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贅沢は言えない

友人の知り合いが家の庭で育てているラベンダーを、友人に分けてくれると言ったそうで、友人は喜んでもらえるのを待っているのですが、なかなか持ってきてくれないと、愚痴をこぼしていました。

その時に、友人は、私に次のように言っていました。

Beggars can't be choosers.

beggar とは、ちょっと強烈な言い方ですね。

直訳すると、「乞食は選ぶ人にはなれない。」 となりますね。

次のような定義も載っていました。

People who depend on the generosity of others are in no position to dictate what others give them.
(他の人の寛大な行為に頼っている人は、その人が与えてくれるものに指示する立場ではない。)

友人のように、人から何かをいただくという場合は、それをいつ欲しいとか、いくつ欲しいとかを言える立場ではないということですね。

You get what you get and be happy. (もらえるものをもらって満足する。) ということで、「贅沢は言えない。」 という感じですね。

そこで、何年か前に、カリフォルニアに住んでいる友人夫婦が話してくれたことを思い出しました。

彼女たちが、レストランでピザを食べて、残りを箱に入れてもらって、路上で暮らしている人に、そのピザを差し出すと、その人に、Is it hot ? と、ピザがまだ温かいかと聞かれ、ちょっと複雑な気持ちになったそうです。

「贅沢は言えない。」 と思う人ばかりでもないのでしょうか。。


爪痕

「台風19号は、記録的な雨量で、日本各地に大きな爪痕を残した。」 のように、爪痕 という言葉が使われますが、英語ではどう言えばよいでしょう。

爪痕とは、もちろん、「爪でひっかいた傷痕」 という意味から、比喩的に、「天災や戦争などが残した被害や影響」 という意味になりますね。

英語では、爪痕ではなく、scar (傷痕)や trace (足跡)を残すと言えばよいようです。

The typhoon has left many scars, with rivers overflowing into residential areas across a wide area of the eastern Japan.
(川が、東日本の広域の住宅地で氾濫し、台風は多くの爪痕を残した。)

Traces left by the typhoon (ニュース見出し)
(台風が残した爪痕)

また、精神的な爪痕もあります。

The divorce left many deep scars on the children.
(離婚は、子供たちに多くの深い傷跡を残した。)

ところで、爪痕は、本来の意味とは異なる「成果をあげる、印象づける」 などの意味で使われることもあるようですね。

例えば、スポーツ選手が、「負けたものの、大きな爪痕を残した。」 と言うと、ポジティブな印象を与えるということなので、impress (よい印象を与える) のような語を使うとよいかもしれませんね。

ラグビーワールドカップで、日本はベスト8まで勝ち進み、大きな爪痕を残したということになるのでしょうか。

Even though Japan could not advance to the semi-final, it impressed the rugby fans in the world.
(日本は準決勝に進むことはできなかったが、世界のラグビーファンに感動を与えた。) と、言ってもよいかもしれませんね。

考えてみると、impress という言葉には、印などを押印するという意味もあり、よい印を押すということで、「印象づける、感動を与える」 ということになるのでしょうね。

爪痕をポジティブに使うのは、ちょっと違和感も感じますが、爪痕とは、ネガティブにしろ、ポジティブにしろ、何かがあった後の印ということなのでしょうか。


一時金

日本で出産される外国人の夫婦と話す機会がありました。

出産一時金について、私が説明すると、それなら知っていると言い、一時金のことを、lump sum money と言っていました。

一時金とは、「その時1回限り支給される金銭」 という定義が載っています。

そして、lump sum にも、次のように同じような定義が載っています。

an amount of money that is paid in one large amount on one occasion
(ひとつの出来事において、一括で支払われる多額のお金)

何度かに分けて支払われるのではなくて、一度に支払われる多額のお金という感じですね。

lump と言うと、「塊」 という意味が思い浮かびますね。  a lump of sugar (角砂糖ひとつ) のように習ったことがあるかもしれません。

lump は、「塊になった、まとまった、一括した」 という形容詞としても使われるようですね。

lump sum は、「一括した額」 ということですね。

in one lump なら、「一括して」 なので、in two lumps なら、「2回に分割して」 となるのでしょうが、 in installments 「分割して」 という表現の方が、通常よく使われます。

installment は、「分割払いの1回分」 という意味ですね。

出産一時金は、正確には、lump sum allowance for childbirth のように言えばよいようです。

lump sum と聞いた時に、ransom (身代金)を思い出してしまいました。 lump sum と ransom は、英語の音としては全然違うのですが、カタカナ読みすると、ちょっと似ていますね。。


火星の人

The Martian という映画がありましたが、邦題は、「オデッセイ」 だったようですね。

火星に一人置き去りにされた宇宙飛行士の生存をかけた孤独な奮闘と、彼を救いだそうとする周囲の努力を描いた物語です。

Martian という英語をそのまま訳して、「火星の人」 としなかったのは、Odyssey が、Homer (ホーマー)の叙事詩で、Odysseusが故郷に帰るまでの長い冒険旅行という意味からだそうですね。

私は、最初に Martian (マーシャンと発音)というタイトルを見た時は、「火星人」 だと思いましたが、「火星の」 という形容詞もあるようです。

Martian canal (火星の運河)や Martian climate (火星の気候)のようにも使えるようです。

politician (政治家) や physician (医者) などは、どちらも -ian が付いて、人を表す言葉となりますが、Martian は、「火星人、火星の」 の両方の意味があるようです。

martial arts (格闘技)という表現の martial は、形だけ見ていると、「火星の」 という意味がありそうに思えて、辞書を引いてみると、特殊な状況を除いては、「戦争の、軍隊の、好戦的な、軍人らしい、勇敢な」 などの意味が出てきます。

これは、もちろん、ローマ神話の神 Mars が、戦いの神ということからなのでしょうね。

なので、Mars (火星)から派生した Martian は、火星に関すること、martial は、戦いに関することと言えそうですね。

ここで、他の惑星のことも考えてみました。

Venus (金星) の形容詞は、Venusian (バヌーシャン)(金星人、金星の)となるようです。

そしてまた、イタリアの地名の Venice (ベネチア、ベニス)の形容詞形を思い出しました。

こちらは、Venetian (バニーシャン)で、ちょっと似ています。

Venetian blind というブラインドの種類として耳にすることがあるかもしれません。

moon は、どうでしょう。

「月の」という形容詞は、lunar ですが、月に住む人は、lunatic (変人)というわけではないですね。。

Martian という言葉から、いろいろ考えてしまいました。

二の次になる

私が翻訳している文章の中で、次のような一文がありました。

In out busy world, exercise often takes a back seat.
(私たちの忙しい世の中では、運動することは、たびたび後回しになります。)

take a back seat というのは、もちろん、「後部座席に座る。」 という意味もあります。

「目立たない席に座る」 ということから、次のような二つの比喩的な意味があるようです。

1. To be given a lower priority.
 (より低い優先順位が与えられること。)→ 「二の次になる、後回しになる」

2.To willingly take a less prominent role in some situation.
 (ある状況において、目立たない役割を快く引き受けること)→ 「目立たないようにする、でしゃばらないようにする」

下記は、他の例文です。

Safety took a back seat to profits.
(利益優先で安全性が二の次になりました。)

I’ll be happy to take a back seat when he takes over.
(彼が引き継いでくれるなら、私は喜んで裏方に回ります。)

言われてみれば、簡単な表現なのですが、こういう表現をさらっと使うのは、難しかったりするものですね。

私は、今ちょっと風邪気味なのですが、そういう時は、次のように言えばよいでしょうか。

As I am a bit under the weather, some of the housework has to take a back seat.
(私はちょっと体の具合が悪いので、家事の中には後回しにしなければいけないものもあります。)

under the weather は、よく使われる 「体の具合がよくない」 という慣用句です。

語源は、船に乗っていたら急に悪天候になり 海が荒れる → 船が揺れる → 船酔いして気分が悪くなる → 体調が悪いということのようです。

健康は、二の次にしないようにしましょう。。


ずらす

stagger という動詞は、酔っぱらいが歩いているような 「よろめく、ふらつく」 という意味で理解していましたが、まったく違う意味もあることに気づきました。

ダイエットについての文章を翻訳していたときに、次のような文がありました。

Try eating healthy foods in proper quantities, staggered throughout the day instead of overloading the body in a single setting.

(一回で体に過重な負担をかける代わりに、一日を通して分散して、健康によい食べ物を適切な量食べるようにしましょう。)

stagger には、次のような定義がありました。

spread something out over time
(時間とともに、物事を分散させる。)

次のような定義と例文もありました。

arrange things, especially hours of work, holidays, or events, so that they begin at different times from those of other people
(特に労働時間や祝日、イベントを、他の人と異なる時間に始めるように手配する。)

Some countries have staggered school holidays so that holiday resorts do not become overcrowded.
(祝日の行楽地が混み過ぎないように、学校の祝日をずらす国もある。)

このように、stagger には、「時間をずらす」 という意味があるようですね。

息子によると、staggered start という表現もあるそうです。

これは、陸上競技などで、インコースからアウトコースにかけて、スタート位置をずらすことです。

ついでに、このインコース、アウトコースというのは、和製英語で、それぞれ inside track、outside track のように言えばよいようです。

stagger には、「位置をずらす」 という意味もあるわけですね。

他には、arrange in a zigzag pattern (ジグザグ、交互に配置する。)という意味もあるようですが、ジグザグというと、足がふらふらしているイメージもして、「よろめく、ふらつく」 という意味とつなげて覚えるといいかもしれませんね。

stagger は、スカンジナビア系の古ノルド語 stakra などが語源のようですが、push という意味だそうで、押されてよろめくというイメージなのでしょうね。 stagger に、「びっくりさせる、呆然とさせる」 という意味もあるのがうなづけます。

押すということから、よろめくという意味となり、また、時間や場所をずらすという意味まで生まれ、ひとつの単語の幅を感じます。


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プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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