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神々の食べ物

先日、近所の友人のお宅で夕食をご馳走になりました。

メイン料理のパエリアの後に、デザートを出してくれたのですが、そのデザートの名前に興味を持ちました。

ambrosia と言い、いろいろな材料で作ることができるようですが、基本は、ホイップクリームとミニマシュマロにオレンジやチェリーなどのフルーツを切ったものを混ぜて、一晩ほど冷蔵庫で置いておくだけだそうです。

フルーツを変えてみたりナッツを加えたりと、いろいろアレンジもできそうで、私も作ってみようと思いました。

ambrosia のことを、fruit salad と言う人もいて、以前に、デザートではなく食事の一部として出してもらったこともあります。

ambrosia は、「ギリシャ神話の神々の食べ物」 と辞書には載っています。 

a = not + mbrosia (mortal と関連する語 ) で、immortal ( 不死の )を意味するようです。

息子によると、ambrosia は、ギリシャ神話にまつわる小説の中にも出てきたそうですが、息子は架空の食べ物だと思っていたそうです。

ギリシャ神話では、不死の効力のあるものとして ambrosia を神々に捧げていたものが、後に、比喩的に 「心地よいもの」 という意味で使われ出して、実際の私たちの生活では、ambrosia は、フルーツサラダ、またはデザートの名前ということになったようです。

ところで、このような甘いデザートのようなものまで、サラダと呼ぶ人がいることに、前からちょっと違和感を感じていました。

そこで、salad という語について調べると、salted (塩で味付けした)という意味で、salad は、salted vegetable となるようです。 

なので、サラダは、語源的には、塩味であり、甘いものではないのですが、理屈を言っても仕方ないですね。。

そして、ambrosia のベースは、ホイップクリームとマシュマロなので、とても不死の効力はあるとは思いませんが、デザートは私たちを幸せにしてくれます。 それが心の栄養となり、結果的に長生きできるといいですね。。 甘いもの好きの私は、そう信じたいものです。


下地を作る

ある奉仕活動の報告書に、次のような表現がありました。

We are paving the way for a more sustainable and continuous project rather than simply giving temporary aid.
(私たちは、単に一時的な支援をするよりも持続できる途切れることがない計画への下地を作っています。)

pave は、「舗装する、覆う、敷き詰める」 という意味です。

a road paved with concrete (コンクリートで舗装された道)のように言えますね。

そして、pave は上記の文のように、比喩的にも使え、「基礎を築く、道を開く、お膳立てをする、下地を作る」 などと訳せます。

基礎を築くというのは、地ならしする、地固めするということですね。

上記の奉仕活動では、相手が必ずしも求めていない一時的な寄付をすることもあったが、ひとつひとつの行動が今後のよりよい活動へとつながるだろうという意味で、下地を作ったというように使われています。

They paved the way for the future (彼らは未来につながる道を開いた。) ということですね。


思い知る

自分のしたことが原因で嫌な結果となり、これからはもうやめようと思うことがあります。

息子は、ニキビを気にして薬を塗っているのですが、思わず適量以上を塗ってしまい、かゆくて眠れないことがあり、後でちょっと塗りすぎたと後悔していました。

改めて、薬の副作用というのは、こわいものですね。 

このような経験をすると、薬は適量を使用することが大事だと身をもって知ることになります。

それを見て夫が言ったひとことは、次の通りです。

That will teach him.
(あれで、彼も思い知るだろう。)

teach には、「思い知らせる、教訓を与える」 という意味があり、次のような定義が載っています。

to cause to know the disagreeable consequences of some action
(ある行動により不愉快な結果がともなうことを分かるようにさせる)

Cause (someone) to learn or understand something by example or experience
(実例や経験により、誰かに何かを学んだり理解させたりする)

また、他の例を挙げると、例えば、うそをついたために、ひどい目にあった場合などに次のように言えます。

I hope this will teach you not to lie to me.
(これで、もう私にうそをついてはいけないと思い知るとよいのだが。→ もううそはつかないようにね。)

teach は、「教える」 という基本の意味がありますが、教えるということは、「学ばせる」 ということで、learn とも深い関係がありそうですね。

語源を見てみると、古英語では、teach、instruct などを意味する læran という語があり、これが現代英語の learn の基になったようです。

教えるということは、相手に学んでもらうということなのでしょうね。 

また横道へそれましたが、That will teach him. の teach は、学ばせるという感じで、教えることと学ぶことの両方が見える使われ方のように思いました。


感心する

息子と話していたときに、ある英語の使い方について、興味深いことを聞きました。

例えば、学校のクラスで、息子が課題を発表したときに、I'm impressed. と言うクラスメイトがいるそうです。

これについて、息子は、ちょっと上から目線的な感じを受けると言い、なるほど、言われてみるとそうかもしれないと思いました。

おもしろいのは、impressed は、「感心して、感銘を受けて、さすがだと思う」 などの意味があり、否定的な意味は全くないということです。

そして、クラスメイトも息子の発表がすばらしいと思い impressed と言ってくれていると思います。

では、どうしてそれが上から目線的に感じるのでしょう。

私は、それがクラスメイト = 同等の人たちから評価されたというところにあるのではと考えました。

もし I'm impressed. が、先生から生徒に使われた場合は、違和感はありません。 でも、同等の人同士、また、目上の人に言う場合は、少々気を遣った方がよい表現なのかもしれません。

I = 私 という判断基準を入れずに、It's impressive. とする方がすんなりと受け入れやすくなるように感じます。

興味深いことに、日本語の 「感心する」 にも同じようなことが言えますね。

目上の人に向かって 「感心する」 とは必ずしも言えませんね。 フォーマルな場面では、「感服する」 なら、目上の人に対して使ってもよいと説明しているサイトもありました。

日本では、通常は、目下が目上を評価するべきではないということですね。

アメリカでは、あまり年齢を気にすることなくつきあえる社会なので、目上、目下という関係も日本ほどではないのでしょうが、I'm impressed. には、どこか潜在的に、自分が相手よりも上の立場だという感覚が垣間見えるような感じなのかもしれません。

I'm impressed. と言っている本人も相手に与える印象に気づいていないのかもしれないし、受け取る側も別に気に留めない人もいるのかもしれません。 このあたりの個人差を調査してみるのもおもしろいでしょうね。

同じ表現でも、誰がどのようにどういう場面で使うかにより、相手に与える印象が変わってくるものです。

外国語を話すということは、コミュニケーション能力も高めていかなければいけないということですね。


わけがわからない

会話で聞くことはあまりないのですが、文章の中で何度か目にしたことがあり、ちょっとひっかかっていた単語があります。

unintelligible です。

この単語を最初に見たのは、もうかなり前の息子のリーディングの課題であった Animal Farm (動物農場)という本の中です。 

そして、先日のノートルダム火災と関連して、フランス語は難しいという内容のオンライン記事の中でも次のように使われていました。

I had little vocabulary for either fires or churches. Whole sentences about collapsing spires were unintelligible to me.
(私は、火事や教会についての語彙をあまり知らなかった。 尖塔が崩れることについての全文は、私には理解するのは難しかった。)

unintelligible という単語を見ると、まず intelligent (知性がある) と関連する語だなあと想像できます。

そしてそれに un が付いて、unintelligent (知力のない、頭の悪い) なら、すんなり理解しやすいのですが、unintelligible とは、どういう意味でしょう。

言われてみると簡単なことなのですが、次のようになります。

intelligible = easy to understand = 理解しやすい、分かりやすい
unintelligible = hard to understand= 理解するのが難しい、分かりにくい、わけがわからない

考えてみると、understand = 理解するには、intelligence = 知力が必要ですね。 unintelligible は、その intelligence がなく、分かりにくい、理解不可能という感じになるのでしょうね。

上記のフランス語に関しての文では、基本的な火事や教会についての語彙も知らないのに、教会細部の尖塔という語彙など全く分からないという感じで unintelligible が使われています。

unintelligible の使われ方を辞書で見ていると、次のような文もありました。

A code message is unintelligible if you do not know the code.
(暗号文は、その暗号が分からないとわけがわからない。)

intelligence がないと、unintelligible は、unintelligible = 分かりにくい 単語かもしれませんね。。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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