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辞任する

安倍首相の辞任表明のニュースを英語で読んでいると、「辞任する」 という意味の異なる表現を見かけます。

resignstep down は、よく見かけて知っていたのですが、次のように、stand down という言い方もあり、stand と down の組み合わせに、ちょっと首をかしげてしまいました。

Even though there is one year to go in my tenure and there are challenges to be met, I have decided to stand down as prime minister.

(在任期間はまだ一年残っており、対処すべき課題はあるのですが、私は内閣総理大臣としての地位を退くことを決心しました。)

Shinzo Abe will not stand down with immediate effect, but that he will wait for his successor to be named.

(安倍晋三は、すぐには辞任せず、彼の後任が指名されるのを待つだろう。)

stand up なら、「起立する」 という意味でよく知られていますね。

stand down に、「辞任する」 という意味があるのはなぜなのでしょう。

stand down は、軍隊用語がもとになっているようです。

stand → stand to one’s arms (武器が取れる状態を維持する)

down → at ease (休め、楽な姿勢で)

敵に対して武器を取れるようにしておく緊張状態が stand to arms で、その反対で、緊張状態から解放されて楽にしてよい状態が stand down ということです。

そういうことから、stand down は、off duty (勤務外、非番)になるという意味があり、「辞任する」 となるわけですね。

stand down には、仕事の緊張状態から解放されるというニュアンスもあるのでしょうか。。


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号外

安倍首相の辞任表明があり、号外が発行されたようです。

「号外です!号外です!」 と路上で配布しているのを見かけることがありますが、英語でも extra ! extra! と言うそうです。

extra には、a special edition of a newspaper (新聞の特別版、号外)という意味があります。

extra と言えば、「映画などのエキストラ」 という意味もありますね。

extra という語は、extraordinary が短縮されたものかもしれないと、語源辞書に載っています。

extraordinary は、extra (beyond = 超える) + ordinary (usual = 通常)なので、extraordinary achievement なら、「並外れた/驚くべき業績」 となりますね。

また、extraordinary の定義は次のような意味も含まれています。

used to describe something that does not happen regularly but that is arranged for a special purpose
(定期的に起こることではなく、特別の目的のために用意されることを述べるのに使われる)

これで号外という意味を理解できます。

また、extraordinary meeting は、「臨時会議」 ということになるわけですね。

それで、エキストラは、臨時に雇われたということなのでしょうね。

extraordinary actor (並外れた俳優) なら主役を演じることができ、extra (エキストラ)は、臨時雇いの出演者となるわけです。

extraordinary は、18世紀ごろには、現在の extra のように名詞でも使われていたそうで、号外もエキストラも extraordinary と言っていた時期があったようです。

誰にとっても、何をするにしても、まず健康であることが一番ですね。 安倍首相の病状が快方へ向かわれることをお祈りいたします。 


丁度いい

北欧の暮らしについてのテレビ番組を見ていて、lagom というスウェーデン語を知りました。

音とスペルから、lagoon (小さい沼)という英語を思い出しましたが、全く関係なく、スウェーデン語の lagom は、just the right amount (丁度いい量)という意味だそうです。

多過ぎず、少な過ぎず、in moderation (適度に、ほどほどに) ということのようです。

完璧ではなくても、自分にとって十分だと思えるところで満足するという概念は、ストレスを軽減して穏やかに暮らすためのヒントになるかもしれませんね。

lagom について調べていると、lagom を使ったことわざとその英訳を見つけました。

Lagom är bäst.
= The right amount is best.
(適度な量が一番いい。)

そして、次のようなことわざとしても訳されているようです。

Enough is as good as a feast.
(十分というのがごちそうである。 / 満腹はごちそうと同じである。)

十分にいただくこと自体がごちそうとは、素敵な言葉ですね。

そして、丁度いい量をいただくのは、健康にもいいですね

You do not need more than enough of anything.
(どんなものでも十分な量以上は必要ない。) ということでもありますね。

ところで、lagom は、law という意味だそうですが、法律というよりも common sense (良識、常識)的なものを意味するようです。

なので、lagom は、良識的に考えてみて十分な、ということになるのでしょうか。

私は、たとえ経済的に可能であったとしても、必要以上に大きな家に住みたいと思ったことはなく、自分が管理できる心地よいスペースがあれば、それで十分だと思っています。

どんなことでも、自分にとっての 「丁度いい」 を見つけて暮らしていければ幸せなことなのかもしれませんね。


うまくこなす

大統領選民主党大会でのジョー バイデンのスピーチの後、ニュース番組の中で、司会者が出演者たちに、彼のスピーチはどうだったかという質問をしている場面をたまたま見ました。

その質問の仕方を聞いて、こんな表現が使えるのかと勉強になりました。

Did he rise to the occasion?
(彼はこのスピーチでうまく力を発揮することができたか。)

rise は、「立ち上がる」 で、occasion は、「出来事、大事な行事」 という意味なので、言われてみれば、なんとなく理解できますが、このような表現は、なかなか自分の口からは出てこないように思います。

rise to the occasion の定義は次の通りです。

to show that you can deal with a difficult situation successfully
(困難な状況を、うまく処理 / 対処できることを示すこと)

「難局に際してうまく対処する、普段は見せない底力を発揮する」 のような訳も載っています。

rise to the challenge も rise to the occasion と同じように使えるようです。

Joe Biden rose to the occasion and made a brilliant speech.
(ジョー バイデンは大事な局面をうまくこなし、立派な演説をした。) のように言うことができます。

rise は、多くの使い方がありますね。

early to bed early to rise (早寝早起き) の rise もあれば、「起立する」 という意味もありますね。

困難な状況に立ち上がり、状況をうまく対処するのが rise to the occasion / challenge ということなのでしょうね。


座礁する

モーリシャス沖で日本の貨物船が座礁した件についての記事を読むと、次のように run aground という表現がよく使われています。

Mauritius has arrested the captain of a Japanese bulk carrier that ran aground off its coast, causing a devastating oil spill in one of the world's most pristine maritime environments, police said on Tuesday.

(モーリシャスは、世界で最も自然なままの海洋環境の一つにおいて、破壊的な石油流出事故を起こし、その沖に座礁した日本の貨物船の船長を逮捕したと、警察は火曜日に伝えた。)

aground は、run aground という形で使われることが多く 「座礁する」 という意味です。

ground と言えば、「地面、土地」 のような意味がありますね。

では、aground はどういう意味なのでしょう。

a + ground の a は、ここでは、on を意味し、aground = on the ground ということになります。

ground には、surface of the earth (地球の表面、地表)という意味もありますが、bottom of the sea (海底)というのが原義のようです。

なので、aground の定義は次のように載っています。

touching the ground below water
(水面下の地面に着くこと)

海である必要はなく、湖でも池でも、水のある所の底や地面、浅瀬に触れて動けなくなってしまうということですね。

ところで、飛行機が、悪天候などで飛べなくなってしまう時には、次のように言いますね。

All flights were grounded because of the storm.
(全ての航空便は、嵐のため離陸できなかった。)

この ground は、「飛行機を地上に待機させる」 ということです。

ground には、「座礁する、海底に達する」 という意味もあるようですが、The ship is grounded. と言うと、意図的に船を浅瀬に着けることなども意味し、モーリシャスのような事故の場合は、 run aground という形となるようです。

run aground の run は、aground (座礁した) のようなよくない状態を表す形容詞と一緒に使われると 「~になる」 という意味になり、run aground は、事故として座礁してしまったという含みがあるのかもしれません。

モーリシャスの事故の映像を見ていると、一人の日本人として申し訳ない気持ちで一杯になります。 

油の除去は困難な作業のようですが、生態系の回復のためにも、これからできることを努力し続けていかなければいけませんね。

ところで、モーリシャスを英語でタイプしようとして、何度も赤線が出てきて気づいたのですが、Mauritius なのですね。 発音につられて x Mauricious とか x Mauritious のように書いてしまいがちですが注意が必要ですね。


あっぷあっぷ状態?

大統領選民主党大会でのミシェル オバマ夫人のスピーチを聞きました。

とても説得力があり、熱意が伝わってくるすばらしいスピーチでした。 

その中に、トランプ大統領について、次のような表現がありました。

He has more than enough time to prove that he can do the job, but he is clearly in over his head.

(彼は大統領の仕事ができるということを証明する十分すぎる時間がありましたが、明らかにこの仕事は彼の能力を超えているのです。)

in over one's head の定義は次の通りです。

Be involved in something that is beyond one's capacity to deal with.
(処理できる能力を超えたものに関わっている。)

「完全にお手上げで」、「にっちもさっちもいかなくなった」 のような訳も載っています。

beyond one's capacity to や beyond one's ability to は 「~する能力を超えて」 という意味ですね。

ところで、この in over one's head という慣用句の由来を調べてみました。

この慣用句は、1600年代に最初に使用され、当時はまだ水泳ができない人がめずらしくなかった背景がある中で、in over one's head は、being in water deeper than one’s head (自分の頭よりも深い水中にいること) を意味したようです。

泳げない人が、泳ごうとしてあっぷあっぷしているところを想像してしまいました。

そういうことから、「自分の能力を超えた状況で、どうすればよいか分からない」 ということになるのですね。

トランプ大統領は大統領としての能力がないのに、その仕事をやろうとして深刻な問題になっているという感じでしょうか。

アメリカ市民が11月に誰を大統領に選ぶのか、アメリカの将来のために重要な選挙となりますね。


うだるような暑さ

NHKニュースを英語で聞いていると、猛暑について、次のように言っていました。

Tomorrow will be another sweltering day.
(明日もまたうだるような暑い日になるでしょう。)

sweltering という語が何回も使われていました。

暑いと言う場合は、もちろん hot や very hot、extremely hot のように言えばよいのでしょうが、sweltering は、今年の危険なほどの暑さにぴったりなのかもしれません。

sweltering の定義は次の通りです。

oppressively hot
(あまりに蒸し暑い、うだるように暑い)

uncomfortably hot
(不快なほど暑い)

oppressive は、「重苦しい、抑圧的な、圧迫感のある」 のような意味がありますが、天気については 「あまりに蒸し暑い」 ということになります。

また、swelter という動詞がありますが、sweltering という形で使われることが多いようです。

語源辞書には、swelter は、 faint with heat (熱で気絶する) という意味があることや古英語 sweltan = die (死ぬ)、同じく古英語 swelan = burn (燃える) などと関連することが載っています。

まさに燃えるような、死んでしまいそうなほどの暑さということで、「暑くてたまらない、蒸し暑さで苦しむ」 ということですね。

sweltering summer (うだるような暑い夏)、sweltering night (熱帯夜) のような使用例も載っていました。

ところで、「うだる」 という言葉は、「ゆだる(茹る)」 が語源だそうで、なるほどこちらも熱湯で茹で上がった感じで暑そうですね。

sweltering は、焼けるような暑さと訳す方が語源的には正確なのかもしれませんが、暑さによる不快や苦痛ということが伝わればいいですね。

Please take good care of yourselves in this sweltering summer heat.
(このうだるような夏の暑さの中、皆さまもどうぞお気をつけてお過ごしください。)


楽々と勝つ

ジョー バイデンの副大統領候補として選ばれた Kamala Harris についての記事を読んでいて、handily という語にひっかかってしまいました。

U.S. Senate race: California’s Kamala Harris handily beats Loretta Sanchez
(米国上院議員選挙 : カリフォルニアのカマラ ハリスが、ロレッタ サンチェスを楽々と打ち負かす。)

handily は、ここでは、easily、without difficulty (簡単に、容易に) という意味です。

easily だと、すんなりと理解できるのですが、handily と言われると、ちょっと考えてしまいます。

handily は、handy + ly ということで、handy は、次のような意味があります。

useful、convenient、skillful
(役に立つ、便利な、器用な、上手な)

Don't throw those bottles away - they'll come in handy for the picnic next Sunday.
(それらのボトルを捨てないで。次の日曜のピクニックで役に立つだろうから。)

He is handy with power tools.
(彼は電動工具を使うのが上手だ。)

handily は、もともとは、done by hand (手によってなされる)という意味があり、handily は、skillfully (器用に、上手に)ということにもなりますね。

上手にということで、簡単に、容易くということになるのでしょうね。

ジョー バイデンとカマラ ハリスは、大統領選挙で、win handily できるでしょうか。

言葉遊び

夫は、シャワーを浴びる前に、よく次のように言います。

I will go shake a tower.

take a shower と言う代わりに、頭音転換させる言葉遊びのようなものです。

shake a tower (塔を揺する) と take a shower (シャワーを浴びる) とは意味的には何の関係もなく、音を入れ替えて楽しんでいるわけです。

これは、spoonerism と言い、「頭音転換、スプーナー誤法」 のように訳されています。

もともとは、イギリスの Spooner 牧師が、このように単語の先頭の音の入れ違いをよくしていたことから付けられた名前のようです。

- jelly beans → belly jeans (お腹ジーンズ)

- show you to a seat → sew you to a sheet (紙にあなたを縫い付ける)

ただ、これらは、現代の Spoonerism であり、Spooner 牧師のオリジナルではないようです。

Spoonerism のオリジナルとしては、次のような例が載っていました。

Is it kisstomary to cuss the bride?"

これは、customary to kiss the bride (新婦にキスをするのは慣習)の言い間違いで、kisstomary という語は存在しませんし、cuss the bride (新婦を罵る)となっているのが、おかしいですね。

日本語でも舌がもつれたり、マイケル ジャクソンをジャイケル マクソンと言い間違ってしまうことはありますね。 

このような間違いで有名になったのが、Spooner 牧師のようですが、ちょっと笑える楽しい間違いですね。 

間違いからできた spoonerism ですが、頭の体操にもなり、いい言葉遊びになるかもしれませんね。


大幅に減少

先日夫が買ってきた英字新聞にさらっと目を通していると、decimate という語が、次のように2回使われているのに気づきました。

.....one in three U.S. restaurants may close permanently this year, showing how the COVID-19 pandemic is decimating an industry that employ millions of Americans.

(今年は3つに1つのアメリカのレストランは永久に閉店となるかもしれず、いかにコロナウイルスパンデミックが何百万ものアメリカ人を雇用する産業を大幅に減少させていることを示している。)

' No tourists, no dollars' : Pandemic decimates livelihoods of Kenya's Maasai
(旅行者がいなくて、収入がない。 パンデミックがケニアのマサイ族の生計に大打撃を与える。)

decimate を見て、何か decimal (小数、十進数) と関係しそうな語だなあと思いました。

decimate の定義は次の通りです。

to kill a large number of something, or to reduce something severely
(何かの多くを殺したり滅ぼすこと、または何かを大幅に減らすこと)

deciliter (デシリットル)は、 1/10 リットルですが、 decimate には、古代ローマでの刑罰で、次のような意味があったようです。、

to select by lot and put to death every tenth man
(くじ引きにより選び10人に1人を殺すこと)

恐ろしい制度ですね。

そういうことから、「多くを破壊する、多数を殺す、滅ぼす」 のような意味があるわけですね。

次のように文もインターネット記事にありました。

Japanese ship started to decimate kilometres of Mauritius’s shoreline a week ago.
(日本の船は、1週間前に何キロものモーリシャスの海岸線を台無しにし始めた。)

この場合の decimate は、「大幅に損害を与える、危害を与える」 という感じでしょうか。

decimate というスペルからは、多くを殺す、破壊する、危害を与えるなどの意味は想像しにくい語だなあと思いました。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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