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慰め

コロナウイルスの感染拡大のために、家で過ごす時間が長くなり、欧米では、パンやお菓子を焼く人が多くなったというニュースを何度か聞きました。

Coronavirus has created the perfect environment for a surge in bread baking.
(コロナウイルスは、パンを焼くことを急上昇させる理想的な環境を作り上げた。)

surge は、「急に高まること、急上昇」 などの意味で、コロナ関係のニュースでもよく出てきます。

そして、パンを焼くことが、不安をやわらげる慰めになっているということで、次のような表現を見つけました。

Kneading and shaping dough can be a balm for the anxiety that has accompanied the virus. .
(パン生地を練ったり、形作ることで、ウイルスに伴った不安の慰めとなります。)

balm と言えば、何を思い出すでしょう。

唇に塗る lip balm (リップバーム)でしょうか。Tiger Balm (タイガーバーム)という塗り薬もありますね。

balm は、「香油、芳香のある軟膏、鎮静薬」 などという意味がありますが、上記のように、比喩的に使われることもあり、「慰め、安らぎ」 という意味もあるようです。

何かをして、苦しい気持ちなどをまぎらわせたくなるということでしょうね。

パンを作って、焼いて、食べて、少しでも楽しい気分になれるといいですね。

私は、パン作りではありませんが、今日は、デザートに、カスタードプリンを作りました。 カラメルを火から下ろすタイミングに注意する必要がありますが、うまくできました。

マスクやトイレットペーパーなど、品薄なものもありますが、食品はまだまだ豊富にありますね。

あるものに感謝して、何とか元気にこのパンデミックを乗り切りたいと思います。


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なぜ push back が延期なのだろう

前回、postpone と defer について書きましたが、「延期する」 という意味で、次のような表現もありました。

Tokyo Olympics pushed back to 2021
(東京オリンピック、2021年に延期される)

push back もよく耳にしていた言い方なのですが、よく考えてみると、ちょっと混乱してしまいました。

2021年は、2020年よりも先なのに、back に push するというのもおかしな話で、push forward の方がよいのではと思ってしまいました。

push back の定義は次のように載っています。

to make the time or date of a meeting, etc. later than originally planned
(会合などの日にち、または時間を、当初に計画したよりも遅くすること)

時間的に later = 遅くなる → 先送り、延期と理解できますが、back がどうもしっくりこないのです。

back なので、当初の予定よりも後になるように感じてしまうのですが、push back で、延期するという意味になるのはどうしてなのでしょう。

back というのは、方向や距離を表す語で、当初の予定から距離が遠くなる、離れる → push (further) back = 延期するということのようです。

反対は、当初の予定よりも距離が近くなる → bring / push forward = 前倒しにする、早めるとなります。

ややこしいのは、時間的に go back というと、earlier = それ以前のとなるところです。

距離を表す語 back で、時間を表しているので、時間が前なのか後なのか悩んでしまうわけですね。

まとめると次のようになるかと思います。

push back の back は、当初の時間から away = 離れているということで、later time → 延期する

今、気づきましたが、日本語でも、後ですると言う場合、先のことですね。

考え出すと、後や先といった日本語も調べてみたくなりますが、今日はこのへんにしたいと思います。

言葉というのは、複雑ですが、おもしろいものです。。


二つの延期

息子の学校では、4月に入っても、しばらくオンライン授業になるということで、息子や友人たちも肩を落としているようです。

息子は、おかげさまで、去年の12月に、アメリカのニューヨーク州の希望していた大学から合格通知をもらうことができましたが、その時点で、いくつかの理由から、take a gap year (ギャップイヤーを取る)ことに決めていました。

gap year は、高校を卒業後、一年間、大学入学資格を保持したまま、いろいろな教育的な活動に参加したり、旅行やアルバイトなどができる期間のことです。大学卒業後、大学院へ進学する前にも ギャップイヤーを取ることができるようです。

大学から合格通知をもらい、それから、ギャップイヤーを大学側に依頼し、大学側から、それが認められたというメールがありました。

I am pleased to inform you that your request for defer your admission for an additional year until fall 2021 has been approved.
(2021年秋までの追加1年の入学延期のための依頼が許可されたことを喜んでお知らせいたします。)

He is taking a gap year. のように言うことは多いですが、正式に1年間入学を延期すると言う場合は、defer という語が使われます。

次のような例文もありました。

Many young people defer getting married until they find a good job.
(多くの若者が、良い仕事に就くまで、結婚を後回しにしています。)

ついでに、defer (延期する、先送りする、保留する)の名詞形は、deferral、deferment です。

昨日、正式にオリンピックの延期が決まりましたが、この場合の延期は、次の記事の見出しのように postpone が使われています。

Tokyo Olympics postponed to 2021 due to coronavirus pandemic
(東京オリンピック、コロナウイルスパンデミックのため、2021年に延期される)

postpone は、歯医者の予約の延期、雨天のため運動会が延期など、日常よく使われますが、何か理由があって延期することですね。

defer は、to exempt temporarily from induction into military service (軍隊への入隊を一時的に免除する)という意味もあり、例えば、大学に行くなどの理由から、入隊時期を延期するという意味でも使われるようです。

ギャップイヤーを取って他にすることがある、結婚の前に仕事を優先する、軍隊に入る前に大学へ行くなど、defer を使う場合、延期するのは、その前に何かするべきことがあるという感じがします。

息子の同級生たちは、アメリカへ進学が決まった生徒も何人かいて、この秋から入学できるのか、不安な日々を送っているようです。
来年また何が起こるか分かりませんが、とりあえず、息子の入学が来年に延期になったことで、少しほっとしています。


ごまかし

次のような表現が使われているのを何度か見かけました。

Poland criticises EU ‘smoke and mirrors’ coronavirus response 
(ポーランドは、EU のコロナウイルスに対するごまかしの反応を非難する。)

Mr. Abe's infinity of smoke and mirrors
(安倍首相の限りないごまかし)

smoke and mirrors は、次のような定義が載っています。

an explanation or description that is not true or not complete and is used to hide the truth about a situation
(真実ではない、または完全ではないもので、ある状況にについて真実を隠すために使われる説明や記述)

マジシャンが使う smoke = 煙と mirrors = 鏡から、「巧妙なトリック / うそ、人を欺くもの、ごまかし」 という意味があります。

この smoke and mirrors という表現は、アメリカの新聞記者が、ウォーターゲート事件に関しての著書の中で、下記のように書かれたのが短くなったものだそうです。

All political power is primarily an illusion. Mirrors and blue smoke, beautiful blue smoke rolling over the surface of highly polished mirrors.
(全ての政治権力は、主として幻想である。鏡と青い煙で、きれいな青い煙がピカピカに磨かれた鏡の表面を巡っている。)

原文のように、blue smoke and mirrors と使われることもあるようです。

smoke = 実質のないもの、まやかしで、一般市民を欺くことは許されませんね。

国の指導者は、ごまかしのない transparent = 透明な状態であるべきだと思います。


屋内避難から考えたこと

コロナウイルスの拡大で、ニューヨークやカリフォルニアで、屋内避難令が出されましたが、屋内避難は、次のような表現になっています。

shelter in place order

stay at home order

外に出て安全な場所に避難するのではなく、今いる場所(戸外にいる場合は最寄りの建物)の中で身を守ろうとすることです。

shelter というと、「危険を避けるために避難する、避難所」 などの意味がありますね。 
in place は、「適所に、所定の場所に」 ということで、ほとんどの人にとっては、自分の家のことでしょうね。

stay at home order は、そのものなので、分かりやすいですね。

これらの屋内避難令を、日本語の新聞では、「外出禁止令」 のように書かれていることから、ちょっと考えたことがあります。

英語では、その場にとどまる、家にいるという肯定表現になっていますが、日本語は、外に出ないようにという否定表現になっています。

ここから、何かで読んだことを思い出しました。

学校の黒板に書いてあることを、そのまま消さずに置いておいてほしい場合、日本語なら、「消すな。」 と書くところ、英語では、save と書くことが多く、これも、英語は肯定的です。

また、立ち入り禁止、入らないでと言う場合、Don't を使う場合もありますが、次のように言うこともありますね。

Keep out of the kitchen until I'm done cooking.
(料理が終わるまで、台所に入らないで。)

引っ越しをして、新しい住所や電話番号を知らせて、メールアドレスは変わっていないと言う場合、変わっていないということを、remain the same と言い、ここでも肯定的に言うことが多いように思います。

肯定的、否定的のどちらがどうということでもないのですが、同じことを言うのに、とらえ方が違うのがおもしろいなあと思います。

やせるために、あまり食べないようにするよりは、運動をしたり、メープルシロップを少ししか使わないよりは、ローカロリーシロップをたくさん使うようなアメリカ人の行動を見ていて、~しないようにするというネガティブな考え方を好まないということなのだろうかと思うことがあります。

言葉の使い方と、このような行動や考え方が関係するのだろうかと前々から思っているのですが、どうなのでしょう。


新型

spread of the novel coronavirus (新型コロナウイルスのまん延) という表現を聞きますが、新型と言う場合、novel という語が使われていることがあります。

new ではいけないのかと調べると、アメリカの CDC = Centers for Disease Control and Prevention (疾病対策センター)などは、novel (new) coronavirus と併記しており、new でもよいようですね。

new はゲルマン語から、 novel はラテン語から来ており、どちらも 「新しい」 という意味で同じです。

novel を辞書で見ると、「新しい種類の、いままでにない」 という意味や、医学分野においては、「(ウイルスなどが)新型の」 という意味も載っています。

novel には、次のような new との違いがあるようです。

original and of a kind not seen before
(最初のもので、いままでに見たことがない種類の)

novelty (珍しいもの、ノベルティ商品)とう語もありましたね。

新しく買ったジャケットなどと言う場合は、my new jacket でいいですね。

フランス語で、art nouveau (アールヌーボー)という言い方がありますが、この nouveau =new の変形に、nouvel があり、その女性形は、 nouvelle です。

英語で、new + s = news (ニュース) となるように、フランス語で、nouvelle + s = nouvelles (ニュース)となります。

英語の novel には、ニュースという意味はないですね。

その代わりにというわけでもありませんが、「小説」 という意味がありますね。

小説はフィクションであり、オリジナルなものということなのでしょうね。

ついでに、フランス語の小説は、長編は、roman、中編は、nouvelle となります。

new や novel のような同じ概念の語が、異なる道筋から一つの言語に入ってくると、共通する意味を持ちつつ、若干使い方が異なる場合があようですね。

これを書きながら思ったのですが、new の反対は old ですが、novel の反対は、必ずしも old とは限らず、common という場合もありますね。

common cold は、「普通の風邪」 ですが、novel coronavirus も、いつか common cold のような状態になっていくものなのでしょうか。


community から考えたこと

コロナウイルスのニュースを見聞きしていると、次のように、community spread という表現が出てきます。

New York City confirms two new cases of coronavirus contracted through community spread
(ニューヨーク市は、地域感染による新たな2件のコロナウイルス感染を確認する。)

community = 地域(社会) + spread = 広がること、まん延 = 地域感染 となるようです。

community spread は、地域感染で、次のような意味も含みます。

spread of a disease where the infection source is unknown
(感染源が分からない病気のまん延)

そして、それは、この病気が簡単に伝染するからですが、次のように言うこともできます。

This is a communicable disease.
(これは、伝染する病気です。)

communicate するのは、人が情報などを伝達するという意味だけではなく、「病気をうつす」 という意味でも使えます。

ところで、community という言葉から、immunity (病気に対する免疫)という言葉を思い出し、何か関係あるのだろうかと気になりました。

immunity は、免疫という意味で聞くことが多いのですが、ラテン語 in(m) = not + munis =performing services → exempt from public service 「義務などの免除、免責」 がもともとの意味のようです。

community は、com = together + munity → 共有の状態(共同体)です。

語源的には、義務などを免除するのが immunity で、共有するのが community なのですね。

病気は共有したいと思うものではありませんが、ウィルスと共生していくことは必要なのかもしれません。


早ければよいというわけでもない

前回、相反することわざについて書きましたが、いろいろなことわざについて読んでいる時に、今まで知らなかった表現を見つけました。

The early bird catches / gets the worm, but the second mouse gets the cheese.

最初の部分は、よく知られているかもしれませんが、後の部分もセットで使われることもあるようです。

The early bird catches the worm.
(朝早い鳥は、虫を捕まえる → 早起きは三文の徳) 

The second mouse gets the cheese.
(二番目のネズミが、チーズを得る → 急いては事をし損ずる) 

想像できるかもしれませんが、ネズミは、えさを得ようとして急ぐと、人間の仕掛けたわなにひっかかって死んでしまい、二番目に来たネズミがチーズを食べることができるということです。

さらに考えると、朝早い鳥に食べられてしまう虫は、自分の身を守るためには、朝早くから動かない方がよいということになりますね。

早い方がよい場合もあれば、そうでない場合もあるわけですね。

自分の置かれた状況により、何がよいかは異なるということなのでしょうか。


相反することわざ

新聞に、大阪の公立高校の入試問題が載っていたので、ざっと目を通していました。

英語の問題の中に、二つのことわざを比べて、自分にとってどちらがより説得力があるか、その理由や自分の意見を英語で書くというものがあり、ちょっと考えてみました。

下記はそのことわざです。

① Nothing ventured, nothing gained.

= One must take risks to achieve something
(何かを達成するには、危険を冒さないといけない。)

② Better safe than sorry.

= It is better to act cautiously beforehand than to suffer afterward.
(後で苦しむよりも、前もって慎重に行動する方がよい。)

これらは、どちらもよく聞くことわざですが、二つ並べてみると、相反しているように見えますね。

自分はどちらだろうかと考えてみたのですが、どちらも一理ありますね。

自分の夢や将来のことなどを考える場合は、①の冒険が必要なこともありますし、コロナウイルスのような病気や危険な災害などを考える場合は、②でしょうし、①と②では、使う状況が違うように思いました。

次のような例文もありました。

Go ahead, apply for the job. You know what they say — nothing ventured, nothing gained.
(さあ、その仕事に応募したらいい。危険を冒さないと何も得られないと言うじゃないか。)

Make sure you take an umbrella I know it's sunny now, but better safe than sorry.
(かさを忘れないように持って行って。 今は晴れているのは分かっているけど、後で困るよりいいよ。)

やっぱり、この二つのことわざは、使う状況が違うので、どちらが説得力があるというものでもないように思いました。

でも、この入試問題は、英語で自分の意見を述べるということのようなので、正しい文法やスペルで書くことができれば、それでよいのかもしれません。

この二つのことわざ以外にも、相反する表現がよくあるように思います。

例えば、次のような場合です。

Opposite attracts.
(正反対同士は引き合う。)

Birds of the same feather flock together.
(同じ羽の鳥は群をなす→類は友を呼ぶ)

出る杭は打たれると言う場合もあれば、出ないと打たれる場合もあります。

物事に絶対ということはないということなのでしょうね。。


押し込む

一つの言い方を覚えると、その表現ばかり使ってしまう傾向があるのですが、他の人が言うのを聞いたり、文章を読んだりすると、こんな使い方もできるのだと勉強になることがたびたびあります。

先日読んでいた記事の中に、飛行機の中で、座席の上の荷物入れに、手荷物を押し込むという意味で、shove という語が、次のように使われていました。

They are preoccupied finding an overhead storage bin to shove their carry-on into.
(彼らは自分の手荷物を押し込むための頭上収納棚を探すことで頭がいっぱいになっている。)

ただ荷物を頭上収納棚に入れると言うなら、put で十分ですね。

押して入れるなら、push ~ into でもよさそうです。

基本的に、shove は、push よりも強く押すということで、次のような定義が載っています。

to push someone or something forcefully
(誰かや何かを力強く押すこと)

さらに読むと、次のような定義、例文も載っていました。

to put something somewhere in a hurried or careless way
(何かをどこかへ急いで無造作に入れること)

I quickly shoved the bill into my pocket.
(その紙幣を急いでポケットに押し込んだ。)

飛行機の中で、手荷物を頭上収納棚に入れるのに、shove を使うと、他の人にスペースを取られないように、急いでちょっと乱暴に押し込むというイメージでしょうか。

shove とスペルが似た shovel (シャベル、シェベルで掘る) は、語源的が関連があるようなので、一緒に覚えておけばいいですね。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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