fc2ブログ

非常に長い

翻訳している文章の中で、次のように lengthy という語が使われていました。

a lengthy and difficult harvesting process
(非常に長く困難な収穫過程)

lengthy という語は知ってはいましたが、考えてみると構成がおもしろい語だなあと思いました。

long の名詞形 length (長さ)に y が付いて、lengthy ですね。

非常に長いということを表したいのなら、very long でもよさそうなものですが、lengthy にすることによってどんなことが伝わるのでしょう。

lengthy の定義は次の通りです。

(especially in reference to time) of considerable or unusual length, especially so as to be tedious
(特に時間に関して、特に飽き飽きしてしまうような、かなりの、または並外れた長さ)

① 非常に長い、② 長くて退屈な、長ったらしい という意味があるようです。

'Lengthy' often has negative connotations implying tediousness or excess.
(lengthy は、退屈、過度という否定的な含みを意味することがたびたびある。) 
と辞書に載っていました。

lengthy speech なら、ちょっと長すぎるスピーチという感じですね。

lengthy は、時間的な長さに使われる語なので、髪の毛が長いというのは、long hair であり、lengthy とは言えませんね。

length のように th が付く名詞形について考えてみました。

wide と width
broad と breadth
deep と depth
true と truth
strong と strength などがありますね。

lengthy のように、これらにも y を付けることができるのかと言えば、そうではありませんが、strengthy という語は、スコットランド英語として、まれに使われることはあるそうです 。

lengthy は、アメリカ人の造語のようで、当初はイギリス人には受け入れられていなかったようですが、辞書に載る語となってしまいました。

余談ですが、ふと、sloth (ナマケモノ) という動物も th で終わる名詞だなあと思い、これは、想像通り slow + th ということのようです。

ナマケモノという動物は、動きが遅いという意味の語なのですね。

slowness は、「遅さ」 ですが、sloth は、「ナマケモノ、怠惰」 となるのですね。

そして、sloth + y で、slothy という語もあるのかなと調べると、一般的ではないようですが、「怠惰な」 という意味が載っている辞書もありました。 slothful の方が正式のようです。

long だけでは言い表せない含みがある lengthy のように、必要だと思われる語が作られて、だんだんと認められていくのでしょうね。

いつか、非常に深いという意味で、depthy (誤)と言える日が来る可能性も無きにしも非ずですね。。


スポンサーサイト



本当になるかもしれない

日々の自粛生活に飽き飽きして疲れてしまった時などに、I need some excitement. (ちょっとはワクワクするようなことが必要だ。)などと軽く言ってしまうかもしれません。

すると、次のような返答があるかもしれません。

Be careful what you wish for.

直訳すると、「何を願うかには気をつけなさい」 ですね。

次のような定義が載っています。

used to tell people to think before they say that they want something and to suggest that they may not actually want it

(何かを望んでいると言う前には考えるように、人に言ったり、それは実際には望むことではないかもしれないと暗示するのに使われる)

Be careful what you wish for. の後に、It might just happen. と続くこともあります。

「物事は慎重に考えた方がいい、望んだことが実現してしまうかもしれない」 ということですね。

I need some excitement. は、楽しいワクワクの excitement のつもりで言っているのですが、excitement という語は、必ずしも良いとは言えない刺激を意味することもあるので、そういうことを言うのは気をつけた方がいいということです。

次のような例文も載っていました。

You think having twins would be fun? Be careful what you wish for, you may just get it.

(双子を生むのは楽しいと思うって? 慎重に考えた方がいいよ。本当にそうなってしまうかもしれないから。)

かわいい双子を想像すると、それもいいなあと思ってしまうかもしれませんが、実際の双子の育児は体力も忍耐力も必要で簡単なことではないので、よく考えた方がいいよということですね。

Be careful what you wish for と、私も何度か言われたことがあるのは記憶しているのですが、それぞれの状況が思い出せません。

そうなってほしいと思うことを、物事を深く考えずに、口走っていたのでしょうね。

そういう場合に、本当になったら大変かもしれないよと思う時に、使ってみるといいかもしれません。


敬意を表する

大坂なおみ選手が、オーストラリアオープンで優勝しましたね。

彼女のあの強さと、ちょっとシャイな魅力的な人柄から、ファンも多いのではないかと思います。

準決勝のセリーナ ウィリアムズ選手との試合を見損ねてしまって残念でした。

下記は、夫が買ってきた新聞に載っていた一文です。

It was typical of Osaka, who also gave a deferential bow to Williams after knocking out her idol and 23-time Grand Slam champion in the semifinal.

(準決勝戦で、23回のグランドスラム優勝者で自分のアイドルでもあるウィリアムズを敗退させた後、彼女に敬意を表するおじぎをしたのも、大坂の性質をよく表している。)

この場面は見ていないのですが、想像できますね。

deferential は、ちょっと難しい語ですね。 定義は次の通りです。

polite and showing respect
(礼儀正しく敬意を払う)

会話では、respectful と言う方が多いかと思います。

differential と形も発音も似ていて混同しそうですね。

deferential の発音は、dèfərénʃəl (デファレンシャル)

differential の発音は、dìfərénʃəl (ディファレンシャル) で、似ていますね。

differential は、「区別を表す、数学の微分の」 などの意味があり、形容詞、名詞として使われますが、different より改まったな語で、学術的な内容の書物で見かけることが多いかもしれません。

deferential は、defer (敬意を表して従う、譲る = yield)という動詞から派生しています。

I will defer to your judgement.
(私はあなたの判断に従うつもりです。)  のように言えます。

特に、地位などが上の人や年上の人に対して敬意を表する場合が多いようです。

Rookies are usually deferential to the veterans and star players.
(ルーキーは、通常ベテランやスター選手に対して敬意を払う。)

また、「延期する」 という意味の、defer という動詞もあります。

① defer (敬意を表して従う)、② defer (延期する)、③ differ (異なる)は、語源的には、どれも de /di = away + ferre = carry という構成になっていますが、英語の中で区別されていったのでしょうね。

大坂なおみ選手が、謙虚にセリーナ ウィリアムズ選手に敬意を表して頭を下げたことを想像しながら、deferential という語を覚えておこうと思います。


ご参考:延期する

次の人どうぞ

先にお風呂に入って、次にお風呂に入るのを待っている人に、「お先でした」、「お先にいただきました」 と言うことがありますね。

夫は、お風呂から上がると、次の人に Next と言っています。

自分はもう入ったから「次の人どうぞ」と言うわけですね。

next というのは、私には、なんだか味気ない感じがしてしまうのですが、だからと言って、英語でしっくりとくる他の言い方もないように思うのです。

next には、the next person or thing (次の人、物) という意味もあるので、それで間違いではないのでしょうが、「お先でした」とは、感覚が違いますね。

また、エレベーターを降りる時などに、「お先にどうぞ」 なら、After you. という表現がありますね。

私はあなたの後でいいですよということで、Go ahead. と言うよりも丁寧ですね。 そう言われたら、遠慮せずに、先にさせてもらって、Thank you. とお礼を言えばいいですね。

もう一つ、「お先に失礼します」 というのは日本的な言い方ですね。

もう何十年も前に、日本語が少し分かるオランダ人の研修生と一緒に仕事をしたことがあり、彼女は帰る時に、上司や皆に、「さようなら」 と言っていましたが、ある時、彼女は他の人が、「お先に失礼します」 と言っていることに気づき、「さようなら」 ではだめなのかと質問され、少し説明したことがありました。

英語なら I'm leaving now. See you tomorrow. ぐらいでいいのでしょうね。

日本人は、他の人より先に何かをすることに、気を遣ってしまいますね。

お風呂から上がった後の 「お先でした」 というような表現は、言葉だけの問題ではないですね。 言葉を習うということは、文化を知ることでもありますね。

夫にも 「お先でした」 を教えておこうと思います。。


義肢

義肢装具士について書かれた記事がありました。

義肢は、artificial limb でもよいのですが、prosthetic limb と言うことが多いようです。

義足なら、prosthetic leg / foot です。

prosthetic は、 prɑsθétik (プロスセティク) と発音しますが、「義肢装具士」 は、prosthetist と言い、少し発音しにくい語です。

prosthetist は、アメリカでは、prɑ́sθitist (プラスシティストゥ)、イギリスでは、prɔsθíːtist (プロスシーティストゥ)となります。

アメリカで住んでいた時に、クイズ番組を見ていた時に、司会者 Steve Harvey が、出演者の職業を聞いて、出演者が prosthetist と答えたのですが、アメリカ人でも聞き取りにくいようで、聞き返していました。

私がこの語を最初に聞いた時には、prostitute (売春婦) 発音 prɑ́stitùːt (プロスティテュートゥ) と関連する語なのかと思ってしまい、ちょっとびっくりしたものです。

artificial は、「人工の」 という意味ですが、 prosthetic は、どういう意味の言葉なのでしょう。

ギリシャ語 prostithenai は、 add to (~を加える) という意味があり、 added to the body (体に付け加えられた)ということのようです。

prosthetic の定義は次のように載っています。

an artificial body part, such as an arm, foot, or tooth, that replaces a missing part
(欠けている部分に代わる腕や足、歯などの人工の体の一部)

人工の体の一部を体に付け足したものが prosthetic ということで、名詞としても形容詞としても使われ、「人工装具、人工装具の」 と訳せます。

prosthetic leg で走るアスリートなどにとっても prosthetist は、無くてはならない職業ですね。

artificial の意味に、体に付け足すという意味が付随したのが prosthetic ということですね。



形容詞の quality

quality という語は、名詞としても形容詞としても使えますね。

読んでいた資料の中に、次のような二通りの表現がありました。

producing high quality essential oils

producing quality essential oils

これらは、どちらも 「高品質のエッセンシャルオイルを生産する」 という意味ですね。

quality は、「質、品質」 のような中立的な意味がありますが、形容詞として使うと、「良質の、高品質の、素晴らしい」 という意味になるので、quality だけでも high quality と同じことを表すことができます。

人にも物にも使えて of high standard (水準が高い) ということです。

ついでに、「質が悪い」 場合は、poor / low quality と言えばいいですね。

quality newspaper は、主にイギリスで、教養人向けの The Times (イギリス紙)や The New York Times (アメリカ紙)などの高級紙を意味するようです。

次のような例文も載っていました。

We offer our customers a quality product at a reasonable price.
(我々はお客様に良質の製品を手頃な価格で提供している。)

We don’t have enough quality players in our team.
(私たちのチームは優秀な選手が足りない。)

quality time もよく使われる表現です。

例えば、私が実家の両親と時間を過ごして、家にもどって来た時に、夫が私に次のように聞くことがあります。

Did you have some quality time ?
(楽しい時間を過ごせた ?)

quality time は、「家族など親しい人と過ごす最も楽しくて価値のある時間、充実した時間、質の高い時間」 という意味です。

quality control (品質管理)や quality of life (生活の質) という表現もよく耳にしますが、これらは質の向上を目指した言葉のように思います。

quality は、qualify (資格を与える) とも関連があり、「資格を備えていること」 というのが原義のようで、ポジティブな意味で使われるのも納得してしまいます。


甘い考え

前回、NFL の End racism というメッセージについて触れました。

Black lives matter. ではなく、End racism という中立的な表現を使うのは弱いという考えもあるようです。

“End Racism” is more about wishful thinking than inspiring any kind of structural change.

(「人種差別をなくそう」 というのは、どんな構造的変化を引き起こすというよりも甘い考えだ。)

racism (人種差別)と言うだけでは、焦点がはっきりしていないということなのかもしれませんね。

ところで、wishful thinking というのは、何となく分かるような表現ですが、次のような定義が載っています。

the imagining or discussion of a very unlikely future event or situation as if it were possible and might one day happen 

(将来起こりそうにない出来事や状況を、まるでそれが可能で、いつか起こるかもしれないように想像したり話し合ったりすること)

「甘い考え、希望的観測、夢想」 という訳も載っています。

実際には無理だと思いつつも、こうあってほしいと願ってしまうような場合に使える表現です。

I think she rather likes me. But maybe that’s just wishful thinking.

(彼女は僕のことがちょっと好きだと思う。 でも、もしかしたらそれは希望的観測かもしれない。)

"Do you think you might be in line for promotion?" "No, it's just wishful thinking."

(自分が昇進する候補になっていると思う? いや、それは甘い考えだ。)

今年中にコロナが終息すると思うのは、wishful thinking なのかもしれませんが、いつか終息するという hope (希望)は持っていたいですね。


皆でやる必要がある

先日アメリカンフットボールのスーパーボウルを見ていた時に、スクリーンに映った言葉がありました。

It takes all of us

簡単な言葉が並んでいますが、何を意味するのでしょう。

これは、NFL (National Football League) の 2020 年シーズンの brand campaign と呼ばれるものです。

ブランドキャンペーンというのは、一つの組織、会社などのメッセージで、それによりその組織の認識度も高まるということのようです。

この It takes all of us. には次のようなメッセージが込められているようです。

"It Takes All of Us," the NFL's brand campaign for the 2020 season, leverages the scale and power of the league to unite the country during a critical time in our nation.

(It Takes All of Us という 2020年シーズンの NFL のブランドメッセージは、リーグのスケールや力を活用して、我が国の危機的な時期に、国を団結させる。)

End racism. (人種差別をやめよう。)ということのようです。

すべてのアメリカ人たちへの希望と団結というメッセージなのでしょうね。

It takes all of us.take は、ここでは 「必要とする」 という意味ですね。

(人種差別をなくすには) 私たちすべてが必要だ → 皆でやっていかなければいけないということなのでしょうね。

でも背景を知らないと、It takes all of us. は、チームには、私たちすべてのチームメイトの力が必要だという意味にも取れないこともないなあと思いました。

チームスポーツのように、皆が力を合わせることで達成できることがありますね。

NFL のメッセージがアメリカの人たちの心に深く響けばいいなあと思います。


目で笑う

下記は、たまたま見つけた WSJ (Wall Street Journal) の記事の見出しです。

How to Smize (Smile With Your Eyes) When You’re Wearing a Mask
(マスクをしている時に、どのように目で笑えばよいのか。)

smize という語を初めて知りました。

すぐに smile + eyes の造語だということが分かりますね。

下記は記事の一部です。

A neologism coined by supermodel Tyra Banks in 2009 on the television show “America’s Next Top Model,” smizing means smiling with your eyes. It involves bringing life to your eyes while keeping the rest of the face neutral.

(America’s Next Top Model というテレビ番組で2009年に、スーパーモデルのタイラ バンクスによって作られた新語である smizing は、目で笑うことを意味します。 顔の他の部分を普通の状態にしながら目に活気を与えることが含まれます。)

モデルには、目の力で表情を作るということが大事なのでしょうね。

皆がマスクをしている今では、レストランなどのサービス産業でも、そういうことが必要になってきているようで、目だけで感じのよい表情を作る訓練をしているようです。

smizing というのは、やってみるとなかなか簡単ではありませんね。

夫や息子も smize という語は知りませんでしたし、一般的に使われる語ではないのかもしれませんが、マスクで顔の半分が見えない中、目の力の大事さを思わせる語だなあと思います。

dead eyes (正気のない目)にならないように、少しは顔を緊張させてみるのも悪くないかもしれません。。



バッカ二アーズ

昨日はBSで、アメリカンフットボールのスーパーボウルを夫と息子が見ていたので、私も少し一緒に見ていました。

Tampa Bay Buccaneers が、昨年優勝した Kansas City Chiefs を破って、優勝しました。

buccaneer は、バッカニアとカタカナで書くと、馬鹿のようでインパクトがある名前ですが、「カリブ海周辺の海賊」 という意味だそうです。 

フランス語 boucaner は、「肉を燻製にする」 という意味があります。

boucan は、肉を薫製するための木枠のことで、boucanで薫製にした肉を船乗りに売る強盗団がおり、後に海賊になったために、buccaneer の語源となったようです。

試合を見ながら、息子が buccaneer を使ったなぞなぞ?だじゃれ?を言いました。

How much does corn cost in Tampa Bay?
(トウモロコシは、タンパベイではいくらでしょうか。)

夫はすぐに、笑っていました。

私はちょっと時間差がありましたが、何とか分かりました。

答えは、(a) buck an ear (1本1ドル)で、 これが、Buccaneer と発音が近いからです。

ear には、「トウモロコシの穂」 という意味があり、an ear of corn は、「トウモロコシ1本」 です。

これはちょっと難しいですね。

buck は、俗語で 「1ドル」 ですね。

19世紀中頃に、開拓者の物々交換に、buckskin (雄のシカ革)を単位として使っていたのが語源だそうです。

我が家では、こういうなぞなぞ、だじゃれが、いつ飛んでくるか分からず、いつもよい頭の体操になっています。。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

日本ブログ村に登録しています
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
ご訪問ありがとうございます。
リンク