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色あせた観客席?

週末に、息子が学校のクロスカントリークラブとして参加したレースを見るために、神戸へ行ってきました。

フィールドに階段式の長いすの観客席があったのを見て、bleachers という言葉を思い出しました。

アメリカで使われる bleachers とは、「スポーツ観戦などのために、屋外にある階段式になった長いすの観覧席」 のことで、学校などの bleachers は、通常は、簡素な感じのものが多いです。

bleach と言えば、「漂白剤」 のことですが、どうして bleachers が、観客席なのでしょう。

bleach は、動詞では、二つの意味があるようです。

① 化学薬品などで~を漂白する、白くする。

② 日光などが~を色あせさせる。

調べてみると、bleachers は、屋外にあるので、太陽にさらされて、色あせるということから、そのように呼ばれるようになったようです。

私が知っている bleachers は、金属製のものが多いですが、古いものは木製のものもあり、色あせが目立ったのでしょうね。

bleach は、もともとの色を取り除くということで、黒い髪の毛から色を取り除いて、ブロンドのように白っぽくするのも bleach です。

おもしろいなと思ったのは、古英語の blæcan が、bleach (白くする)の語源ということですが、black (黒) の語源でもあるということです。

色を取り除くと、白や黒になるということなのでしょうか。

私が昨日見た bleachers は、比較的新しい金属でできたものでしたが、それでも bleachers と呼ぶのですね。


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残飯

食事の後、お皿の上に、ちょっとした野菜や肉類の切れ端やソースなど食べ残しがある時は、食器を洗う前に、それらをこすり落とす必要があるかと思います。

そのような状況を表す文が、新聞の漫画の中で、次のように使われていました。

Scrape off any little scraps of food.
(食べ残しは、どんな小さいものも、こすり落としてください。)

単純な文なのですが、scrape という動詞と scrap(s) という名詞が並んで使われているのを見て、scrape されたものが、scrap ということなのかなと思いました。

scrape は、「表面をこすり落とす、固いものにこすって擦りむく」 などの意味があります。

scrap は、「小片、くず、断片、切り抜き」 などの意味がありますが、scraps と複数形で、「食べ物の残飯、残り物」 という意味になり、上記の文のように、scraps of food という形で見聞きすることがよくあります。

scrape と scrap は、見た目も似ていて、辞書にも同語源であると載っています。

scrap は、次のような文からも分かりますが、もともとは大きい何かがあり、そのうちの小さい断片というような感じですね。

We gave scraps of bread to the birds.
(鳥たちにパンくずを与えた。) 

パンを scrape したものが、パンくず = scraps of bread ということなのでしょうね。


ご参考までに、以前に書いた名詞の scrape についての記事です→かすり傷

サッカー生地

凹凸感のあるサッカー生地の服は、夏には涼しいけれど、あまり見かけなくなったと、夫と話していたのですが、私の悪い発音のせいで、ちょっと話が混線してしまいました。

サッカー生地は、sucker だと思っていて、sucker material shirt のように、私が言ったもので、夫は、スポーツのサッカーの soccer shirt だと思い、息子が持っている日本のサッカーチームのシャツの話をし始めたので、待ったをかけました。

夫がサッカー生地を知らないのかと思い、smooth ではないなどと布地の説明をしていると、それなら、seersucker だと言い、私は、そう言われてみれば、そう聞いたことがあったように思い出しました。

seersucker の sucker (sʌ'kər)と soccer (sɑ'kər)は、発音が似ていますが、違いますね。

私は、発音もあやふやで、単語自体も間違えていたわけで、通じないのも当たり前です。

考えてみれば、seersucker という名前も不思議な感じがして、調べてみました。

sucker と聞いて、まず私が思うのは、「棒がついた飴」 なのですが、suck は、「吸う、あめなどをなめる」 という意味がありますね。

アメリカ人がよく使う suck it up (仕方がないから我慢する、困難なこと、嫌なことに愚痴を言わない)という慣用句もあります。

いつまでも泣いて、あきらめの悪い子供などに、親がこのように言うことがあります。 苦しくても我慢して対処するという感じです。

と、また横道にそれましたが、seersucker の語源を見ると、ヒンディー語 sirsakar から来ており、ペルシャ語やサンスクリット語へと遡るようです。

そして、seersucker は、なんと、milk and sugar という意味だそうです。

seersucker の sucker の語源とされるサンスクリット語の sarkara は、gravel (砂利)、grit (固い粒、トウモロコシの粗びき)、sugar (砂糖)という意味だそうで、ざらっとしたイメージの言葉ですね。

なので、さらっとしてなめらかなミルクとざらっとした砂糖ということで、あのような生地の名前になったようです。

あまりすっきりしないような感じもしますが、sucker が砂糖なら、棒がついた飴という意味があるのも関連するのでしょうか。

seersucker は、暑い気候のイギリス領インドの時代に人気があったようです。

ついでに、Madras というとインドの都市名ですが、madras cotton のように生地としても使われるようです。

暑いインドから、このような生地の言葉が生まれるのは納得できますね。


よじ登る

夏にアメリカ滞在中に、テレビで、ある男性が火事になった高層アパートの15階に住む母親を助けたというニュースが伝えられていました。

駆け付けた男性は、そのアパートに入ることは危険なので警察から許可されず、なんと、そのアパートの外壁をよじ登って助けたのです。

下記は、その記事の一文です。

A man determined to help his mother during a fire in a high-rise apartment scaled 15 floors outside the building to reach her.

(高層アパートでの火事の中、母親を助けようと決意した男性は、母親の所に達することができるようにビルの外側を15階よじ登った。)

テレビのニュースでも、scale という語が使われており、 scale の 「よじ登る」 という意味は、どこから来るのだろうと気になりました。

scale と言うと、まず、「スケール(規模)」、そして、「尺度、目盛り、はかり、体重計」 などの意味がありますね。

On a scale of 1 to 10, how do you rate this book?
(1から10の段階で、この本をどう評価しますか)  のようにも使えますね。

また、scale には、「魚などのうろこ」 という意味もありますが、scale の基になっている意味は何なのでしょう。

ラテン語の scala は、「はしご」 という意味だそうです。 なるほど、フランス語で、escalier は、「階段」 となるわけです。

scale は、上がったり下がったりするイメージの言葉のようです。

でも、これでは、「うろこ」 とは関連がないように思い、調べると、こちらの scale は、古フランス語の escale (殻)を語源としているようで、よじ登る scale とは少し道筋が違うようです。

いろいろ考えているうちに、ふと escalator (エスカレーター)も、よじ登るという意味の scale と関連するのだろうと思いました。

調べてみると、アメリカのエレベーター会社のオーチス社が、escalade(はしご登り) と elevator(エレベーター)を組み合わせて作ったそうです。

15階までビルをよじ登るのと、エスカレーターを使うのは大きな違いですが、よじ登るのもエスカレーターも語源は同じなのですね。


they の使い方

先日、Merriam Webster 辞書が、正式に they を、non-binary (ノンバイナリーの人 = 自らを男性、女性のどちらでもないと認識している人)の代名詞とすると発表しました。

もうすでに、そのように使われている場合があるようでしたが、権威のある辞書に載るということで堂々と使ってもよくなりますね。

ある人が、non-binary であると分かっていて、その人のことを話す場合に、主語を、he にするか she にするか悩むことなく、they が使えて、相手が一人でも、They are late today. のように言うことができます。

Merriam Webster の they の定義のひとつに、次のように載っています。

used to refer to a single person whose gender identity is non-binary
(ジェンダーアイデンティティが、ノンバイナリーのひとりの人について言うのに使われる)

they は、ほとんどの場合は複数として使うので、少し違和感があるのは当然ですね。

でも、they には、次のような使い方もあります。

Everyone thinks they have the answer.
(誰もが自分は答えが分かっていると思っている。)

everyone のような三人称単数不定代名詞を受ける場合に、they が使えます。

なので、単数として使われていることもあるわけですね。

考えてみると、You も単数、複数の両方で使えますし、きっと、non-binary の they にもまた慣れていくのかもしれません。

言葉は変わっていくもので、辞書に、新しい定義を載せる必要性が出てくるということですが、その時期や判断は、それぞれの辞書によって違いますね。

日本の学校の英語の時間でも、they を、non-binary の人の代名詞としても教えることになるのでしょうか。


良い時も悪い時も

誕生日カードに書いてあるメッセージの一部として、次のような文を見つけました。

I am incredibly thankful for your friendship and support through thick and thin.
(良い時も悪い時も、あなたの友情と支えには、すごく感謝しています。)

through thick and thin は、「良い時も悪い時も、順境・逆境の時を通じて」 という意味です。

人生の中で、楽しいこと、苦しいこといろいろありますが、どんな時も変わらずに、ということですね。

どうして thick と thin なのでしょう。

調べてみると、狩猟をする時は、草木が茂っている通りにくい所(thick)や、あまり草木の茂っていない歩きやすい所(thin)を通って(through)行くということが語源のようです。

そこで、ふと、結婚式での新郎新婦の誓いの言葉を思い出しました。

昔からある誓いの言葉の一部に、 次のような言葉が含まれる場合がありますね。

in good times and in bad (良い時も悪い時も)
for better (or) for worse (良い時も悪い時も)
in sickness and in health (病める時も健やかなる時も)
for richer for poorer (富める時も貧しい時も)

through thick and thin を結婚の誓いの言葉で使うとして、新郎新婦の体形について、「太い時も細い時も」 などと勘違いする人もいないかもしれませんが、そう考えるのもちょっとおもしろいなあと思ってしまいました。。

thick や thin は、分厚い、薄いだけではないですね。


馬がかわいそう?

もう前にも言ったので、今さら言う必要がない、言っても無駄だというような場合に、夫や息子が使う慣用句があります。

I already told him that he should do this, but he won't listen, so I did not want to beat a dead horse.
(こうすべきだと彼にはもう言ったが、言うことを聞かないので、もう無駄なことはしたくなかった。)

beat a dead horse (死んだ馬にむちを打つ)は、文字通り読んでも理解できますね。

死んでしまった馬に、いくらむちを打っても動かないということで、「無駄なことを繰り返す、無駄骨を折る」 のような意味があります。

他にも次のような使い方がありました。

Sequels are basically about slowly beating a dead horse.
(続編は、基本的に、ゆっくりと前の話題を蒸し返している [ だけだ ]。)

これは、映画などの続編が、第一作目と同じアイデアで繰り返し作られたものだということで、beat a dead horse は、「決着のついた話題を蒸し返す」 という感じですが、結局は無駄なことをしているということなのでしょうね。

ところで、最初にこの beat a dead horse という表現を聞いたとき、もう死んでいる馬にむち打つなんて、かわいそうな感じがしてしまいました。

この表現について調べていると、PETA (People for the Ethical Treatment of Animals)=動物の倫理的扱いを求める人々の会が考えた beat a dead horse の言い換え案が、次のように載っていました。

feed a fed horse

なるほど、音的にも beat a dead horse と韻を踏んでいて、意味的にも、「餌をやった馬に餌をやる」 ということで、確かに残酷さもなく、「無駄なことを繰り返す」 という意味で使えそうですね。

でも、馬に餌をやりすぎると、馬が動けなくなったり病気になって、それこそ馬にとっては、命とりだということもあるそうで、なかなか難しいものですね。

英語の勉強のためには、いろいろな慣用句を学びたいとは思いますが、beat a dead horse のような表現は、想像したり、考えすぎると使いにくいなあと思いました。


堅苦しい

夫の伯母夫婦の話をしていたときに、夫が彼らのことを、次のように言いました。

They are kind of starchy.
(彼らはちょっと堅苦しいところがある。)

こんな風に starchy が使えるとは知りませんでした。

この伯母夫婦は、私も何度か会って、我が家に遊びに来られて何日か一緒に過ごしたこともある人たちで、とても感じのよい人たちなのですが、夫からすると、ちょっとフォーマルすぎると感じるようです。 

というのも、伯父の方は教会の牧師だったので、やはり家族は常に模範となるような生活をすべきだということで、多少は窮屈な感じなのかもしれません。

starch と言えば、「デンプン」 という意味があり、starchy food は、「デンプン食品」 のことで、ご飯やパンなどの炭水化物のような食品ですね。

日本では、シチューなどに、とろみをつけるときは、片栗粉を使うことが多いですが、アメリカで暮らしていたときには、片栗粉が手に入らず、cornstarch を使っていました。

また、starch は、「洗濯用のり」 の意味もあり、動詞でも次のように使えます。

I had to starch his shirt.
(私は、彼のシャツをのりづけしなければいけなかった。)

洗濯用のりは、スプレーになっているものが多いですね。

starch は、stiff (堅い、堅苦しい)とも関連する語のようで、starchy は、stiffness of manner (マナーの堅苦しさ) という比喩的な意味でも使われるようになったようです。

のりづけをすると堅くなるわけですが、人間が堅いことも、starchy で表すことができるということですね。

starchy は、polite、 formal、 proper 過ぎて、ちょっと面白みがない感じも表せるように思うので、通常は、They are kind of too formal. のように言えば十分かと思います。


幼年期からのキリスト教徒

キリスト教徒の両親から生まれた子供は、子供のころから教会へ行き、キリスト教徒として育てられることが多いですね。

私の友人の一人は、カトリック教徒ですが、宗教の話をしていた時に、彼女の娘さんのことを、cradle Catholic だと言っていました。

cradle は、赤ちゃんを寝させる 「揺りかご」 のことですが、「幼年時代、幼年期」 という意味もあるようです。

なので、cradle Catholic は、「幼年期からのキリスト教徒」 ということです。

Catholic の代わりに、cradle Christian のようにも使え、cradle Christian は、born Christian (生まれながらの / 幼児洗礼を受けたキリスト教徒)とも言います。

その定義は次のように説明されています。

a Christian who grew up in a household in which Christianity was practiced
(キリスト教を信仰している家庭で育ったキリスト教徒)

a Christian who was converted to Christianity as a child
(子供のころキリスト教に改宗したキリスト教徒)

a Christian who was raised by Christian parents.
(キリスト教徒の両親に育てられたキリスト教徒)

日本人が子供のころから道徳として学ぶようなことも、宗教を通して学ぶ人たちがいるのですね。

What is learned in the cradle is carried to the grave.
(幼年期に覚えたことは、死ぬまで忘れない。)   ということわざもあるようですが、幼年期をどのように過ごすかは、その後の人生に大きく影響することは確かでしょうね。


イグノーベル賞

日本人がイグノーベル賞を受賞したというニュースを見ました。

5歳の子どもに食べ物を吐き出させて1日に分泌する唾液の量を計算した千葉県の大学教授が「化学賞」を受賞したようです。

イグノーベル賞とは、人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績に対して与えられるノーベル賞のパロディーということのようです。

Ig Nobel ig は、in、im、il、ir などと同じように、否定を表す接頭辞です。

それぞれどんな単語があるか例を挙げると、incomplete、immature、illegal、irregular などがありますね。

では、否定の ig が付く語は何かと考えてもあまり思いつきません。

調べてみると、ignoble という単語があり、noble の反対ということですが、普段あまり見聞きする語ではないように思います。

Ig Nobel は、Nobel (ノーベル)ではないということと、ignoble (不名誉な、恥ずべき、下劣な)ということをかけ合わせたお遊びのようですね。

Ig Nobel を受賞した大学教授は、「極めて真面目に研究していたんですけど、、、」 とおっしゃっていましたが、子供が食べ物を噛んで、それを紙コップに吐き出させるというその方法が、ちょっと笑ってしまいますね。

本人が真面目に取り組んでいることが、他の人の笑いを誘ったりするものですね。 

ignoble という言葉自体は、よい印象の言葉ではないので、ちょっと失礼な感じもする Ig Nobel 賞ですが、Nobel との言葉遊びの中で使われているので、あまり考えすぎる必要もないのかもしれませんね。。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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