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周縁化

アメリカでのアジア人差別関連の記事で、次のような文を見つけました。

The marginalization of Asian-Americans has deep roots.
(アジア系アメリカ人の周縁化は、深い根を持っている。)

marginalization の定義は次の通りです。

the act of treating someone or something as if they are not important
(誰かや何かを、まるで重要ではないというように扱う行為)

「疎外化、周縁化、故意の過小評価」 のような訳も載っています。

marginalize は、「社会や集団内で、~を過小評価する、除外、無視する」 となり、次のように使えます。

They marginalize a minority group.
(彼らはマイノリティグループを軽んじる。)

marginal という形容詞には、① not very important (重要ではない) という意味があります。

また、② small in amount or effect (量や効果が少ない) という意味もあり、次のように使えます。

There has only been a marginal improvement in women's pay over the past few years.
(過去数年で女性の賃金は、わずかな改善しかされていない。)

そして、margin は、「マージン、余白、周辺、縁」 などの意味があり、ラテン語 margo = edge (端、へり、縁)に遡ります。

marginalized people というのは、社会の端、周縁にいるような mainstream (主流)から取り残された人たちということなのでしょうね。

margin は、ノートの余白という意味とは違う深い意味へとつながっていくものですね。


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無理やり押し込む

「靴べら」 は、 shoehorn と言いますが、これは、horn (動物の角) で作っていたということから、そう呼ばれるようです。

先日、この shoehorn の動詞としての使い方を知りました。

靴べらは、足が靴に入りやすくするためのものですが、足を押し込んでいるということから、次のような定義が載っています。

to cram (people or things) into a very small space, to force into a limited or tight space.
(とても狭い空間に、人や物を詰め込むこと、限られた、または狭い空間に無理やり押し込むこと)

なるほど、言われてみれば、分かりやすいですね。

例えば、電車の座席で、一応5人掛けのところ、4人でその空間を使っていて、あと1人分のスペースが十分ではないかもしれない時に、誰かが無理にその空間に座るという場合に、shoehorn を使うこともできるようです。

そういう状況で、夫が次のように shoehorn を使っていました。

She shoehorned herself into the space between me and the other guy.
(彼女は僕ともう1人の男性の間の狭いスペースに自分を押し込んだ = 無理に座った。)

もちろん、最近はコロナ対策もあり、ぴったりと横に誰かが座るような環境は、できるだけ避けたいものですね。

他には次のような例が載っています。

She's trying to shoehorn a year's worth of classes into a single semester.
(彼女は一つのセメスター(学期)に、無理やり一年分の授業を詰め込もうとしている。)

Can you shoehorn four of us into the back seat of your car?
(君の車の後部座席に、僕たち4人無理に座らせてもらうことは可能かな。)

We’d have to build another school to shoehorn all our students in.
(我々の全ての生徒が入れるように、学校をもう一校建てなければならないだろう。)

shoehorn の代わりに、squeeze (押し込む、無理に入る) と言う方が一般的かもしれません。

shoehorn で押し込めるものは、足だけではないようですね。。


文字通りの意味

単語には、文字通りの意味もあれば、言外の意味を持つ場合がありますね。

言外の意味、または含みのことを、connotation と言いますが、その反対で、文字通りの意味、または明示的意味という denotation という語を最近知りました。

denote (示す)の de は、totally (完全に)という意味で、denote は、完全に示すということで、denotation は、文字通りの意味ということになるようです。

例えば、次のように言えます。

thrifty (倹約的な、節約的な) → denotation

thrift shop は、「古物などを扱うリサイクルショップ」 のことですね。

stingy (けちな) → negative connotation

economical (無駄遣いをしない) → positive connotation

辞書によっては、thrifty がポジティブな含みがあり、economical は中立だと説明するものもあり、含みには、ゆれがあるものかもしれません。

それぞれの定義は次の通りです。

- thrifty
showing a careful use of money, especially by avoiding waste
(特に無駄をなくすことで、お金を使うことに慎重さを示す)

- stingy
not generous, or unwilling to spend money
(気前がよくない、もしくはお金を使うことを嫌がる)

- economical
not using a lot of money, energy, etc.
(多くのお金やエネルギーなどを使わない)

中立的な文字通りの意味の語もあれば、ポジティブ、ネガティブな含みがあるものもあることを理解して使いたいものですね。


実質的

アメリカでのアジア人差別が問題になっています。

関連記事の中に、リトルトーキョーにある全米日系博物館の館長による次のような文がありました。

Our elected leaders must take substantive action to combat this as a matter of urgency.
(我々の選ばれたリーダーたちは、緊急を要することとして、このことと闘うために実質的な行動をとらなければならない。)

substantive という語を見て、substantial (十分な、かなりの) という語を思い出しました。

substantive の定義は次の通りです。

Having a firm basis in reality and so important, meaningful, or considerable
(現実に断固とした根拠を持っている、とても重要な、意味がある、相当の)

「実質的な、現実の、かなりの」 という訳も載っています。

「形式的」 ではないということですね。

substantivesubstantial も、どちらも substance (物質、実質、内容など)の派生語です。

substance は、sub (下に) + stance (立っている)= 根底にあるもの というのが原義です。

substantialsubstantive は、重なる部分もあるかもしれませんが、substantial が、量的にかなりのものであるということに対して、substantive は、内容が意味のある実質的なものであるという違いがあります。

The findings show a substantial difference between the opinions of men and women.
(その調査結果は、男女の意見の間でかなりの違いを示している。)

The documents are the first substantive information obtained by the investigators.
(その書類は、捜査官が得た最初の実質的な情報である。)

差別問題を解決するのは本当に難しいことですね。

どうしても同じ文化を持ち同じような顔をしている同人種の人たちといると、安心感はあるのかもしれません。

私の今までの海外生活の中では、アジア人ということで、あからさまで身に危険を感じるような差別は経験したことはありませんが、態度や話し方などで、感じ悪いと思ったことはあります。

人々の心の中にあった小さな差別の芽が、コロナで爆発して犯罪となってしまっているように思います。

バイデン大統領が Silence is complicity. (沈黙は共犯だ。)と言うように、一人ひとりが差別について考え、できることを実行していかなければいけませんね。


日常で使う野球用語

病院の待合室では、スクリーンに、診察中の患者の番号、そして次の人の番号が出ていることがあります。

それで、そのスクリーンを見ると、次は自分の番だと分かるようになっています。

そういう時に、夫が次のように言うことがあります。

We are on deck.
(次は僕たちの番だ。)

deck は、「デッキ、甲板」 という意味ですが、on deck は、野球用語としては、「次の打者として控えて」 という意味ですね。

次の打者が待機している場所を、on-deck circle と言うようで、日本では、ネクスト バッターズ サークル と言うのでしょうか。

そういうことから、日常の生活でも next in line (列での順番が次である) という意味で使えるようです。

もう一つ、夫がよく使うのは、ballpark という語です。

ballpark は、baseball park を省略した語で 「野球場、スタジアム」 ということですね。

野球場という意味以外に、「大体の範囲、許容範囲、概算」 という意味もあります。

in the ballpark という形で、次のような意味として使われます。

close or within a certain range
(ある一定の範囲内かそれに近い)

My first guess wasn't even in the ballpark.
(私の最初の推測は、許容範囲でさえなかった。)

Give me a ballpark.
(大体の数字を教えてください。)

ballpark (野球場) の入場者の大まかな計算から「概算」という意味となったとする辞書もあれば、ボールが球場内にあるというイメージから「大まかな範囲」とする辞書もあります。

また、ballpark は、ballpark estimate (大体の見積もり)のように形容詞としても使えます。

野球関連の表現が、アメリカ的だなあと思います。


解除する

lift という語を、最近よく耳にします。

Japan's Meteorological Agency has lifted a tsunami advisory.
(日本の気象庁は、津波注意報を解除しました。)

Suga says COVID-19 emergency will be lifted for Tokyo region on Monday.
(菅首相は、東京地域の新型コロナウイルス緊急事態宣言は月曜日に解除されると言う。)

次のような例文も載っています。

The restrictions on water usage have been lifted now that the river levels are normal.
(川の水位が平常になったので、水量規制は解除されました。)

At last they've lifted the ban on jeans at the club.
(ついに、クラブでのジーンズ禁止令が解除されました。)

lift は、「禁止令などを、解除する、取り除く、撤廃する」 という意味で、remove とも言えますね。

lift と言えば、まず、「持ち上げる」 という意味を思い出すかもしれません。

イギリスでは、elevator のことを、lift と言いますね。

何か押さえられていたものが、持ち上げられて軽くなるイメージがします。

日本語では、「緊急事態宣言明けの飲食店」 のように、「明ける」 という表現が使われることもありますね。

こちらも、何か暗かったものが、明るくなる感じがします。

「梅雨明け」、「喪が明ける」 のように、「明ける」 というのは、ある期間が終わることを意味しますが、津波注意報明けとは言わないのはどうしてなのでしょうね。

「夜が明ける」 のように、梅雨や喪のような自然にその期間が終わることが本来の意味ということなのでしょうか。

lift は、気分などを 「高揚させる」 という意味もあり、次のように使われます。

The news lifted our spirits.
(その知らせを聞いて、私たちはうれしい気分になった。)

緊急事態宣言は lift されても、なかなか気分までは lift しにくいですが、ちらほらと咲き始めた桜や春の花を見ていると、少しは明るい気分になる今日この頃です。


administer から考えたこと

記事の中で、次のように administer / administration という語が使われているのを見つけました。

.....the president announced the administration would achieve its goal of 100 million vaccines administered in 100 days on Friday, the 58th day of the new administration.

(大統領は、政府が100日で 1億のワクチン投与目標を達成すると、新政権58日目の金曜日に発表した。)

Biden administration (バイデン政権)という表現はよく見聞きしますね。

administer は、その動詞形で、「政府、人などが、国、市などを治める、行政管理をする」 という意味がありますが、ここでは、「薬などを投与する」 という意味で使われています。

100 million vaccines administered の代わりに、100 million vaccine given でもいいですね。

この administer という語について考えてみました。

ラテン語 administrare は、ad + ministrare に分けられ、to serve (仕える)というのが基本の意味となるようです。

ラテン語 minister は、minus, minor (less) と同じ語源で、inferior, servant, priest's assistant (下位の、奉仕者、神父補佐) のような意味を持つ語です。

そう言えば、minister は、「プロテスタント教会の牧師」 という意味でも使われ、教会のために働く人ですね。

ついでに、牧師は、pastor と言う場合もあり、これは、羊たちを世話する羊飼い(pastor = shepherd )のように、教会のお世話をする人ということのようです。

minister は、「大臣」 として耳にすることも多いですが、もともとは、servant (召使い) のように仕えるというのが本来の意味なのですね。

prime minister (首相) なら、仕える人の長という感じでしょうか。

「公務員」 のことを、public servant と言うことがありますが、servant という語は、serve する人ですね。

次のようにも言えます。

He has worked in public service all his life.
(彼は一生を通じて公務員として働いた。)

ministerservant は、一見全く違う語に見えますが、どちらも仕える人という意味なのがおもしろいなあと思います。

administrative department (管理部、行政部門)などで、行政を管理したり指揮する人は、奉仕の精神でそうすべきなのでしょうね。

記事の中に、ワクチンを接種するのは、administering a dose of hope のようだということが書かれていましたが、本当に、皆の明るい希望への一歩になってほしいものです。


uptake について

次のように、uptake という語が使われていますが、この語はどういう意味なのか考えてみました。

① vaccine uptake and Covid-19 concern というタイトルのグラフがあり、何パーセントの人がワクチンを受けたいかということを示しています。

その説明の一部として、下記のように書かれていました。

② Intended vaccine uptake peaks among adults age 65 and older, a particularly vulnerable group, at 81%, versus 61% of those 18 to 64.

uptake を英和辞典で引いても、いまいちしっくりと理解できず、オンラインの英英辞書を見ると、次のような定義が載っていました。

the rate or act of accepting something
(何かを受け入れる割合や行為)

次のような例文も載っていました。

There is a 90 percent uptake of vaccination in this country.
(この国では、ワクチン接種は、90% の割合で受け入れられている。)

上記の①②は、それぞれ次のように訳せそうです。

① ワクチン受け入れ割合と新型コロナ感染症への不安

② 対象となるワクチン接種受け入れ(利用者)は、18歳から64歳までの大人のグループが61%に対して、とりわけ感染リスクが高い65歳以上の大人のグループが81%と最も高い。

ついでに、vulnerable という語は、「弱い」 という意味がありますが、医学的な文書で使われる場合には、「感染リスクが高い、病気などにかかりやすい」 のように訳すことができます。

uptake は、「何かを受け入れて、それを利用する人(の割合)」 ということでしょうね。

また、uptake には、「(体などへの)吸収、摂取」 という意味もあります。

Plants in their growth stage exhibit an increased uptake of nutrients.
(植物は、成長段階で栄養分の吸収増加を示す。)

もう一つ、be quick on the uptake (理解が早い。)という慣用句もあるようです。

uptake は、何かを取り込むということが基本にあるように思います。

日本の vaccine uptake は、どのぐらいなのでしょうか。


Quad から考えたこと

Quad と呼ばれる日米豪印戦略対話、または四カ国戦略対話というものがあり、中国が存在感を高める中、4カ国が連携を強めているようです。

また、ワクチン配布や気候問題、安全保障についても緊密に協力するということです。

Quadrilateral Security Dialogue を、通称 Quad と言うようです。

Quadrilateral は、「四辺形の、四角形の」 という意味で、quad は、「4個の」 という意味ですね。

そんな話をしていると、息子が、「二次方程式」 は、quadratic equation だと言います。

quad が付いていますが、「二次」 なのは、どうしてなのかなあと思いました。

quadratic という語は、square を意味し、group of four things ということのようです。

正方形は4辺あるということでしょうか。

正方形の一つの辺が X なら、その面積は X squared (Xの2乗)となり、二次方程式というのは、正方形の一辺を求める式ということでもありますね。

ついでに、「三次方程式」は、cubic equation です。

一辺が X の cube (立方体) の体積は、X cubed (X の3 乗)で、三次方程式というのは、立方体の一辺を求める式ということですね。

2 squared is 4.
(2 の 2乗は 4)

2 cubed is 8.
(2 の 3 乗は 8)   のように言えます。

ここまで来ると、「四次方程式」 も気になりますね。

quartic equation と言うそうです。

quartic が、「四次」 というのは分かりますが、私にはもう、その内容は理解不可能です。

とりあえず、quadraticsquare が同じ語源で、quadratic equation が、二次方程式となることは、覚えておいてもいいかもしれませんね。


注射器

政府としては、ワクチン用にインスリン用の注射器を調達しないというニュースを聞きながら、注射器という語について考えました。

「注射器」 は、syringe ですね。

次のような定義が載っています。

a hollow, cylinder-shaped piece of equipment used for sucking liquid out of something or pushing liquid into something, especially one with a needle that can be put under the skin and used to inject drugs, remove small amounts of blood, etc.

(何かから液体を吸い取ったり、液体を何かへ押し入れるために使用される中が空洞の円筒型の装置で、特に針が付いていて、皮下に薬を注射したり、少量の採血などに使うことができるもの)

針を含めた注射器全体が、syringe ですが、syringe は、ラテン語、ギリシア語が語源で tube, hole, channel (筒、穴、水路)のような意味を持つ語です。

注射器の本体は、cylinder (円筒 / 円柱)形ですね。

cylinder も語源は、ラテン語、ギリシア語で roller, roll (転がすこと、回転する) という意味を持つ語です。

syringe = シリンジ、 cylinder = シリンダー とカタカナで書くと少し似ていますが、スペルは s と c、また r と l で異なりますね。 発音のアクセントも、シリンジの方は後、シリンダーの方は前です。

cylinder は、必ずしも空洞である必要はありませんが、 syringe は、空洞になっている円筒で、その中を液体が通るということですね。

注射器の本体部分は、cylindrical tube (円筒形の筒)ですが、barrel (バレル) と呼ばれるそうで、銃の弾丸が通る円筒の部分も barrel だそうです。

cylinder は、円筒という形を表す語ですが、syringe は、tube という意味の語で、液体を注入するという目的を持つ語であるように思います。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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