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悪魔も 神も

前回、devil という語を含む言い回しについて書きましたが、もう一つ、次のような慣用句もあると、夫から聞きました。

The devil is in the details.
(悪魔は細部に宿る。)

意味は下記のように載っています。

Plans, actions, or situations that seem sound must be carefully examined, because minor details can end up causing major, unforeseen problems.

(正当と思われる計画や行動、状況は、慎重に検討されなければならない。 というのは、些細な物事が、深刻な予期できない問題を引き起こすことがあるからだ。)

例えば、契約書などを読む時には、慎重にしないと、大きな落とし穴を見過ごしてしまう可能性がありますね。

You need to read the contracts very carefully. The devil is in the details.
(契約書は注意深く読む必要がある。 悪魔が細部に宿るから。)

細部に注意を払わないと失敗するよ、ということなのでしょうね。

調べていると、devil is in the details よりも前に、

God is in the detail(s).
(神は細部に宿る。)  という慣用句があり、devil の方は、この変形ということのようです。

意味は次の通りです。

Whatever one does should be done thoroughly; details are important.
(何をするにしても徹底的にするべきで、細部は重要だ。)

細部には神が宿っているので、慎重にするべきで、細部に注意を払いましょう、ということなのでしょうね。

少しニュアンスは違うものの、この二つの慣用句は、細部に注意を払うことの重要性を表しています。

おもしろいと思ったのは、Goddevil という相反するような語を使って、ほぼ同じ意味の表現になることです。

devil の方は、隠れている否定的な側面を見落とさないようにということですが、God の方は、見落とすものはなく、神がどんなところにも宿っているので、細部に注意して物事を行うと、すばらしいことが成し遂げられるという感じでしょうか。

いずれにしても、細部に注意して生活する方がいいですね。


ご参考: fine print

知ってる悪魔 と 知らない悪魔

先日、久しぶりに電車に乗りました。 ラッシュアワーを避けましたが、意外と乗客も多く、私のぴったり横に、女性の二人連れが座り、ずっと話して笑って楽しそうにしていました。

それはそれでいいのですが、ふと見ると、隣の車両はガラガラなので、そちらへ移動しようかなと思いつつ、まあいいかと思って座っていたという話を家族にしました。

すると、夫が次のように言いました。

better the devil you know (than the devil you don't)
(知らない悪魔よりも、知った悪魔の方がまし。)

悪魔なんて、ちょっと大げさな語を使っていますが、定義は次の通りです。

used to say that it is better to deal with a difficult person or situation one knows than with a new person or situation that could be worse

(新しい人や状態は、もっと悪くなるかもしれないので、知っている扱いにくい人や困難な状態を処理する方がよいという場合に使われる。)

devil とは、ここでは、difficult person or situation ということですね。

もし、私が隣のガラガラの車両に移動したとしても、次の駅で乗客がどっと増えて、それなら移動しなくてもよかったという可能性もあるということですね。

また、隣の車両では、どんな人が横に座るか分からないとも考えられます。

次のような例文も載っています。

A: "Why don't you just quit your job if you're so miserable?"
(そんなに惨めなら、仕事を辞めればいいじゃないか。)

B: "Who knows if a new job will be any better? Better the devil you know."
(新しい仕事がよりよくなるかどうかは分からないからね。 知ってる悪魔の方がいいって言うだろう。)

確かに知っている悪魔の方が安心感はありますね。 未知のものは、より厄介だということなのでしょうか。 でも、未知なら、必ずしも悪魔であるとは限らないですね。

電車の座席がちょっと混んでいたという状況ぐらいのことに、悪の象徴のような devil という語を、気軽に使うものなのですね。

何だか、電車で隣に座った女性のことを悪魔だと言っているように感じてしまい、ちょっと申し訳ない気がしてしまいました。。


- tain 動詞について

「拘束する」 は、次のように detain という語で表します。

Myanmar’s military launched a coup on Monday, detaining the country’s civilian leader, Daw Aung San Suu Kyi, and...

(ミャンマー軍が月曜日にクーデターを起こし、国の民間指導者であるドー(敬称)アウンサンスーチーを拘束し、.....)

「拘束」 とは、思想や行動の自由を制限することですね。

detain も 「行動の自由を奪う」 ということで、liberate (釈放する、解放する)の反対です。

detain の tain の部分は、フランス語の動詞 tenir = hold、keep と関連することが想像できます。

そして、ラテン語 detinere = hold off、keep back 、 de = from、away + tenere = hold という構成になっています。

そこで、同じように -tain が付く contain を思い出しました。

これも con = with、together + tenere = hold ということです。

Cigarette smoke contains carbon monoxide.
(たばこの煙は、一酸化炭素を含んでいます。)

contain は、このように 「含む」 という意味もあれば、最近は、コロナを 「封じ込める」 という意味で、次のように使われているのもよく見かけます。

China says it contained Covid-19.
(中国は新型コロナウイルス感染症を封じ込めたと言う。)

そして、container は、「容器、コンテナ」 となりますね。

これら全てが、hold という概念が基本にあるというのがおもしろいですね。 

retain はどうでしょう。

He still retains her dual citizenship in the U.S. and Japan.
(彼は、アメリカと日本の二重国籍を持ち続けています。)

re = back + tenere = hold で、「持ち続ける」 となります。

maintain もありましたね。

He took supplementary vitamins to maintain his good health.
(健康を維持するため、彼は補助ビタミン剤を飲んだ。)

manu tenere = hold in the hand で、「維持する、保つ」 ですね。

maintain の main は、manual の manu と同じように 「手」 という意味です。

ところで、mountain (山) も、-tain が付いていますが、こちらは、ラテン語 montanus が語源で、-tain 動詞とは関係ありません。


卒業おめでとう

3月は卒業式の季節で、次のように、お祝いのカードを書いたり、プレゼントを贈ったりすることがあるかもしれません。

Congratulations on your graduation.
(卒業おめでとう。)

congratulationsgraduation は、発音もスペルも少し似ていますね。

私が、友人の娘さんの卒業のお祝いカードを書こうとしていると、夫が、Congraduations とまとめて書いたら、おもしろいよと言います。

なるほど、卒業のお祝いには効率のよい表現ですが、今のところ、正式には認められていない語のようなので、言葉遊びということです。

私のような英語のネイティブではないものが、congraduations と書くと、単なるスペルミスだと思われてしまうと言うと、それなら、Con Graduations ! と分けて書けばよいと言います。

確かにおもしろいので、採用することにしました。

congratulation は、 com = together, with (一緒に、共に)+ gratulari =give thanks, show joy (感謝する、喜びを示す) で、「祝うこと」 という意味ですね。

gratuity は、レストランなどで払う tip (チップ) の改まった言い方です。

No gratuities accepted in this restaurant.
(当レストランではチップを頂いておりません。)  のように言えます。

チップは、サービスに対して感謝の気持ちを表すものですね。

graduation は、「卒業」 の他に、「目盛り」 という意味もあり、gradus = a step (toward something) が基になっています。 一歩ずつ進んで、卒業するイメージですね。

ご参考までに、かなり前に書いた記事はこちらです → graduated cylinder

congraduations という言葉遊びは楽しいですが、congratulationgraduation という、本来のスペルは間違えないようにしなければいけませんね。


訳あり商品

前回、食品ロスについて書きましたが、家具や電化製品などの商品で、ちょっと傷があるなどの訳あり商品を、次のように表現して販売されることがあると、夫から聞きました。

scratch and dent

scratch (かすり傷) と dent (くぼみ、へこみ) なので、分かりやすいですね。

次のように、お店の宣伝として使われています。

Hundreds of New Scratch & Dent Appliances Ready to Take Home
(何百もの新しい訳あり電化製品を家に持ち帰ることができます。)

わずかに傷や染みがある商品を、値段を下げて販売できれば、売る側にとっても買う側にとってもいいですね。

scratch と言えば、 scratch one's head という表現もありますね。

He scratched his head when his son walked in wearing a pink dress.
(息子がピンクのドレスを着て入ってきた時、彼は困惑しました。)

頭をかいて、不満や困惑を示すということですね。

また、from scratch (最初から、一から) という表現も、よく聞きます。

She made this cake from scratch.
(彼女はこのケーキを一から作りました。)

ケーキミックスを使わずに、一から全部計量して作ったということですね。

scratch が、どうして 「最初」 という意味があるのか不思議に思いました。

scratch には、次のような意味があったようです。

the starting line of a race "scratched" into the ground, from which all runners would be starting without a head start.
(全てのランナーが早くスタートしないようにスタートするための地面に ”引っかいて描いた” レースのスタートライン)

scratch は、訳あり商品のわずかな傷という意味もあれば、地面を引っ描いたスタートラインという意味もあるわけですね。


ご参考までに、scratch について、以前に書いた記事は下記の通りです。

悪筆
かすり傷
scratch paper and scrap paper

food loss と food waste

スーパーに行くと、ディスカウントされた野菜や果物が並んでいるワゴンがあり、次のような表示があります。

お買い物上手
フードロスをなくそう!

家族のためには新鮮な野菜や果物を買いたいと思いつつ、まだまだ食べられるものを無駄にしたくないなあと、たまには、そのワゴンもチェックしています。

先日は、そのワゴンから熟れたバナナを買ってきて、チョコレートチップやクルミも入れて、バナナケーキを作ってみました。

日本語で、フードロス という表現をよく耳にしますが、前から何となく food waste の方がいいような気がしていました。

One third - food waste prevention という記事の中に、次のような違いが載っています。

food loss

Food loss is the decrease in the quantity or quality of food resulting from decisions and actions by food supply chain.
(食品ロスは、食品サプライチェーンによる決断や行動の結果起こる食品の量や質の減少である)

food waste

Food waste refers to the decrease in the quantity or quality of food resulting from decisions and actions by retailers, food service providers and consumers

(食品の無駄は、小売業者や食品サービス提供者や消費者による決断や行動の結果起こる食品の量や質の減少を言う。)

food loss は、生産から流通の間に起こり、food waste は、小売業者から消費者へ販売
後、また消費者の家で起こるということですね。

とは言え、一般には、food loss and waste のようにまとめて言う場合もあり、food lossfood waste の境界は絶対的なものではないのかもしれません。

loss は、「失うこと、減少」、waste は、「無駄、浪費」 などの意味がありますが、いずれの場合も、どこかの段階で、食品が無駄になるということには変わりありませんね。

ただ、食品を買ってから食べずに捨ててしまうことや、レストランや家庭での食べ残しなどについては、food waste と言う方が正しいように思います。

食品の無駄をなくすためのチャレンジとして、次のような例が載っていました。

Learn to preserve fruit (果物の貯蔵について学ぶ)

Buy ugly / clearance produce (見栄えの悪い / クリアランスの農産物を買う)

Declutter your fridge (冷蔵庫を片付ける)

Eat the skin of produce and meat (農産物や肉の皮を食べる)

Soonest to expire to top shelf (すぐに期限が切れるものは一番上の棚に置く)

Shop on a full stomach (お腹がいっぱいの時に買い物する)

確かに、お腹がすいている時に買い物に行くと、買いすぎてしまいますね。 できることから努力しようと思います。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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