のような本に、philanderer が載っていました。

そして、この philanderer を辞書で引くと、近くに、philanthropist (博愛主義者、慈善家) という単語が載っています。

同じように、phil で始まる語ですが、「女たらし」 と 「博愛主義者」 では、意味は大きく違いますね。

ここで、philo (母音の前は phil になる) が何を表すか想像できるかもしれませんが、philo / phil は、loving = 愛する ということです。

そして、philanderer は、 phil + andr (= man) ということで、loving of man (人を愛する)というのが本来の意味のようです。 でも、man と言うより、woman を意味することになり、女たらしということになってしまいました。

一方、philanthropist は、phil + anthropo(= human being、mankind = 人間、人類) で、全人類を愛する博愛主義者となります。

そう言えば、「人類学」 は、anthropology で、そのままですね。

philanderer と philanthropist の語源だけ読むと、さほど違わないように見えますが、出来上がった単語の意味は大きく違うのがおもしろいなあと思います。

philosophy (哲学)も、loving of knowledge (知識を愛する)ということですね。

philanderer、philanthropist、 philosophy など、さまざまな愛があるものですね。


女たらし

息子が、Britney Spears の Womanizer という曲を聞いていました。

さびの部分で、何度も womanizer という言葉が繰り返されるのですが、womanizer とは、「女たらし、浮気者」 という意味で、playboy ということですね。

次のように使えます。

He had a reputation as a family man, but was actually a womanizer.
(彼は、家庭を大切にする男性という定評があったが、実際には浮気者だった。)

womanizer は、もちろん womanize という動詞から作られた言葉です。

womanize は、woman + ize で、-ize は動詞を作りますね。 memory が memorize になるようなものです。

woman を動詞にすると、どんな意味になるのでしょう。

元々は、make effeminate (女性的にする/なる)という意味があり、19世紀ごろから、chase women (女性を追いかける)という意味合いが加わったようです。

womanizer という言葉があるのなら、manizer もあるのだろうかと調べると、「男たらし、浮気者」という意味で、存在するようですが、どの程度使われる言葉なのかはよく分かりません。

すぐに異性の人といちゃつくような人、浮気者のことを、男女を問わず、flirt と言うのは、よく聞きます。

flirt は、flit (ひらひらと飛び回る、軽やかに飛ぶ)とも関連するようで、fly や flight などとも同源なのでしょうね。

気持ちが浮つく「浮気者」、軽やかに飛び回る? flirt 、女性を追いかける womanizer といった感じでしょうか。

こんな男性には気をつけましょう。。


ファスナーから考えたこと

アメリカ人は、fastener (ファスナー) を見ると、 zipper という言葉が出てくるようです。

私は、ジッパーよりも、ファスナーという言葉が先に浮かびます。 日本語に影響されているのでしょうね。

チャックと言う場合もありますが、チャックは、巾着(きんちゃく)のちゃくから来ているようで、語源は日本語なのですね。

fastener は、「留め具、ファスナー」 ということで、留め具全体を表す言葉なので、広い意味で、ボタンやねじ、釘なども fastener となります。 その点、zipper は、日本語で言うファスナーそのものを表す言葉のようです。

ところで、zipper は、ジッパーを締めたときの音から来た言葉です。 ジッパーの音は日本語でどのように聞こえるのでしょうか。 ヒューでしょうか、ビュッでしょうか。 それが、英語では、zip なのですね。

そして、zip と言うと、「ジッパーを締める」 以外に、「疾走する、敏速に動く、勢いよく進む」 という意味もあり次のように使えます。

I will zip through my work so I can go out for dinner with my girl friend.
(ガールフレンドと一緒に食事に出かけられるように、すごい勢いで仕事を片付ける。)

ジッパーで締めることも、ボタンをひとつひとつはめていくよりも速く締めることができるという含みもあるのかもしれません。

速いと言えば、fastener の中にも、fast (速い)が含まれますが、fast は、「速い」 という意味よりも先に、「留める、固定する」 のような意味があったようです。

また現代の fasten は、「留める、締める、結びつける」 という意味で使われますが、古英語では、fasten にも 「速くする」 という意味もあったようです。

そして、もうひとつ気になったことは、郵便番号の Zip code です。

この ZIP は、zone improvement program(配達区域番号制度) の略だそうです。 

そして、もちろん、郵便物が zip (効率よく速く)届くようにという意味がこめられているそうです。

zipper、fastener、Zip code には、速さという共通点があるということが言えそうですね。


共通項

分数 2/3 を英語で言うと、 two thirds となり、分母は序数になりますね。
3つに分けた2つ分なので、thirds と s が付いています。 1/3 なら、a third または、one third となります。

数学用語で、「分子」 は、numerator、「分母」 は、denominator と言います。
日本語の分子、分母というのは、中国語から日本へ入ってきた言葉のようですね。

numerator は、number、denominator は、name (命名する)というのが語源のようです。 denominator を見ると、nominate (ノミネート)という単語も浮かび上がってきますね。 

前置きが長くなりましたが、先日のオンライン記事の中で、英語について次のような文があり、その中で、common denominator が使われていました。

It's learned around the world by children in school as a foreign language and often becomes a common denominator between people of different nationalities when they meet while traveling, doing business or in other contexts.

(それ[= 英語] は、外国語として学校で子供たちが世界中で学び、異なる国籍の人々が旅行や仕事、また他の状況で出会ったときに、彼らにとっての共通項となることが多い。)

common denominator は、数学用語としては、「公分母」 と訳されますが、日本の数学の時間には、習わない言葉かもしれませんね。

公分母とは、「二つ以上の分数を通分したときの分母」 ということです。

ということは、最小公分母は、分母の最小公倍数ということですね。

2/3 と 1/5 の最小公分母は、15 ですね。

そして、上記の英文のように、common denominator のような数学用語が、「集団の各構成要素に共通すること、共通点、共通項」 という意味で比喩的に使われることがあるようです。

他の言語を話す人たちの中では、英語が共通の言語となるということですね。

公分母に共通項という意味があるということですが、考えてみると、日本語では、公約数や最大公約数という言葉も、比喩的に、「二つ以上のものに共通する部分」 という意味で使われることがありますね。

最大公約数的な考えということは言えても、最小公倍数的な考えとは言えないように思います。

ちょっと頭が混乱してきましたが、英語の公分母= common denominator と、日本語の公約数(最大公約数)的なという表現が、似ていますね。

最大公約数的なという意味のニュアンスとして、「どの立場からも妥協できる」 と説明しているサイトがありました。 そう考えると、英語が最大公約数的な言語と言えないこともないように思います。

英語では、common denominator が共通項ということで、最大公約数 = greatest common measure (GCM) には、そのような意味は含まれないようです。

同じような数学用語ですが、英語と日本語で、微妙に比喩の仕方が違うのが、おもしろいなあと思います。


局所について考えたこと

ある資料を翻訳しているときに、topical application という表現が出てきました。

topical application を直訳すると、「局所使用」 ということになり、topical は、医学用語的には、「局所の」 という意味になります。

ところが、「局所麻酔」 という場合は、local anesthesia と覚えたことを思い出しました。

ついでに、「全身麻酔」 は、general anesthesia です。

どちらも 「局所の」 と訳される topical local は、どう違うのでしょう。

私が翻訳している文章の中の topical application というのは、ある液体を局所に付けるという意味で使われています。

そして、調べてみると、局所麻酔の中には、local anesthesia の他に、topical anesthesia もあることを知りました。

例えば、歯医者さんでの治療や抜歯のときに局所麻酔をしますが、麻酔注射をするのが local anesthesia で、その注射の痛さをやわらげるために表面に付けるのが、topical anesthesia だそうです。

なので、topical anesthesia は、正確には、「表面麻酔」 ということになります。

topical という言葉をよく見ると、top という単語が含まれていますね。

top = 一番上ということで、なるほど、皮膚の表面ということになるのだと、ゆっくりと理解できました。

局所麻酔の中でも、特に表面麻酔のことを topical anesthesia と言うわけですね。

topical は、他には 「時事的な、話題の」 という意味があり、topical news = current news = 時事ニュースということになります。

そして、topic (s) も 「話題、トピック、題目」 ということですね。

辞書によると、topic の語源は、アリストテレスの著書のタイトル Topika で、平凡なことを扱っているということから話題という意味へ広がったようです。

また横道へそれましたが、次から次へと言葉のつながりを見ていくのが楽しいです。


目の色

アメリカの免許書には、目の色が表示されていますが、私の目の色の欄は、brown です。

目の色と言えば、brown、blue、green ぐらいでしょうか。

また、black eye の定義は次のようになります。

a swollen bruise caused by a blow to the eye
(目に打撃を受けた結果の腫れあがったあざ)

なので、brown と言うべきところで、black と言わない方がいいですね。

また、「ものもらい」 のことは、styという名前もありますが、 普段の会話では、pink eye と言うのを聞きます。 目のまわりがピンク色になるからでしょうね。

「ものもらい」 は、大阪では、「めばちこ」 と言います。 めばちこの語源を見ていると、いろいろとおもしろい話が出てきます。

めばちこになると、目をぱちぱちしてしまうから、目がぱっちりと強調されるように見えるから、また、目に罰をうけた子(=め ばつ こ)などという案もあるようで、どれもなるほどと思ってしまいます。

ものもらいと言うと、人からうつったようで、あまりいい感じがしませんね。

目が赤いという場合には、Your eyes are bloodshot. (あなたの目は、充血している。) のようにも言えますが、Your eyes are red. でもいいですね。

また、red-eye には、飛行機の 「夜行便」 という意味があります。

I arrived this morning on the red-eye from London.
(私は、ロンドンから夜間飛行で今朝着きました。)

これは、乗客が疲れや睡眠不足で、目が赤くなるからという理由だそうです。

ここで、目の色を使った他の表現はないかと、夫に聞いてみると、green-eyed monster (緑色の目をした怪物、嫉妬) という答えが返ってきました。

green-eyed は、「緑色の目をした」 という意味の他に、「嫉妬深い」 という意味があるようです。

どうして緑が嫉妬深いことになるのでしょう。

古代のギリシア人たちは、次のように考えていたということです。

They believed jealousy occurred as result of the overproduction of bile, which turned human skin slightly green.
(彼らは、嫉妬は、胆汁の過剰生産の結果起こり、それが人間の皮膚をかすかに緑色にすると信じていた。)

おもしろいですね。嫉妬と胆汁は関係するのでしょうか。

ちなみに、夫の目の色は、緑色ですが、green-eyed monster ではありません。。


salon と saloon

関西には、大阪と京都を結ぶ京阪電車という私鉄があります。

先日、京都へ行ったときに乗った二階建て特急の車両に、次のような名前が書かれていました。

Elegant Saloon 8000 Series Double Decker

saloon を見て、salon を思い出し、その違いを整理しておきたくなりました。

salon と言えば、beauty salon (美容室) を思い出します。 nail salon (ネイルサロン)もありますね。

beauty shop のようにも言えますが、salon を使う方が、ちょっと高級な上品な感じがします。

他には、18世紀ごろのフランス上流階級の社交会も salon です。 そしてそのような集まりに使った大邸宅の客間、大広間のことも salon です。

salon は、もちろんフランス語ですが、その英語化した形が、saloon で、最初は、どちらも同じように使われていたようですが、その後、少し使われ方が異なってきたようです。

saloon にも、「客船、ホテルなどの談話室、社交室、大広間」 などの意味があり、salon とも意味の上で重なることもあります。

19世紀ごろのアメリカでは、saloon は、「西部の酒場、バー」 を意味していたようで、仏和辞典を引くと、saloon は、「西部劇のバー」 と載っています。

また、billiard saloon (ビリヤード場)、dancing saloon (ダンスホール) のように、何かの目的に使われる広い場所という意味でも使えるようです。

そして、saloon car で、「特別客車」 という意味がありました。

私は、最初に、京阪電車の saloon という表現を見たときに、エレガントな客間をイメージした車両なら、salon でもよいのではと思ったのですが、電車や船などのスペースに使う場合は、saloon で表すようです。

まとめると、次のような感じかと思います。

- salon は、beauty salon (美容室)の意味で使われることが多く、shop や store の上品語である。
- salon も saloon も、大広間という意味があり、特に船や電車の中のものは、saloon と言う。

電車の内装を、西部劇に出てくるバーのようにすれば、まさに saloon car となりますね。。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

日本ブログ村に登録しています
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
ご訪問ありがとうございます。
リンク