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北ということは?

友人が図書館で借りていた American Dirt という本を私も借りて読んでいるのですが、その中で次のような表現を見つけました。

The unsolved-crime rate in Mexico is well north of 90 percent.
(メキシコの未解決犯罪率は 90パーセントよりかなり多い。)

north は 「北」 という方角だけではないのですね。

north of の意味は次の通りです。

(of a number or value) more than, above
(数量や金銭的価値などが ~を超える、~より多い)

Wines of similar quality usually go north of $100.
(同じような品質のワインなら通常100ドルを超える。) というように言えますね。

北という方角は地図の上なので、~の上 → ~より多いという意味になるのは、言われてみれば理解できますね。

それなら south of とも言えるのでしょうか。

north of との対比で south of → less than (~より少ない) という意味を載せているオンライン辞書もありました。

また north という語の語源を調べてみると、元々は left, below (左の、下方の) という意味があったようです。

昔の人々は朝日に向かって方角を確かめていたようで、朝日に向かうと北は左に当たりますね。 そして太陽が下方、低い位置にあるからなのかもしれません。

語源的な意味まで考えると、ちょっと混乱してしまいますが、north of は慣用句として 「~より多い」 と覚えておけばいいですね。


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organic な関係

先日のテレビのインタビューの中での organic という語の使われ方が気になりました。

organic と言えば、organic produce (無農薬野菜) などを思い浮かべてしまうのですが、このインタビューでは人間関係についての質問に次のように答えていました。

It is so organic.

隣にいた夫に、organic という語がこんな風に人間関係にも使えるとは知らなかったと言うと、夫もあまり聞いたことがないと言いました。

organic なので、何となく natural な関係ということなのだろうと想像できますね。

次のように説明しているサイトがありました。

An organic relationship doesn’t feel forced. It feels natural in the sense that it’s not contrived, it’s mutual and it’s evolving

(オーガニックな関係というのは強いられていると感じません。 わざとらしくなく相互的で徐々に発展していくというような意味で自然だと感じます。)

toxic relationship (有害な人間関係) はストレスがたまりますが、organic relationship は healthy な関係ということでもありますね。

ついでに、organic lifestyle と言うと、simple, healthful, and close to nature (シンプルで健康的で自然に親しむ) 生活スタイルですね。

食べ物も人間関係も生活スタイルも、できるだけ organic でいたいものですね。



深い悲しみ

エリザベス女王が残された多くの言葉の中で、次の言葉が印象に残っています。

Grief is the price we pay for love.
(悲しみは愛のために払う対価です→ 悲しむのは愛するが故です。)

愛しているからこそ深く悲しむわけで、当たり前のことなのですが、このような簡潔な文で言い表すのは難しいですね。

これはアメリカの同時多発テロが起こった時に、エリザベス女王が人々を支えるために述べられた言葉です。

grief の意味は次のように載っています。

deep sorrow, especially that caused by someone's death
(深い悲しみ、特に人の死によるもの)

動詞 grieve (深く悲しむ) も次のように使えますね。

They are grieving for the loss of their dog.
(彼らはペットの犬が死んで深く悲しんでいる。)

grief は語源辞書で見てみると、ラテン語 gravare 由来の語で、 make heavy, cause grief(重くする、悲しませる) と載っています。

grief は、grave (重大な) や gravity (重力) と同じ系統の語で、重いという意味があり、重い深い悲しみということなのですね。

エリザベス女王の葬儀をテレビで少し見ましたが、どこか悲しげなバグパイプの音色がとても美しく響き渡っていました。


雨が降らなければ

ペンシルベニアは緑が多く美しい州ですが、雨もよく降り、それで草木も青々と茂っているんだなあと感じています。

先日も、曇っているけどまだ降っていないという状態だったのですが、近所の大学内の屋外で行われた 9.11 メモリアルイベントについて、教授が次のように言っていました。

If the rain holds off, there will be a 9.11 memorial event in the afternoon.
(もし雨が降らなければ、午後に同時多発テロ追悼行事があります。)

If it does not rain でもいいのでしょうが、hold off という表現が使われています。

hold off は、降りそうな雨が降らない、台風が遅れて来ないというような時に使える表現です。

The rain held off until after the game.
(試合の後まで雨が降らなかった。) 

今にも降りそうだったけれど、試合中は何とか天気が持ってくれたという感じですね。

雨や台風などが来ないということで off が付き、そのような状態が hold 「持続する、持ちこたえる」 ということですね。

また次のように言うこともできます。

I hope the weather will hold.
(天気が持ってくれるといいなあ。)

こちらも、天気が変わらずに持続するという意味で使えます。

次の日にキャンプに行ったり遠足があるような時にこのように言えばいいですね。

hold も 日本語の 「持つ」 も 「手に持つ」 という意味があり、両方とも 「天気が持つ」 という用法もあり、おもしろいなあと思いながら、スペイン語の授業を聞いていました。


三角筋

先週金曜日に、4回目の新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの両方を一度に打ってきました。

3月にブースター接種をしてから 6 ヶ月少し経ち、今回はオミクロン株に対応したワクチンを接種しました。

両方を同じ腕に打つか、ひとつずつ両腕に打つかを聞かれて、左腕に新型コロナ、右腕にインフルエンザのワクチンを打ってもらいました。

接種記録に次のように書いてあるのを見つけました。

site: right deltoid

site は、ここでは接種を受けた体の場所のことです。 

right arm (右腕) ではなく、deltoid と書かれていて、腕の筋肉の名前かなと想像し調べてみると次のように載っています。

a muscle in the shoulder, shaped like a triangle and used for lifting the arm
(肩の筋肉で三角の形をしており、腕を上げるのに使われる。)

そう言えば 「三角筋」 と聞いたことがあったとゆっくり思い出し、right deltoid は、「右三角筋」 ということですね。

そしてまたゆっくりと、ギリシャ文字 deltaΔ なので deltoid なのだと納得しました。

deltoid の -oid は like (~のような)という意味のようです。

なので、deltoid は三角の形をしたという意味の語で、deltoid muscle と言うこともできます。

前の接種時と同じように、微熱と頭痛が数時間ありましたが、おかげさまで回復し、deltoid という語もしっかり頭に入りました。


teller と listener

次のような銀行の広告を見つけ、なかなかおもしろい広告だなあと思いました。

Every bank has tellers.
We have listeners, too.

teller は、「銀行の窓口係」 のことですね。

tell は、「言う」 という意味があるので、それに listen 「聞く」 を対比させています。

上記の広告文は、「どんな銀行にも窓口係はいるが、我々の銀行にはよい聞き手もいる」 という感じでしょうか。

銀行の窓口係を 「言う人」 ととらえているところがおもしろいですね。

次のような補足説明が載っています。

We'll listen to you and recommend products that fit your specific financial needs.
(お話を聞いて、あなたの特定の金融上のニーズに合う商品をお薦めします。) 

今まで teller = 銀行の窓口係と覚えていましたが、あらためて、どうしてなのか気になりました。

オンライン語源辞書に tell は、古英語 tellan 由来の語で、 reckon, calculate, number などの意味があり、元々は「計算する、数える」 という意味の語だそうです。

なので、teller というのは、 one that reckons or counts (計算する / 数える人) ということになりますね。

なるほどそれで銀行の窓口係となるわけですね。

tell の用法も変化して、現在は 「言う、伝える、見分ける」 などの意味で使うことが多いですが、teller という語には、古い英語の意味が残っているわけですね。


NASA 打ち上げ再延期

NASA が月探査のためのロケット打ち上げを先月延期し今日打ち上げの予定でしたが、再延期ということになりました。

テレビを見ていた夫が次のように言いました。

They scrubbed the launch again.
(打ち上げがまた中止になった。)

scrub と言えば 「ごしごしみがく」 ことですが、次のような意味もあります。

to decide not to do something you had planned to do
(計画していたことを、しないことに決めること)

cancel, abandon (中止する、諦める、断念する) ということです。

また、scrub の意味として、次のように書かれたオンライン辞書もありました。

to cancel or call off (esp. a rocket launch before or during the countdown)

(中止したり取りやめること、とりわけカウントダウン前やカウントダウン中のロケット打ち上げについて言う)

なるほど、テレビのニュースや記事にも scrub がよく使われているわけですね。

Artemis launch was scrubbed
(アルテミス打ち上げは中止 / 延期された。)

postpone (延期する) という語は、post = after + pone = put なので、中止というよりも先送りするという意味の語ですね。

scrub は、こすって消してしまうという感じですね。

ごしごしみがいて汚れを取り除くように、計画していたことを取り除くということなのでしょうね。

日本語に訳す場合は、中止、延期のどちらでもいいように思います。

次の打ち上げ予定は決まっていないようですが、今度こそ三度目の正直で成功してほしいものです。


以前、scrubs には 「医療関係者の制服」 という意味があることを書きました。ご参考までに記事はこちら


あなたの番

US Open が始まっていますが、テニスからできた次のような表現を耳にすることがあります。

The ball is in your court.
(ボールはあなたのコートにあります。)

こちらが打ち返したボールがあなたのコートにあるのだから、今度はあなたが打つ番ですよということで、テニス以外のことにも使われ次のような意味が載っています。

It's your responsibility now; it's up to you.
(今度はあなたに責任がありますよ。あなた次第ですよ。)

こちらはやるべきことはしたので、あとはそちらが行動する番だという状況がありますね。 そういう時に使える表現です。

また、先日テレビドラマを見ていて、次のような表現もありました。

You have the floor.

have the floor の定義は次の通りです。

To have the right or opportunity to speak in a group, especially at a formal event or gathering.

(とりわけフォーマルな行事や集まりのグループの中で発言権や発言する機会をもつこと)

テレビドラマの中では、二人の子供が会話をしていて、一人が話した後、もう一人が黙っているので You have the floor. (発言権はあなたの方にあります。) と使っていました。

このフォーマルな表現を子供が使っているのがおもしろいなあと思いました。

それにしても、floor (床)がどうして 「発言権」 なのでしょう。

floor は、ある目的のために設けられた平らな場所ということで dance floor などがあり、辞書を引いてみると、「議員席、議会の参加者」 という意味も載っています。

I asked the floor if there were any objections to this proposal.
(この提案に対して異議がないか参加者に尋ねた。)

floor は議員たちが討論する場所でもあり、「発言権」 という意味もあるわけですね。

You have the floor. と言われるようなフォーマルな討論会に出席する予定もありませんが、floor  に比喩的な使い方があることを知りました。


お知らせ
プロフィール

Author:Yurikoyama
アメリカ人の夫と息子と三人家族です。高校ではバージニア州のハイスクールで交換留学生として1年間過ごし、その後日本の大学でフランス語を学びました。
いろいろな言語に興味があり、現在はスペイン語もぼちぼち学習しています。

アメリカのニューメキシコ州、テキサス州で12年、香港で6年、そして2018年から約3年大阪で住み、2021年12月にアメリカのペンシルベニア州に引っ越してきました。
息子はニューヨーク州にある大学で寮生活をしており、これからリタイアした夫と二人の生活です。。。

日常、気になった言葉や表現について書いています。
よろしくお願いいたします。

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