中国のロケットがインド洋に落下したという記事の中で、次のような文がありました。
The Global Times, a Chinese tabloid, dismissed as "Western hype" concerns the rocket was "out of control" and could cause damage.
(中国のタブロイド紙グローバルタイムズは、ロケットが制御不能な状態で被害をもたらすという 「西側の誇大宣伝」 としてはねつけた。)
ロケットの残骸の大部分は再突入で燃え尽きるので、それほど心配しなくてもよいというのが中国側の言い分のようです。
hype は、「誇大宣伝 / 広告、誇大に宣伝する」 という意味で、次のように使われます。
The way that the media has hyped the problem has been overblown.
(その問題をマスコミが誇大報道するやり方は度が過ぎている。)
hype は hyper = over, to excess (超えた、過度の) と関連ありそうだと想像できますね。
そして、語源辞書によると、hyperbole (誇張) という修辞法の語彙から作られた語かもしれないとのことです。
この hyperbole というのは、アメリカでは小学校で習うような語ですが、発音が難しいのです。
一見、ハイパーボールかなと、highball (ハイボール)というお酒の仲間のように見えますが、実際の発音は haipə́rbəli (ハイパバリ)なのです。
こういう単語を会話であまり使うこともないとは思いますが、ちらっと覚えておいてもいいかもしれません。
それから、overhype という語もあります。
定義は、to hype (something or someone) to an excessive degree (過度に何かまたは誰かを宣伝する) です。
The film was overhyped by the press.
(その映画は、報道機関によって過剰宣伝された。)
この映画は素晴らしいと新聞やテレビで報道されて、実際に見てみると、それほどでもなかったという場合は、その映画は overhyped もしくは overrated (過大評価された) となります。
hype も overhype も大げさに騒ぎすぎるという感じなのでしょうね。
友人の車に乗せてもらった時に、彼女が道を間違えた時に、I mucked up. と言いました。
mess up は、個人的にはよく使いますが、muck up は、あまり自分では使ったことがなく、調べてみました。
muck up は mess up と同様の意味で、定義は次の通りです。
to do something badly so that you fail to achieve what you wanted or hoped to achieve
(達成したかったことが達成できないような失敗をすること)
「しくじる、間違う、へまをする」 のような訳が載っています。
muck は、「動物や人間の排せつ物、肥やし」 という意味があるようです。
動詞では、「肥しをやる」 という意味もあれば、「汚す」 という意味もあり、make a mess of (めちゃくちゃにする、へまをする) ということになるようです。
また、mess は、語源辞書を読むと、もともとは、「一皿分の食べ物」 という意味があり、ラテン語 mittere = put (on the table) = (テーブルの上に)置く、というのが原義です。
そして、mix food → 動物のために混ぜ合わせた飼料という意味ができ、「汚い状態、ごちゃ混ぜ」 ということから、「混乱」 となり、mess up (へまをする) とつながるのですね。
mess にも、「排せつ物」 という意味もあるようで、muck と同様に、きれいな語ではありませんね。
でも、次のように、わりと気軽に使われている表現です。
I really mucked up my driving test yesterday.
(昨日の運転免許試験は本当にへまをしてしまった。)
make a mistake と言いたい時に、mess up や muck up を思い出してみてもいいかもしれません。
pent-up demand という経済用語を息子に教えてもらいました。
「繰延(くりのべ)需要、累積需要」 という訳が載っています。
次のように説明されています。
Pent-up demand is used by economists to describe the general public's strong return to consumerism following a period of decreased spending.
(繰延需要は、一般人が支出の減少期間後、再び大量消費にもどることを述べるための表現で、経済学者により用いられる。)
次のように使われているのを見つけました。
Now with light beginning to show at the end of the COVID-19 tunnel, the words "pent-up demand" are echoing throughout the business world.
(新型コロナウイルス感染症トンネルの終わりに光が現れ始めているので、「繰延需要」 という言葉がビジネス界に響き渡っている。)
コロナによって多くの産業が経済的な打撃を受けていましたが、今後は繰延需要が期待できそうだということですね。
ところで、pent-up とは、そもそもどういう意味の言葉なのか気になり調べてみました。
定義は次の通りです。
held or kept inside : not released
(内に秘める、しまっておく、表さない)
感情などが、「抑圧された、押さえつけられた」 という訳も載っています。
pent-up emotion (抑圧された感情)
pent-up anger (鬱積した怒り)
pent-up frustration (積もり積もった欲求不満) のように言えるようです。
pent は、penned の異形で、pen の過去分詞です。
pen は、「家畜のおり、囲い」 ですが、動詞で 「閉じ込める、囲いに入れる」 という意味があります。
なので、pent-up というのは、せまいおりに閉じ込められたということから、「抑圧された」 となるわけですね。
アメリカの友人たちは、もう2回のワクチンを打った人もいて、遠くに住む親戚に会いに行ったり、夏の計画を立てたり、気分が前向きになってきているようで、これから抑圧されていた需要が伸びていきそうです。
なかなか上達しませんが、朝7時15分から、ラジオ講座でスペイン語を学習しています。
そして、その後のフランス語も、ついでにざっと聞いているのですが、その中で、フランス語で 「インスタ映え」 をどう言うのかという話になり、私も知らなかったので聞いていると、英語と同じで instagrammable (instagramable) というのではないかとのことでした。
私はインスタグラムやフェイスブックなどのアカウントは持っておらず、「インスタ映え」 という言葉は知っていましたが、英語でどう表現するのかも知りませんでした。
instagrammable で、「インスタ映えする」 という意味の形容詞になるようですね。
She took an instagrammable photo.
(彼女はインスタ映えする写真を撮った。) のように言えます。
instagrammable の定義は、次のように載っています。
attractive or interesting enough to be suitable for photographing and posting on the social media service Instagram
(ソーシャルメディアサービスのインスタグラムに写真を撮って載せるのに適しているほど十分魅力的で興味深い)
instagram + -able の -able は、「~に適した」 という意味で使われていますね。
-able は、他にも 「~できる、~を好む」 などの意味もあり、changeable (変更できる)、peaceable (平和を好む)のような語がありますね。
instagrammable のように、インターネット関連の新しい語が増えてきていますね。
購読をやめることや、メールマガジンなどの配信先からメールアドレスを削除することを unsubscribe と言いますが、ソーシャルメディアの follow をやめることを unfollow と言うようです。
時代とともに、新しい言葉や意味が生まれてくるものですね。
もう決まっていて変えられないという場合に、次のように言うのを聞きます。
Most of the classes are set in stone.
(ほとんどの授業は確定していて変えられない。)
全部の授業を選択していくのではなく、ほとんどのものが確定しているということです。
set in stone の定義は次の通りです。
to be very difficult or impossible to change
(変更するのが非常に困難、または不可能なこと)
carved in stone という言い方もあるようです。
石にはめ込んだり刻むということで、もう変更できないという意味になるのは分かりやすいですね。
次のような例文も載っています。
The good news is that baby sleep patterns are not always set in stone.
(うれしいことに、赤ちゃんの睡眠パターンは必ずしも決まっているというわけではない。)
The schedule isn’t set in stone, but we’d like to stick to it pretty closely.
(スケジュールはまだ決まっているわけではないが、かなり忠実に守りたい。)
否定文にすると、「そうと決まっているわけではない、まだ流動的である」 となりますね。
変えられないというと、fixed や not changeable のように言えますが、set in stone という表現も覚えておいてもいいですね。
ところで、石に刻むということで、思い出した言葉があります。
私が以前何かで読んでメモしておいた言葉です。
「懸情流水 受恩刻石」
情を懸けしは水に流し、恩を受けしは石に刻むべし
他者にかけた情け(与えた恩)は、水に流して忘れる。 他者から受けた恩は、心の石に刻み込んで忘れてはならない、という仏教の言葉です。
石に刻むことは、変更不可能という意味にもなれば、仏教の世界では忘れてはならないものともなるのですね。