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ライセンスについて考える

さまざまな職業の中には、license (免許)がないと行えないものがあります。

licensed と言う場合もあれば、certified の場合もあり、前からちょっと混乱していました。

例えば、全国通訳案内士は、ウィキペディアによると National Government Licensed Guide Interpreter となり政府が実施する国家試験に合格して与えられる免許のあるガイドということで、licensed と使われています。

ところが、公認会計士は、CPA(Certified Public Accountant)で、アメリカの場合は州により与えられる免許を持った会計士ということになりますが、licensed ではなく、certified なのです。

もうひとつ、正看護師 (登録看護師)は、RN(Registered Nurse)で、こちらは、registered という語が使われています。

公認会計士も正看護師も licensed でもいいのではないかと思っていたのですが、考えてみると license がないと違法になるような仕事に、あえて licensed とする必要もないのかもしれません。

医者の場合、一般の人がよい医者を探そうとするときに、Board certified (正式な専門医であると認められた)という肩書を頼りとすることがあります。

医者の免許以外に専門委員会などから認められたという資格のようなものですね。

licensed と certified は、それぞれ次のように定義されています。

licensed
having official approval to do something
(何かをするための正式な許可を得ている)

certified
have met a certain standard or proven to be qualified for some specific job
(ある特定の規準を満たし、特定の仕事をする資格があると証明された)

どちらも似通った意味でもありますが、licensed は、許可があるということですね。そして、その上でさらにいろいろな条件を満たして各分野の組織、委員会などから認められている場合に certified となるのではないかと思います。 例外もあるのかもしれませんが。

Board certified doctor と CPA、RN は、レベル的には同等なのではないかと思います。

運転免許のように license があるということだけでよい場合もありますが、医者などは特に certified されているということで、より経験のある一定レベルに達しているということが証明されているので、一般人が医者を選ぶ目安にもなるわけですね。


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白内障の発音と意味について

友人の白内障の話を夫としました。

白内障は、cataract と言います。

白内障になる人も少なくないので、普段の会話で出てくる一般的な病名のひとつかもしれません。

cataract の発音は、キャタラクトで、最後のトは、聞こえにくいのですが、私の発音がおかしいと夫に笑われてしまいました。

なんと、高級ブランド車の Cadillac (キャデラック)に聞こえると言うのです。

どちらも ca (キャ)で始まり、その後は、t と d の違いがありますが、実際には t が d のように聞こえることはよくあります。

車のToyota もトヨタのタは、英語話者の人が発音すると、ダのように聞こえます。 例えば、「た、だ、ら」と発音してみると、舌の位置はかなり近いところにあるのが分かります。

そして、cataract と Cadillac の r と l の違いも私の発音はあいまいだったのでしょうね。

でもこのような失敗をすると、今度から cataract と言うときは、緊張して発音しようという気になります。

失敗したついでに、cataract の語源を調べてみました。

cata = down (下へ)+ ract - rhattein = break (壊す)という意味です。 そして、cataract は、 waterfall (滝)という意味の言葉のようで、辞書を引くと、文語的には、「滝、豪雨」という定義も載っていました。

また、語源辞書には、portcullis (〔中世の城門の〕落とし格子(戸) -- 城やとりでの門に鎖でつり下げられ、上下に開閉する鉄または木製の格子戸 )という意味もあるとのことです。

ということは、白内障とは、滝のように上から下へ落ちるように、城門の落とし格子戸が視野をふさいでいくようなものという感じなのでしょうね。

ひょんなことから、白内障の興味深い語源について学べました。。


軍配差し違え

昨日は、大相撲夏場所千秋楽でしたが、優勝力士、朝乃山に、トランプ大統領がアメリカ合衆国大統領杯を手渡されましたね。

大相撲をゆっくり見ることも少ないのですが、たまたま、テレビで先日の朝乃山と栃ノ心の一番で、栃ノ心に軍配が上がった後、物言いがつき、行司軍配差し違えで、朝乃山が勝ったのを見て、そのことについての英語でニュースを見ていると、次のような表現がありました。

The judges reversed the decision.
(審判者たちが、その決定を覆した。)

前回の記事で 「反対」 を表す anti- や counter- について書いたところですが、偶然、勝敗を反対(逆)にするという意味で、reverse という語が使われているのに反応してしまいました。

ここで、judges とは、物言いで土俵に上がって協議した審判者たちのことで、the decision とは、行司が下した判定のことです。

行司軍配差し違えということになりますね。

このように、「判決や意見などを覆す」ことは reverse で表せます。

覆すということは、「ひっくり返す」ということで、簡単に言うと、逆にするということですね。

reverse は次のような定義も載っています。

to change a decision into its opposite
(ある決定をその逆へと変えること)

そして、to reverse a decision (ある決定を逆にすること) は、overturn a decision (決定をひっくり返す)とも言えます。

overturn は、overturn a table (テーブルをひっくり返す) のように物理的にひっくり返す意味もあれば、上記のような判定を覆すという意味にも使えるようです。

また、reverse と言えば、「車のギアをバックにする」 という意味もありますね。 車の前進に対して opposite direction = 逆方向ということですね。

反時計回りのように、counter direction (反対方向)という表現もありますが、reverse の方が効率がよい表現なのかもしれません。

ぴったりの表現が思い浮かばないときは、手持ちの言葉を使ってあれこれと説明して会話を進めることになりますが、いろいろな人の表現を見聞きして、効率のよい表現を蓄積していければと思います。


反時計回り

息子の数学の教材を見ていたときに、anti-clockwise (反時計回り)という言葉を見つけて、ちょっと変だなあと思いました。

clockwise は、「時計回りに」 という意味で、-wise は、この場合は、「~の方向に」という意味です。

clockwise from top right (上段右から時計回りの) のように使われます。

そして、時計の反対回りのことを anti-clockwise とも言えるということをそのときに知りました。

アメリカでは、counter-clockwise と言うのですが、どちらも同じことを表すようです。 

息子の数学の先生は、イギリス人ですが、anti-clockwise は、イギリス英語のようです。

anti- と言うと、anti-slavery (奴隷制廃止運動の)のような、何かに反対しているような感じがしてしまい、counter の方が、「逆の」という意味では、ぴったりなのではと思ってしまいました。

日本語の「反対」という言葉も、①同意しないという意味、②方向などが逆という意味がありますね。

anti- も同じなのでしょうね。

anti- は、反対敵対、そして、antibiotic (抗生物質)に使われるように、対抗という意味もありますね。

counter-は、どうでしょう。

反対counterattack (反撃)のような仕返しという意味や counterpart (対応/相当するもの)のような対応という意味もありますね。

counterpart は、次のように使えます。

Japanese officials are discussing this with their American counterparts.
(日本の政府高官は、アメリカの政府高官とこのことを討議している。)

anti- と counter は、anti / counter-clockwise のように、「反対/逆」という意味では、どちらを使ってもよいということですね。

他の anti- が付く語を見てみました。

anti-American (反米の)、anti-imperialist(反帝国主義の)、anti-body(抗体)、anti-septic(殺菌の)、anti-social(非社交的な)、anti-climax(期待外れの結果)など。

この中では、anti-social や anti-climax は、反対/逆という意味で使われていて、anti-は、必ずしも何かに反対している必要はないということですね。

私が、anti-clockwise を変だと感じたのは、アメリカ英語の方に慣れているということもありますが、自分が知っている言葉の使い方だけで判断したからです。 

一つの言葉でも、その全体像を知ることは、なかなか大変ですね。 いろいろな文章に触れながらその範囲を広げていければといいなあと思います。


半分だけではない half

下記の映画の中の会話文について、どのような訳がよいかという質問をいただきました。

Aspirin helps that?
(アスピリンは効くの?)
I'm not exactly sure, but long as he thinks it does, that's half the battle.
(はっきり分からないけど、彼がそう思うんなら、それが肝心なことなんじゃないかな。)

half the battle は、「①勝ったも同然、成功したも同然の状態、②重要な部分、困難な部分」 という意味があります。

英語では次のような定義が載っていました。

a large part of the effort or work that is needed
(必要とされる仕事や努力の大部分)

また、half the battle は、18世紀のことわざである次の一文の省略されたもののようです。

The first blow is half the battle.
(最初の一撃をすれば、成功したも同然だ。)→ 先んずれば人を制す 

日本語でも、半分勝ったも同然だのように言うこともありますね。

そういうときの半分は、必ずしも半分という意味ではなく、ほぼ、大部分、ということですね。

half the~ というのは、ちょっとやっかいな言い回しだと思います。

「半分の」という意味もあれば、「大半の、大部分の」という意味もあり、辞書にも載っています。
なので、half the battle は、もう半分(大半)は終わったようなもの→勝ったも(成功したも)同然、という感じですね。

次のような例文も見つけました。

A good beginning is half the battle.
(始めがよければ、ほとんど勝ったも同然です。)→ 万事始めが肝要。

My homework is half done. (私の宿題は半分終わっている。)のように、文字通りの半分もあれば、大部分という半分もあるわけですね。


解消と解決

かなり前ですが、アイルランドの歴史についての新聞記事の中で、次のような文がありました。

アイルランド人は歴史を決して忘れない。だが英国人は歴史を覚えようともしない。

我々は問題を解決(solve)したのではなく、解消(dissolve)させたのです。

solve = 解決するというのはよく知っていますが、dissolve = 解消するというのは、ちょっと考えてしまいました。

dissolve と言うと、まず 「溶かす」 という意味が浮かび、dissolve sugar in water (砂糖を水に溶かす) のように使いますね。

でもそれだけではなく、dissolve は、disappear、break up、fade away などの意味があり、目に見えないような友情や組織などがなくなる状態にも使える言葉のようです。

Their friendship dissolved after he moved to another country.
(彼らの友情は、彼が他の国へ引っ越してから消えていった。)

おもしろいのは、solve も dissolve も、どちらも loosen (ほぐす)という意味が基になっているということです。

dissolve の dis は、否定の not ではなく、apart (ばらばらに)という意味です。

solve = 解決するということは、解きほぐすということが、もともとの意味のようで、解きほぐすことによって解決、解明するのかもしれません。

そして、dissolve = 解消するというのは、解きほぐしてばらばらに離すということです。

They dissolved their running club.
(彼らは、自分たちのランニングクラブを解散した。)

解散することも、ひとつの解決方法ということなのかもしれません。

solve と dissolve は、一見反対の意味を表すように見える単語ですが、語源的には loosen = ほぐすという共通点があるということですね。そして、ほぐすとは漢字では解すなのですね。

アイルランドと英国の関係は解決はされてないけれども、溶けるように消えてしまったということなのでしょうか。。


コサージュ

アメリカの高校では、卒業の前に、prom (プロム)というダンスパーティがあり、通常男子はスーツ、女子はロングドレスを着て参加します。

そこで、服につけたり、腕に巻いたりする花飾りのことを、corsage (コサージュ)と言いますが、日本語にもなっていますね。

私は、男性にも女性にもコサージュという言葉を使うと思っていたのですが、男性の胸につけるものは、boutonniere と言うそうですね。 フランス語の発音は、ブートニエールですが、英語では、ブートニアのように発音しています。

corsage も boutonniere もフランス語ですが、英語とフランス語で意味のずれがあります。

corsage は、フランス語では、「ブラウス、胴衣」 などという意味で、花飾りという意味はなく、同じくフランス語の boutonnière も、「ボタンホール」 という意味で、花飾りという意味はありません。

corsage は、胴衣という意味が、女性の胸元につける花飾りとなり、boutonnière は、ボタンホールという意味が、男性のジャケットのボタンホールにさし込んだり、ピンで留める花飾りとなりました。

ボタンホールにさし込む花飾りと言うのを省略して、ボタンホールという言葉だけになったのでしょうね。

外国語が他の言語の中に取り入れられるときに、原語の意味から少しずれてしまうことはあるのでしょうね。

Sober Curious

アメリカのABCニュースの中で、Sober Curious という聞き慣れない表現に出会いました。

アルコールを出さないニューヨークのバーがあり、そこに来ている人々のインタビューもありました。

Sober Curious という本もあるそうで、Sober Curious movement の人気が上昇しているようです。

sober は、「酔っていない、しらふの」 などの意味がありますね。

curious は、「好奇心が強い、興味深い」 ですね。

sober curious と二つ合わせて、「お酒を飲まないとどのようになるか興味を持つ」 という感じの意味のようで、次のようにも使われています。

They call themselves Sober Curious.
(彼らは、お酒を飲まないとどのような変化があるか興味を持つという意味で自分たちを Sober Curious と呼ぶ。)

get Sober Curious や be Sober Curious のようにも使えるようです。

インタビューの中で、Sober Curious と sobriety の違いはどうかという質問がありました。

sobriety は、sober の名詞形で、単にお酒に酔っていないこと、禁酒などという意味ですが、Sober Curious は、健康のために自分からお酒を飲まないようにして、自分の生活にどんな変化があるか興味を持つということのようです。

大人になるとお酒を飲む機会が増え、飲まないと、つまらない人間のように思われたり、女性なら妊娠しているわけではないと言い訳をしないといけない場合もあったり、堂々と飲まない選択もあってもよいですね。

ニュースに出てきたアルコールなしのバーは、雰囲気は普通のバーと同じで、ダンスありミュージックありで、お酒なしで楽しめるならそれはそれでよいことかもしれません。

ただ、健康のためとはいえ、飲めないことがストレスになるのでは問題なので、人それぞれお酒とうまく付き合っていけばよいのではと思います。

ちなみに夫は、Sober Curious とまではいかず、いつもはアサヒのノンアルコールのドライゼロを飲みながら、料理に合わせて日本酒やワインを飲むこともあります。 健康を考えつつ飲んでいるようなので、それでいいかと見守っております。。


山盛り

料理番組やレシピなどで、材料の計量についてよく見聞きする表現があります。

例えば、砂糖をティースプーン一杯と言う場合にも、ちょうどきっかり一杯、山盛り一杯などの表現が可能で、次のように言えます。

1 level teaspoon of sugar (ティースプーンきっかり一杯の砂糖)

1 heaping teaspoon of sugar (ティースプーン山盛り一杯の砂糖)

level は、「平たい」 という意味で、スプーンに入れた砂糖が平たくなるような状態で、すり切れ一杯ですね。 heap は、「積み上げる」 という意味で、「山盛りにする」 となります。

ここまでは、よく出てくる表現で知っていたのですが、先日、翻訳する必要がある資料の中で、rounded teaspoon という表現が出てきて、これをどう訳そうかと悩みました。

rounded (丸みを帯びた、曲線的な)という言葉自体は分かりやすく、スプーンの上に(砂糖などが)盛り上がっている状態を想像するこもできます。

ただ、heaping teaspoon (山盛り)ほどではなく、少し盛り上がった状態なので、それを的確に表す言葉があるのだろうかと考えてしまったのです。

考えた末、rounded という言葉にとらわれずに、「ティースプーン一杯 強」 と訳しました。

ついでに、1 teaspoon にちょっと足らない状態は、1 scant teaspoon で、ティースプーン一杯弱と訳せばよいのではないかと思います。

scant は、ここでは、「ちょっと不足の」 という意味です。

翻訳という作業をしていると、訳した後も、もっと適切な表現があるのではないかと気になるのですが、最適だと思う表現を選んで進んでいくしかありませんね。 もし、別案があれば、喜んで伺います。。


ハーモニー

先日の食卓で、息子の物理のクラスの話になり、simple harmonic motion という言葉を知っているかと聞かれて分からなかったので、そのまま訳して、「単純な調和のとれた運動」 という感じかなと答えてみました。

simple harmonic motion とは、「単振動」 と訳されているようで、振り子が行ったり来たりするような運動のことを言うようです。

物理用語は知らないものばかりで、またその内容もなかなか理解できないのですが、harmonic という単語が使われているのがひっかかりました。

harmonic は、当然 harmony (調和)と同じ語源で、harmony と言えば、まず音を思い出しますが、物理的な動きについても使える言葉なのですね。

物理や数学にも、「調和」 という意味で使われるようです。 物理では、上記の表現のような 「調和振動の」 という意味で使われることもあるようです。

そして、もちろん harmonica (ハーモニカ) もありますね。 harmonica は、イギリスでは、mouth organ と言われることもあるそうです。

また、もう一つ harmonious という形容詞もあります。

The color of the curtain is harmonious with the wall.
(カーテンの色は、壁とよく調和している。)

harmonic は、音楽、物理、数学の専門用語として使われることが多いようで、harmonious は、調和しているということから、円満で仲がよいことも表せるような言葉で、harmonious family のように言えます。

もともとは、音の調和という意味の harmony ですが、物理、数学、色、人間関係まで、さまざまな調和へと派生したようですね。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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